ヒッチハイクが教えてくれた商売哲学
「おでんやおばちゃん」店主が語る静岡おでんと恩返し
駿府城公園でおでん屋を営む杉浦孝さん。
第1回は夜の商売を手放した杉浦さんの話を、第2回は静岡おでんの奥深い食文化をご紹介しました。
最終回は、杉浦さんの商売の原点となった人との出会い、そして今後の展望についてお聞きしました。20歳の夏に飛び出したヒッチハイクの旅が、なぜ今のおでん屋の哲学につながっているのか。その答えは、旅の記憶の中にありました。
おでんやおばちゃん 店主 杉浦 孝 氏
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ヒッチハイクが教えてくれた、恩返しは次に出会う人へ
─これまでの人生で、転機になった出会いがあれば教えてください。
学生の頃、ヒッチハイクで旅をしたんです。県庁の看板の前で写真を撮るというルールで、日本中を旅しました。
ヒッチハイクをしていると、本当にいろんな人が声をかけてくれます。新潟で特に印象的な出会いがありました。20歳だった私と同じくらいの年の息子を持つという方が車を停めてくれて、「これで飯でも食え」と1万円を渡してくれたんです。見ず知らずの若者に1万円ですよ。すごいなと思いました。
─その経験が、今の仕事につながっているのでしょうか。
そうですね。どこの誰かも分からないその方に、私は恩返しができないんです。だから、その方が私にしてくれたように、新潟から静岡に来た人に私が同じことをできたなら、それが恩返しになるんじゃないかと思っているんです。
おでんを食べに来てくれたお客さんに「来てよかった」と思ってもらえること、旅の記憶のひとつになれること。そこを大事にしているのは、あのヒッチハイクの旅があったからだと思います。人との出会いが、記憶になる。20歳の自分がその実感を体で覚えたんですよね。
模索しながら進む。静岡おでんを次世代へ
─今後、力を入れていきたい活動や展望を教えてください。
静岡おでんをもっと広く発信していきたいというのが一番です。ただ、地元の大手企業と同じ土俵で戦っても、知名度では勝てない。だから違う形での発信を模索しています。駿府城公園という観光地にいるからこそ、「ついでにおでん」と立ち寄ってくれる。その流れを作ることが、自分にしかできない発信だと思っています。
もう一つ力を入れたいのが、子どもたちへの文化の継承です。駄菓子屋が減った今、子どもたちが静岡おでんと接点を持てる場所が少なくなっています。地域の小学校と連携できるような取り組みができないかと考えています。
─発信という面では、どんなことを考えていますか?
2024年末から大手ECサイトに商品を出しています。まだまだこれからですけどね。
Big Advanceで作成したホームページも活用していきたいです。発信できる場所を増やしたいということはもちろんなんですが、自分だけの視点で発信し続けることには限界があると考えています。違う角度からのつながりが必要です。そういった意味で、Big Advanceにはビジネスマッチングや商談会もあるので、そこを通じて発信することも面白そうですね。デジタルで情報を届けながら、人が介在することで初めて動き出すことがありますから。
公園での商売も、ECサイトも手探りで進めています。商売に限らず、ネットの中に答えはありません。いろんな人と関わりながら、常に模索し続けることが大事。ヒッチハイクで見知らぬ人に助けてもらったあの頃も、今も、結局は人とのつながりの中で動いているんだなと感じますね。

「駿府城公園おでんやおばちゃん」の静岡おでんレトルトパック。ECサイトで販売中
第1回は、杉浦さんが駿府城公園に出店した物語をお届け
第2回は、静岡おでんの奥深い世界をご紹介
<会社情報>
| おでんやおばちゃん | |
|---|---|
| 所在地 | 静岡市葵区駿府城公園1-1 |
| 設立 | 2004年4月 |
| URL | |
| ※情報と肩書は取材当時のもの | |


