2026年08月24日

「黒子」に徹する営業代行が必要な人にこそ届く理由
合同会社八月が中小企業とつくる、新しい営業のかたち

「営業支援や代行は、お客様より主張してはいけない仕事だと思っています」——そう語るのは、愛知県一宮市に拠点を置く合同会社八月の代表・安藤泰一氏です。テレアポから営業戦略の立案まで幅広く手がけ、「ランサーズ」の営業・テレアポ代行部門で長く1位を走り続ける同社だが、実績を声高に語ることはしません。あくまで顧客を引き立てる「黒子」でありたい。その信条は、最低契約金額も期間も設けず1コールから受けるという事業のあり方にも貫かれています。
Big Advanceのビジネスマッチングを通じて全国の企業とつながり、短期間で70件を超える面談を実現。「困っている人を助けたい」という一貫した想いと、営業のプロならではの視点から、これからの営業のかたちを伺いました。

合同会社八月 代表社員 安藤 泰一 様

営業のことなら、何でも。一緒に悩んで、一緒に苦しみたい

─ まず、御社の事業内容について教えてください。

私たちは営業支援・代行業を主に手がけています。テレアポや架電対応、リスト作成、商談代行、営業戦略の立案、組織構築まで、営業にまつわることは基本的にすべて対応しています。それに付随する資料作成なども含めて、仕事をお受けしています。

私たちが他社と違うのは、コール単価やリスト単価、最初の契約数といった縛りを設けていないところです。最低契約金額も期間も基本的に存在しません。1コール300円、1リスト50円から、本当に1コールだけのご依頼でも大丈夫です。最近では10コールだけというご依頼もありました。それでも全然お受けしますよ。

─ 1コールのためにも、その企業のことを深く調べる必要がありますよね。

そうですね、かける時間はかなり長いです。でも、その過程でどういう経緯でご依頼いただいたのかを把握できますし、今後似たようなご依頼があれば活かすこともできる。デメリットには感じていません。それよりも、本当に困っている方やワクワクして起業された方のお手伝いができることの方が、私にとっては嬉しいんです。

営業支援や代行は、1名いくらで長期契約を結ぶケースが多い業界です。だからこそ、予算が数万円しかなくて他ではご依頼できないという方——たとえば営業社員を雇う余裕のない町工場のような事業者さんにこそ、届けたいと思っています。

─ 業界としては「得意分野に特化する」代行会社も多いと聞きます。

一定の成果が出やすい業界というのは確かに存在するので、特化している会社は多いですね。当社の場合はあまりそういう区別をしていません。「何でも、どこでも」。他社でお断りされた方や、他で失敗された方こそ、ぜひご相談いただきたい。難しい問題に対して、一緒に考えて悩むことで、その後の方向性を決められると思うんです。一人で苦しむより、一緒に苦しんだ方がいいじゃないですか。

営業に関することなら幅広く対応する

営業の道へ。「人と喋ることが楽しい」という原点

─ 安藤代表ご自身は、どのような経歴を歩まれてきたのでしょうか。

少し特殊かもしれません。学生の頃から早く独立して働きたいという想いがあって、手っ取り早い道を探していたんです。高校卒業後すぐに働けると聞いて調理師の専攻に進んだのですが、給料が思ったより少ないということに途中で気づいて。調理自体は楽しかったので、そのまま大学に進学して追加で栄養士の資格も取りました。その後は特別養護老人ホームに勤めてみましたが、3ヶ月ほどで辞めてしまいました。理由は「人と喋ることが楽しかった」から。裏方よりも、外に出て人と関わる方が自分の適性だと気づいたんです。

そこから、営業職を経験してみようと思い、保険、車、不動産——有形・無形、それぞれ環境の異なる営業を30歳までに全部やって独立しよう、と考えていました。ところが最初に入った不動産会社があまりに楽しくて、気づけば8年も勤めていて(笑)。計画通りとはいきませんでしたが、そこで多くの営業の先輩や経営者の方と出会えたことが、今につながっています。

─ 不動産の営業から、なぜ営業代行という無形の仕事へ?

不動産を買われる方には、様々な事業をされている経営者の方が多かったんです。話を聞いていると、皆さん困り事が共通していて「営業をどうしたらいいか分からない」「営業を採用しても、うまくいかない、定着しない」と。

私は何かを生み出すクリエイティブの才能はなかったけれど、営業なら手伝えるなと思ったんです。それで、ランサーズ(企業や個人とフリーランスを結ぶプラットフォーム)に登録して独立しました。売上予測を立てたわけでもなく、「きっと誰かに必要とされるはずだ」という想いだけで。最初は大変でしたが、良いお客様に恵まれて、なんとかやってこられました。

「真摯であるか、困っているか」──受ける仕事を決める2つの基準

─ どのような案件でも受けられるとのことですが、安藤代表が「面白い」と感じる基準はありますか。

会社の規模や売上、報酬では選んでいません。基準は2つ。その事業や内容に対して真摯であるかどうか。そして、本当に困っているかどうか。この2つで、お受けするかを決めています。

今ちょうど取り組ませていただいているのが、2025年にできたばかりの新しい電力会社さんです。電力や太陽光の分野は、正直なところ一定の警戒感を持たれやすい領域ですが、それを「何十年経っても残る事業にしよう」と本気で覆そうとされている。そのバイタリティが本当にすてきで。親会社は世界シェアトップクラスの製品を扱うグローバル企業なんです。そうした大きな後ろ盾がありながらも、代表自ら外に出て営業や採用をされている姿勢に惹かれました。設立まもない頃から、もう半年近く伴走させていただいています。

ミーティングを重ねて「どうやったらうまくいくんだろう」と、とことん突き詰める。思ったような成果が出ない時もありますが、苦楽を共にできる関係は本当に楽しいですね。

─ ランサーズの営業部門で長く1位を獲得されていらっしゃるとのことですが。

営業・テレアポ代行の部門で、20ヶ月以上連続で1位をいただいています。ありがたいことに『Lancer of the Year 2025』の受賞もさせていただきました。ただ、「一番だ」と驕らず、謙虚にやっていきたいと思っています。

いただいた報酬は、なるべくランサーズ内で外注に回すようにしているんです。私たち自身がプラットフォームで見出していただいたので、他のプレイヤーの方にも同じ機会が巡ればいい、と。そうやって循環させていきたいんですよ。

Big Advanceのマッチングで、全国へ。70件を超える面談が生まれた

─ Big Advanceを導入されたきっかけを教えてください。

元クライアントだった福岡の会社さんからのおすすめで始めました。もともとビジネスマッチングを使いたいという想いがあったんです。

営業支援や代行の会社が仕事に困って広告を打ったり、テレアポで「仕事どうですか」と営業したりするのは、少し違うと思っていて。自分たちの売り込みに一生懸命な代行会社に、任せたいとは思わないじゃないですか。だから、本当にニーズのある方に、こちらから的確に提案を届けられたらいいなと常に考えていました。ちょうど探していた時に、このサービスがドンピシャだったんです。

─ 実際にどのくらいの反応があったのでしょう。

商談依頼を送って面談OKに至ったものが、70件を超えています。その後、ご契約につながったケースも多くあります。商談依頼の上限が1日5件までなので、その分1社1社の成り立ちや背景までしっかり調べて、文面を作ってお送りしています。ニーズがあればいいですし、なければそれはそれでうまくいっている証拠。私たちが不要ということですから。

Big Advance上で間接的に私たちを知っていただいて受注につながったケースもあります。全国の様々な企業とつながれるプラットフォームがあるのは本当に有用だと思います。私たちは場所を選ばない仕事なので、営業が必要なところがあればどこへでも届けられるんです。

沖縄で廃材処理業を営む事業者さんのように、ほぼお一人でお仕事をされている会社にも打診されて、面談につながっていますよね。

そういう方にこそ届けたいんです。私自身、一人でやっていた時期は、毎日のルーティン業務をこなすことに精一杯で余力がありませんでした。その状態で営業支援を頼もうとしても、年間契約で何十万・何百万となれば尻込みしてしまう。そうではなく、繁忙期のここだけを2〜3万円で手伝ってほしい——そういう需要に応えられるのが私たちの強みです。本当に必要な人に届けて、その方の営業活動が円滑になる一つのきっかけになればと思っています。

営業支援は、正直なところ業界としては評判の良くないイメージがあります。でも、悪いイメージがあるからこそ、ちゃんと話すと「確かにね」と分かっていただける。今までの「営業支援」のイメージを払拭したいという想いもありますね。

「なぜ、ここに、あなたと」──警戒を解く最初の5分

─ 営業に慣れていない事業者さんは、警戒心を持たれる方も多いのでは。心を開いてもらうコツはありますか?

商談の冒頭で、必ず3つを伝えるようにしています。「私たちが何者なのか」「なぜここにいるのか」「なぜあなたと話しているのか」。

例えば「あなたの会社でお役に立てると思ったのでご連絡しました」「表面だけでなく深いところまで理解したつもりですが、あなたほどは理解していない」「だからあなたのことを教えてほしい」というように。そのうえで、「短期間で契約できる営業支援で、あなたが感じている営業の苦しみを取り除きます」と。これを最初の5分ほどでお話しして、嫌だったら断っていただいて構わない、とお話しします。

あとは相手の方の性質を見極めることも大事ですね。よく喋った方がいい方なのか、傾聴が多い方がいいのか。それを見ながら商談に持ち込みます。楽しくない商談だったら、遠慮なく断っていただければいいんです。

「必要な人にこそ、営業支援を届けたい」と明るく語る安藤代表

出会いが教えてくれた、「一人では成り立たない」ということ

─ 安藤代表にとって、転機となった出会いはありますか。

当社の役員を務めているメンバーとの出会いですね。コロナ禍の頃に一緒に仕事をするようになったのですが、彼から「他者を尊ぶ」ということを教わりました。

営業を突き詰めていくと、どうしても利己的になるんです。成果が上がればいい、売上が上がればいい、と。他者を尊ばなくなってくる。でも彼は、優秀なプレイヤーでありながら、その人間性を失っていない。同業を見ていて「この人の仕事はかっこいいな」と思える、数少ない存在です。今でも学びと気づきを与えてくれます。

私は人が好きなので、金額を考えずに仕事を取ってしまう癖があって、社内で「この納期どうするんですか」とよく言われます(笑)。会社のバランスを取ってくれているのは彼でしょうね。営業職はお金さえ稼げれば一人で成り立ってしまう仕事ですが、「自分一人では成り立たない」ということを理解させてくれた人です。

─ 最後に、今後の展望を聞かせてください。

コロナ禍から始まり、DXの転換、そしてAIの台頭と、私たちは時代の転換期にいると感じています。営業代行の需要は、実は今が一番多い時期かもしれません。AIで見込み客を獲得したりリストを作ったりはできても、「じゃあ商談は誰がやるの?」となる。AIは反復作業が得意ですが、営業のようにクリティカルな判断が求められる領域では、まだまだ人の力が必要なんです。

今後は、AIとどう共存しながら営業活動をしていくかが大切になると思います。業界ごと、お客様ごとに、成果を提供し続けられる会社でありたい。それを探り続けていきます。

<会社情報>

合同会社八月
所在地 愛知県一宮市上祖父江字南川原4-2
設立 2023年
URL

https://hachigatsu.co.jp/

※情報と肩書は取材当時のもの。
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