鉄工所社長が桃畑に作ったフルーツパーラー
倉敷フルーツヴィレッジの果物は国産オンリー!
「くだもの王国」として知られる岡山県を代表するフルーツ、白桃。代表的な産地のひとつ、倉敷市玉島富田地区の山あいは、6月から9月にかけてさまざまな品種が実り、甘い香りに包まれます。そんな桃畑の中にあるフルーツカフェ「倉敷フルーツヴィレッジ」。代表の田辺誠氏はもともと、建設・産業用の金物や治工具を製造する株式会社フルサイトの経営者です。本業の資材置き場として使っていた土地に、2023年、カフェをオープン。「できる限り国産・県産にこだわりたい」「業務用は使わない」——フルーツはもちろん、生クリームも、バターも、小麦も、国産・県産にこだわる”国産信者”が、なぜフルーツカフェを開いたのか。失敗も課題も笑い飛ばしながら、我が道を行く田辺氏に話を伺いました。
倉敷フルーツヴィレッジ 代表 田辺 誠 様
資材置き場から、桃畑のフルーツパーラーへ
─ まず、事業の概要を教えてください。
フルサイトという会社で、橋梁や産業設備向けの金物・治工具を製造しています。そっちが本業です。カフェは3年前(2023年7月)にオープンしました。
─ カフェを始めたきっかけを教えてください。
倉敷市の富田という土地は、岡山でも有数の桃の産地なんですよ。目の前の山が全部桃畑で。春には桃の花が一斉に咲いて、一面ピンク色の綺麗な景色が見られます。ところが、この辺りには桃をその場で食べられる店がない。販売しているところはあっても、飲食店はほぼゼロ。それがずっと気になっていて。ちょうど本業で使っていた資材置き場が空いたので、じゃあやってみようかと。
なんとなく、カフェがいいかな、と(笑)。駅から遠いし、お酒を出す店というわけにもいかないかなと思って。

岡山県産の白桃を、贅沢に使ったパフェ。
─ フルーツは地元のものを使っているんですか。
桃は、この辺りの農家さんから直接仕入れています。近所に知り合いが多いので。桃とぶどうだけは、どこよりも安く仕入れられるんですよ。だからここで出せる。ほかのフルーツはなかなかそうはいかないんですけどね。
─ オープンして3年ということですが、状況はいかがですか。
正直に言えば、夏だけ流行っている状態です。桃の季節になると、桃を買いに来たお客さんがついでにカフェを利用してくれる。でも冬は……難しいですね。
野菜直売コーナーがあるんですけど、桃とぶどう以外は売れなくて。地元の方はなかなか買ってくれないですし、夏の桃シーズン以外の集客をどう作るか、そこが今の課題ですね。
─ 何か取り組まれていることはありますか。
2年目からはランチメニューを導入しました。キーマカレーや桃カレー、各種パスタなど、ボリュームのあるメニューも揃っています。金融機関から副業人材を紹介してもらってメニュー開発してもらいました。大阪の方で、料理学校で講師を務めた経歴をお持ちで、ここにも訪ねてくださったんですよ。
あとは、どうしてもスタッフが足りない時は、鉄工所のフルサイトの社員に手伝ってもらうこともあります。女性社員の中に、調理師の資格を持つ人が何人かいるんですよ。今カフェで料理を担当しているスタッフも、もともとフルサイトの社員なんです。なぜかいるんですよね、鉄工所なのに(笑)。本当に偶然です。

人気のナポリタン。鉄板皿は自社製作のオリジナルです。
「業務用は使わない。僕が食べたくないから」
─ 原材料費が上がっているのではないですか?
この3年でものすごく上がっています。食材はできる限り国産のものを使ってるんですが、国産も値上がりしてます。チョコレートなんて、倍になっています。チョコレートやナッツ、シナモンは国産が手に入らないのでそこは輸入を使っていますが、それ以外は極力、国産で揃えています。
─ 国産にはこだわっているのですか?
フルーツはもちろんですが、生クリームも、バターも、小麦も、国産です。だからバナナはメニューにない。国産バナナは高すぎて、さすがにメニューにできないんです。
国産、とくに岡山県産にこだわっています。イチゴも岡山県産です。九州産と比べると仕入れ値が倍近く違うんですが、それでも県産を使う。
コストは高いですよ。品質や産地にこだわらず、業務用だけを使えば安く済むんですけど、僕が食べたくないんです。
─ それほどのこだわりはどこから来るのでしょう。
そういう家系なんですよ。昔から輸入のものをあまり食べない家で育って、自然とそうなりました。言ってみれば「国産信者」なんです(笑)。
味はね、正直「わかる人にしかわからない」のかもしれないです。倉敷の繁華街のカフェの価格と比べるとリーズナブルなほうですけど、国産・県産素材にこだわる以上、原材料費は下がらないですしね。

店内ではオリジナル商品も販売中。写真は倉敷市玉島産の白桃を使ったネクターとジャム

Big Advanceのホームページ、カフェにちょうど良い
─ Big Advanceを導入したきっかけを教えてください。
もともとフルサイトの方でBig Advanceのホームページを使っていたんです。鉄工所なのでバーベキュー用の鉄板を作ってみたんです。その鉄板をBig Advanceのホームページに載せてECサイトと連携させていたんですが、年に2、3個しか売れなかった(笑)。それで、カフェができたタイミングでそのホームページをカフェに切り替えました。
─ カフェのホームページはご自身で作られたそうですね。
はい、私がやっています。簡単でしたよ。カフェのホームページはBig Advanceで十分。アルバイト募集の問い合わせなんかもここから来ています。
……アルバイトに応募してくれるのはありがたいんですけど、「土日祝は出られません」と答えられることが多くて、悩みどころです(笑)。
ホームページ以外はインスタグラムとティックトックで、カフェスタッフに任せています。ティックトックは何かネタがあれば、という感じで運用していますね。
一人になれるから、自転車に乗る
─ これまでの人生で印象に残っている出会いはありますか。
19歳の頃に知り合った美容師さんです。もう亡くなったんですが、僕より16歳くらい上の方で。その方はいつも目標を持っていた。「いつまでに何店舗出す」って。遊びも仕事も一生懸命で、その姿を見て、そういうふうになりたいなと思いました。なかなか難しいですけどね(笑)。
あとは、経営者のつながりが多いんですが、その仲間で5年ほど前からロードバイクを始めたんですよ。
─ ロードバイクを始められたきっかけは?
ゴルフをずっとやっていたんですが、コロナの頃に肘を痛めてしまって。もう治らないって言われたので自転車に切り替えました。春と秋は外を走って、夏と冬は家にトレーニングルームを作って、そこで乗っています。一回で2〜4時間くらい乗ってますね。
─ 経営者仲間の方と走られているんですか?
もとはゴルフ仲間だったんですが、みんな腰とか肘とかどこかしら痛めて、揃って自転車に乗り換えたんです(笑)。取り引き先の方も多くて、年2回くらい、皆でしまなみ海道を走りに行きますよ。でも基本は一人で乗りたいんです。
一人で走って考え事をしてます。一人になれるから自転車なんですよ。
─ 最後に今後の展望をお願いします。
本業のフルサイトは、昨年12月に新社屋を完成させました。綺麗だからか、なぜか毎月一人ずつ社員が増えています。あっちはもう忙しくて忙しくて。カフェとは全然違う(笑)。
カフェの方は、先ほども言いましたが、夏一極集中の波をなくすことが当面の目標ですね。
あとは、そうだなぁ。都会で働いてみたいかな(笑)。

店舗前はサイクリングルート。ロードバイク乗りの休憩スポットにもなっている。
<会社情報>
| 倉敷フルーツヴィレッジ | |
|---|---|
| 所在地 | 岡山県倉敷市玉島八島1707-1 |
| 設立 | 2023年7月 |
| URL | |
| ※情報と肩書は取材当時のもの | |


