2025年07月07日

PFAS除去技術で「PFASフリー」の水環境を目指して
ジーアンドジーの成長戦略とは

島根県で水処理のスペシャリストとして30年以上の実績を持つ株式会社ジーアンドジー。地下水の濾過技術を駆使して、様々な水質汚染に対応してきた同社は、近年問題視されているPFAS(有機フッ素化合物)の除去に注力しています。島根県を拠点としながらも全国での事業拡大を視野に入れ、Big Advanceを活用した新たな販路開拓へと踏み出しています。今回は代表の白根氏に、事業内容と今後の展望について伺いました。

株式会社ジーアンドジー 代表取締役 白根 信彦 様

地域に根差す水処理技術の会社

ー御社の事業内容について教えてください

株式会社ジーアンドジーは、1992年に有限会社山陰ネッカリッチの水処理事業部から独立した会社で、地下水の濾過技術を中心に事業を展開していました。創業当初の主要なお客様は畜産農家さん、特に養鶏や養豚、牛などの生産者が多かったのですが、これらの事業者は大量の水を使用するため、コスト削減のために自前で井戸を掘って地下水を使うケースが多いんですね。ただ、地下水は出ても水質が悪いことがあり、この水質改善のための濾過技術を提供するところから始まりました。

当初5年ぐらいは民間のお客様が中心でしたが、徐々に公共行政機関や市町村の新規案件やメンテナンスなども請け負うようになり、事業を拡大してきました。

ー御社の強みはどのようなところにありますか?

当社はどちらかというと研究開発型の企業です。通常のお客様が持っていない技術や商品を扱ったり、開発したりすることで差別化をしてきました。

現在注目されているPFAS(有機フッ素化合物)の除去や、地下水に含まれるヒ素やフッ素などの除去については、この地域では当社が最も技術力を持っていると自負しています。長い年月をかけて少しずつ、特化した技術を必要とするお客様との取引関係を構築してきました。30年近く事業を続けてきたこともあり、地元では口コミで仕事に繋がることが多いです。

「PFASフリー」の水環境をめざす新たな挑戦

ー最近特に力を入れているPFASの除去技術について詳しく教えてください。

PFASは有機フッ素化合物の総称で、去年の8月頃からテレビで何度も取り上げられて、一般の方々にも知られるようになってきました。水に溶けにくく分解されにくい特性があり、「永遠の化学物質」とも呼ばれています。

兵庫県や岡山県、熊本県などでは、すでに河川が汚染され、その水を水源にしている水道水にもPFASが含まれていることが問題になっています。汚染源は主に上流にある産業廃棄物最終処分場からの高濃度PFASの溶出だと言われています。

当社では、このPFAS除去に特化した技術を持っており、主に「イオン交換樹脂」という方法を使っています。従来の活性炭による吸着に比べて、吸着能力が10〜20倍あり、長期的に見たトータルコストも安くなります。既に岐阜県の某市では、このイオン交換樹脂を用いた水処理方法が本設計に採用され、今年の秋にはこの技術による入札が行われる予定です。こういった実績も出てきています。

ー今後どのようにPFAS除去の事業を展開していく予定ですか?

現在はまだPFASに関する法規制が明確に決まっていませんが、将来的には規制が厳しくなることが予想されています。環境新聞の記事でも、水道水質基準だけでなく、国内の廃棄物最終処分場浸出水に対しても規制が入る可能性が示唆されています。

全国の産業廃棄物最終処分場のうち、2〜3割はPFAS汚染の可能性があると考えています。島根県だけでも40〜50か所の処分場があるので、全国では数千にのぼります。その中の一部でも当社の技術が採用されれば、事業として大きく成長する可能性があります。

「幸運の女神には前髪しかない」と言いますが、法規制が確立されて各社が対応に動き出す前に、当社の技術を知ってもらうことがチャンスを掴む鍵だと考えています。そのため、今から積極的に営業活動を展開しているところです。

ビジネスマッチングで意外なつながりを期待

ーBig Advanceはどのように活用されていますか?

地元では30年の実績があるので口コミで仕事が入ってきますが、全国展開を考えた時にネックとなるのが当社の認知度です。特にPFASの汚染が問題になっているのは関東関西方面など都市部が多く、そういった地域では当社の技術が必要とされているにもかかわらず、なかなか声がかかる状況ではありません。

そこで、Webを活用した営業や、金融機関の方から紹介いただいたBig Advanceを活用しています。金融機関のネットワークを通じて情報を発信することで、新たな取引先からの声がかかりやすくなると考えました。

Big Advanceは月額3,300円という金額で利用できるので、1件でも成約すればすぐにコストを回収できます。やらない手はないと思い、すぐに始めることを決めました。

ーこれまでWebを活用した営業方法で効果を感じたことはありましたか?

当社は産業用製品を検索できるWebサービスにも掲載をしており、PFASに関連する検索でのシェアが5割ほどあるんですが、そこから防衛省の担当官の方から直接お問い合わせをいただいたことがあります。

最終的に防衛省については直接メーカーが対応する契約があったので成約には至りませんでしたが、このように全く思わぬところから仕事が入ってくる可能性があることを実感しました。やはり、知ってもらうことが第一歩だと思っています。

Big Advanceについては、まだ使い始めて間もないのでこれから色々と試していきたいですが、約80の金融機関と約6万社の企業がつながるネットワークは非常に魅力的です。Big Advanceを通じて全国に当社の技術を知ってもらうことで、新たな取引先との出会いが生まれる可能性に大いに期待しています。

一つ一つを大切に 人生を変えた出会いと言葉

ー白根様のキャリアの中で転機となった出会いはありますか?

私のキャリアを振り返ると、学生の時に東京に出て、先輩たちと約5年間仕事をした後、2年ほどアメリカに行っていました。その後、島根に戻り、有限会社山陰ネッカリッチに入社しました。

入社後は研究開発に関わる仕事を担当し、畜産農家のお客様の現場に出て様々なテストを行っていました。ネッカリッチでは養鶏用の餌を扱っていましたが、「良い餌の次は良い水が大事」という創業者の考えから、水質改善の事業に取り組み始めました。

事業を進めていく中で印象に残っている出会いがあります。それは地元の電気工事の方との出会いです。当時、私は一人でいくつもの仕事を同時に進めていて、手が回らずストレスがたまっていました。そんな時、その方から「お宅は技術があるんだから、一つ一つやったら」という言葉をかけられたんです。

この「一つ一つ」という言葉が非常に心に響きました。それまでは忙しさから中途半端になりがちだった仕事も、一つずつ着実に完了させていくことの大切さを学びました。そうすることで周囲からの信頼も得られ、結果的に営業しなくても声がかかるようになっていったのです。

この出会いは約25年前のことですが、今でも何かあると「一つ一つ」という言葉を思い出し、取り組むようにしています。

全国的な事業拡大を目指して

ー今後の事業展開について教えてください。

当社が最も力を入れているのは、PFASの除去技術を全国に広めていくことです。現在の売上の10倍、20倍を目指して営業を強化していきたいと考えています。地元の島根県や近隣地域の産業廃棄物最終処分場に対しては直接営業をかけていく予定ですが、それ以外の地域ではBig Advanceなどのツールを活用しながら展開し、新たな事業機会を創出していきたいと考えています。

<会社情報>

株式会社ジーアンドジー
所在地 島根県松江市袖師町6-22 野津ビル103
設立 1992年
URL

http://www.g-and-g.co.jp/

※情報と肩書は取材当時のもの
※一部画像はジーアンドジー様提供
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