チャット活用で支援の質を高める
従業員の連携力で成長する株式会社FTY

新潟県で障害者グループホームの運営を通じて「安心」と「笑顔」を届ける株式会社FTY。ひとりひとりの利用者に寄り添った支援と、地域に根差した活動を通じて、より多くの方が安心できる暮らしの場を広げています。その日々の運営を支えているのが、従業員同士のきめ細やかな情報共有です。Big Advanceのチャット機能を活用し、スタッフ間の連携を強化することで、より質の高い支援を実現しています。今回は代表の高澤氏に、福祉の道に進んだきっかけや大切にしている想い、そして現場を支えるデジタルツールの活用法についてお話を伺いました。
株式会社FTY 代表取締役社長 高澤 貴 様
日常に寄り添う支援の大切さを感じたボランティア体験
ー御社の概要と創業の経緯について教えてください。
当社は障害者福祉事業として、グループホーム(共同生活援助事業)を運営しています。障害者の方々が安定した生活を送るためには、何よりもまず「住まい」の確保が大切だと考え、安心して暮らせる住環境の提供からスタートしました。
創業のきっかけは、前職の生命保険会社で参加したボランティア活動にあります。2011年の東日本大震災で福島へのボランティアに参加した際、被災者の方から「ボランティアの方々の支援はありがたいけれど、明日からまた日常が始まる」という言葉を聞きました。この言葉で、一時的な支援だけでは解決できない被災地の現実に気がつきました。物資や食料を届けても、住まいや仕事を失った方々の日常は続き、その困難な状況と向き合い続けなければならないんですよね。この経験から、一時的な支援ではなく、日常に寄り添う継続的な支援の必要性を強く感じました。
その後、障害児童向けのボランティアに参加した際には、子どもの将来を案じる親御さんの声を聞き、さらに自閉症のいとこが両親を亡くし一人取り残された時の自分の無力感も経験しました。「周りに身寄りのない人がこういう状況になった時、日本の社会インフラは何を用意しているのか」という疑問から、福祉サービスの現状を調べ始めました。
様々な行政サービスはあるものの、それが十分に機能しているのか、数は足りているのかを見てみると、社会全体としてまだまだ不足していると感じました。そこから自分にできることは何かを考え、この事業の立ち上げにつながりました。
ーボランティアでの経験が大きな転機になったんですね?
はい。様々な人との出会いがありましたが、ボランティア活動で出会った方々との会話や、経験の積み重ねが現在の事業につながっていると思います。
前職の生命保険会社では何か起きた際に契約に基づいてお金をお届けすることはできますが、その後の日常生活にずっと寄り添うということはありません。でも実際は、精神的なサポートを含め誰かが直接寄り添って日常生活全般の支援が必要な方々がいる。そこに応えたいという思いが強くなりました。
信用金庫とのパートナーシップが実現した安心の住まいづくり
ー現在、グループホームではどのような方々を受け入れていますか?
当社では知的障害と精神障害の方を対象にしています。障害の区分(支援の必要度を示す1〜6の区分)に制限を設けず、軽度から重度まで様々な方を受け入れています。
入居にあたっては必ず体験入居をしていただき、既存の入居者との相性も考慮します。区分が高く、より手厚い支援が必要な方には、専門的なスキルを持った職員で対応できるよう、スタッフの研修や資格取得も随時行っています。
創業当初は、相談支援員の方や就労支援事業所、病院関係者などに訪問し、新しいホームを立ち上げたことをお伝えして利用者の紹介依頼をしてまわりましたが、定員がすべて埋まるまでには時間もかかりそれなりに苦労しました。障害者の方を安心して預けられる先だと認識してもらう必要があります。この業界は非常にニッチな世界で信頼構築が欠かせません。
ー新しいグループホームの開設はどのように進めているのですか?
現在は不動産開発会社と連携し、彼らが建物を建て、当社が賃貸という形で利用しています。この不動産会社との出会いは信用金庫の紹介によるもので、当社の事業に関心を持っていただいたことがきっかけでした。
創業以来、利用者だけではなく関係者の方々にも安心してもらえるようなホーム運営を目指し、試行錯誤しながら従業員と共に取り組んできました。そこで、2023年には新潟市の所島地区に10人収容のホームを2棟連続して開設しましたが、どちらも半年もかからずに満室になりました。特別な営業活動はせず、月に一度発行している「フェイス通信」という紙媒体で情報発信するだけで、関係者から次々と入居の依頼をいただける状況です。
情報発信と組織力強化をBig Advanceで叶える
ーBig Advanceはどのように活用されていますか?
ホームページの作成と社内コミュニケーションツールとして「チャット機能」を活用しています。
特にチャット機能は毎日活用しています。朝はまず各ホームの状況確認から始まって、日中は利用者さんの様子や急な変化があれば即座に共有できるようになりました。夜間の引継ぎ事項も、以前は電話や申し送りノートでしたが、今はチャットを使ってすべてリアルタイムでスタッフ同士が情報を共有できるようになって本当に助かっています。
福祉事業では個人情報をたくさん扱うので、セキュリティ面がしっかりしているBig Advanceのチャット機能なら安心して使えるところが良いです。また、災害時に備えた安否確認機能も活用しており、この前の能登半島地震の時も、安否確認や損壊状況把握、避難準備の指示を一斉に全スタッフに伝えられたので、本当に心強かったです。複数の拠点を持つ事業形態において不可欠なツールとなっています。
また、ホームページに関してですが、実は最初は特に必要ないかなと思っていたんです。私たちの業界は積極的にPRするような業界じゃないですし、入居者の方々は相談支援員さんや病院からの紹介が主なので。でも作ってみたら思いがけない効果があって驚いたんです。面接に来られる求職者の方々は、ほぼ全員「ホームページを見て応募しました」って言うんですよ。
振り返ってみると、ホームページは求職者の方にとって、私たちの施設や日々の活動の様子を知る唯一の窓口になっていたんですね。福祉の仕事って、実際どんな雰囲気で働くのか、どんな理念を持っているのか、そういった「見えない部分」が大事なんです。ホームページを通して私たちの想いや現場の雰囲気が伝わることで、価値観の合う方に応募していただけているんだと気づきました。これからは各ホームでの行事や日常の様子をもっと頻繁に更新して、入居者さんの笑顔と安心の暮らしが伝わるページにしていきたいですね。情報発信のためではなかったけれど、結果的に大切な接点づくりに役立っています。
「安心と笑顔」を軸にした組織づくり
ーグループホームを運営する上で大切にしていることは何ですか?
当社では「一人でも多くの方に安心と笑顔をお届けしたい」という理念を全職員に浸透させています。この言葉は判断に迷った時の物差しであり、誰が喜ぶのか、誰が安心できるのかを常に考える指標になっています。
採用では人に対する思いやりや利他的な精神を持った方を重視しています。処理能力や業務スキルではなく、人に内在する優しさや気持ちを大切にしています。そうした人たちが集まることで、スタッフ同士でもお互いを気遣う良い関係が築かれています。高齢者の雇用も積極的に行っており、最高齢では78歳の方も元気に働いています。また、月に一度の事例共有会で利用者の状況や対応方法を話し合い、職員同士の連携を深めています。24時間365日の運営で数十名のスタッフがシフト制で働いていますが、決して高い給料ではないにもかかわらず定着率は非常に高いです。皆さんが自分の仕事に使命感ややりがいを感じられているのだと思います。
社会インフラとして挑む未来 増加する障害者支援ニーズに応える着実な歩み
ー今後の展望についてお聞かせください。
厚生労働省の2022年12月のデータによると、全国の障害者数は身体障害者が423万人、知的障害者が126万人、精神障害者が614万人で、合計1164万人に上ります。これは日本の人口の約10%に相当し、5年前と比較すると24.3%増加しています。特に精神障害者の増加率は56.6%と著しいです。
こうした状況を踏まえ、今後もグループホームのニーズは高まると予想されるため、段階的に増やしていく予定です。また将来的には就労支援事業や、障害者の方々が楽しめるイベント企画なども視野に入れています。
当社はやみくもな事業拡大ではなく、周囲のニーズに応じて着実に成長していくことを目指しています。日々の経験を積み重ね、昨日できなかったことが今日できるようになるという小さな成長の積み重ねを大切にしています。

(左:高澤代表、右:新潟信用金庫 渡邉氏)
<会社情報>
株式会社FTY | |
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所在地 | 新潟県新潟市中央区弁天橋通1丁目7-4リンクス3 2-A |
設立 | 2017年 |
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※情報と肩書は取材当時のもの |