「医療機器×アパレル雑貨」が生む、新たな付加価値
筌維インターナショナルが目指す盤石経営
2017年の設立以来、レッグウェアから本格的なランジェリーまで、幅広いアパレル雑貨のOEM・ODM生産を主軸に成長を続けてきた筌維(せんい)インターナショナル株式会社。代表の張 華麟(チョウ カリン)氏は、日本の靴下メーカーでの生産管理や海外営業の経験を積み、中国の広大な生産ネットワークと日本市場を熟知したうえで独立しました。2024年にはブランド「ARISAYA」を始動し、翌年には高度な管理体制が求められる「第三種医療機器製造販売業」の許可を取得。アパレル雑貨の枠を超えた高付加価値商品の開発体制を整えました。変化の激しい業界で、Big Advanceを通じた大手通販会社との成約など、事業の安定化と成長を追求し続ける張氏にお話を伺いました。
筌維インターナショナル株式会社 代表取締役 張 華麟 様
OEM・ODM、自社ブランド、医療機器。三本柱のアパレル事業
─まず、御社の現在の事業内容について詳しくお聞かせください。
当社は現在、大きく分けて3つの柱で事業を展開しています。1つ目は創業以来のメイン事業であるアパレル雑貨のOEM・ODM生産です。靴下やタイツなどのレッグウェアから、ルームウェア、インナー、本格的なランジェリーまで幅広く手掛けています。
2つ目は、2024年に立ち上げた自社ブランド「ARISAYA(アリサヤ)」です。こちらはECサイトを中心に、私たちが培ってきた生産ノウハウを詰め込んだアパレル製品を直接お客様にお届けしています。
そして3つ目が、一般医療機器(クラスI)の製造販売です。2025年に第三種医療機器製造販売業の許可を取得し、身体の保護や血行の促進などを目的とした製品を製造できるようになりました。これら3つの軸を回すことで、市場の変化に柔軟に対応できる体制を整えています。
─特に自社ブランド「ARISAYA」を立ち上げられた背景には、どのような想いがあったのでしょうか。
最大の理由は、自社主導で動きたかったという点にあります。OEMやODMは、どうしてもお取引先様のご要望ありきの受け身のビジネスになりがちです。しかし、コロナ禍のような予測不能な事態が起きた際、自分たちで販路を持ち、攻めの姿勢でいられる手段が必要だと考えました。「両足で歩く」ように、受託生産と自社販売、その両方を確立させることでリスクを分散し、より安定した経営を目指しています。
また、ECサイトであれば実店舗よりはコストを抑えられ、効果が現れるのも早いです。一からEC販売を始めようとしたら難しいですが、幸い、長年の経験から製品をどう作るかというノウハウは十分にありました。あとは、どう商品を選びどう売っていくか、という点を学べば早く立ち上げられると思ったんです。

長年のOEM・ODM生産で培った技術が詰まった商品たち
医療機器の付加価値で、アパレル“雑貨”との差別化を図る
─2025年に取得された「第三種医療機器製造販売業」についても伺いたいのですが、これは取得まで大変だったのではないですか。
そうですね。役所の方による現地調査や直接の指導、そして国が定める基準に沿った膨大な書類作成、生産管理マニュアルの整備など、やはり時間と費用がかかりました。
─それでも取得に踏み切った理由はどこにあるのでしょうか。
今、アパレル業界は円安の影響や、海外の安価な製品との競争で厳しい状況にあります。そうなると、どう差別化するかということが非常に重要になってきます。これまで培った生産ノウハウを活かしつつ、医療機器としての機能性を付加し、高い技術や管理体制を公的に証明することで、単なる雑貨としての靴下や衣類とは差別化しようと考えたんです。健康志向が高まる中で市場も大きくなっていくのではと予想していて、機能性を付与した商品を今後どんどん増やしていきたいです。
商談から即成約へ。販売・仕入れの両面でBig Advanceを活用
─Big Advanceを活用いただいていますが、具体的な成果はいかがでしょうか。
良い成果が出ています。カタログ通販などを展開されている福岡の企業様とのご縁をいただきました。昨年(2025年)の12月にオンラインでの商談が始まりましたが、とてもスピーディーに契約まで至りました。福岡まで伺ってお話し、カタログに掲載する最初の商品企画もその時に固まりまして。今年(2026年)の4月号のカタログから掲載が始まり、その後も6月、8月と継続して掲載される予定です。
─どのような商品が掲載されるのですか?
4月号は英国キャラクターのルームウェア、6月号は当社企画の商品で、ノーブランドになるのですが、シニア層向けのルームウェアです。その次の8月号もパジャマ、ルームウェアでほぼ決まっている状況です。先方の顧客層であるシニア世代に喜ばれる商品を企画・提案しています。
─その他にも活用の事例はありますか。
大手小売店様との商談ルートも確保できました。以前は商社経由でのお取引がありましたが、円安によるコスト面で一時止まっていたところ、マッチングをきっかけに再提案の機会を得られました。
また、仕入れ先探しでも助かっています。現在、当社は生産の9割が中国ですが、お客様の中にはコストが合えば日本製を希望される方もいらっしゃいます。例えば、「すでに中国製で作っていたけど、付加価値を付けた商品に変えて日本製にするにはどうすればいいか」といったODMのご相談をいただくことがあります。そうした需要に合わせて、国内の縫製メーカーを探していて、2社と商談の機会をいただきました。
経験とルーツを活かして構築した安定的な海外生産ルート
─張代表は長年アパレル業界にいらっしゃいますが、独立に至るまでの経緯を教えてください。
元々留学で来日し、新卒で入った会社が靴下メーカーで、そこで生産管理に携わりました。その後、別の会社で海外営業を担当し、生産と営業、両方の知識を持って2017年に独立した形です。当初は独立を考えていなかったのですが、取引先の方から「会社という組織ではできないことも多いから、やってみたらどう?」と言っていただいたのがきっかけで。自分でも立ち上げられるんじゃないかなと思い、始めました。
─会社員時代の経験から、中国との取引にも慣れてらっしゃったんですか?
そうですね。その繋がりもありましたし、独立してからも新規開拓をしました。中国でも産地ごとに得意分野が明確に分かれているんです。日本でいう「靴下なら奈良」「タオルなら今治」というのと同じですね。中国でも、この地域はランジェリーが得意、この地域は靴下が安い、品質が良いといった具合です。会社員時代はあちこち回って、そういった地域の特性を把握しました。また、海外取引となると、いろいろなルールやコミュニケーションの取り方が変わってきますし、現地の環境に慣れていないと難しいこともあります。私は中国出身なので中国のビジネス環境は理解していました。そんな中で試行錯誤を繰り返し、海外のルートをほぼ安定させることができました。
医療機器の技術を武器に、スピーディーな商品開発へ
─会社経営において、また張代表個人として大切にされていることは何でしょうか。
重要視しているのは、一言で言えば誠実さです。やり取りをする中で、相手の話は信用できるかどうか、もしくは自分のことを先方が信用してくれているかどうか。そこには双方の誠実さが必要だと考えています。ビジネスだけではなく、普段の人間関係の構築においても同じだと思っています。
また、人は誰も完璧ではないと考えています。だからこそ、出会った人たちの素晴らしい点を見つけて学ぶことを意識しています。そして自分なりの完璧を目指したいなと思っていますね。難しいですけれど。
─最後に、今後についてお聞かせください。
今後注力していきたいのは、トレンドを素早くキャッチし商品に落とし込むことです。商品の企画開発というのは時間がかかります。今はリカバリーウェアが流行っていますが、また新しいものが出てくるでしょう。どんどん変わる流行を、すぐにキャッチしていかないと、後手に回ってはお客様を獲得できなくなります。OEMがメインの中で、自社ブランドや新規のお客様獲得のための商品開発をどうやっていくのかという点は難しい。ですが、一般医療機器の製造技術も活かしながら取り組んでいきたいですね。
従業員4名の少人数の組織だからこそ、堅苦しいルールに縛られず、全員でアイデアを出し合い検証し、フレンドリーかつスピーディーに進めていきたいです。
<会社情報>
| 筌維インターナショナル株式会社 | |
|---|---|
| 所在地 | 神奈川県川崎市宮前区馬絹6-5-18山一ビル5F |
| 設立 | 2017年8月 |
| URL | |
| ※情報と肩書は取材当時のもの | |


