2025年05月15日

沖縄で働く外国人材も地域社会のひとり
DREAM CONNECTが描く理想の社会に向けて

沖縄県で外国人材紹介事業を営む株式会社DREAM CONNECT。単なる条件だけの雇用ではなく、人と人としての関係を築き、外国人材たちが地域に定着して働けるようさまざまな支援を行っています。また、社会課題の一つでもある外国人材の住環境問題にも取り組んでいます。今回は代表の宮城氏に、その事業や取り組み、沖縄県に住む外国人材を取り巻く環境と現状、今後の展望についてお伺いしました。

株式会社DREAM CONNECT 代表取締役 宮城 俊彦 様

日本に働きに来るために借金が必要なのはなぜ?

-事業の概要や背景を教えて下さい

当社は外国人材紹介の事業を行っていて、特定技能という在留資格に特化した人材紹介をしています。主に介護・宿泊・外食業・ビルクリーニングの4分野でやっていますが、ほとんどのお客様が介護事業所や病院様です。

旅行会社に勤めていた頃、東南アジアを頻繁に行き来していたんですが、現地の友人や知人ができていく中で「日本で働きたい」「日本に行くために日本語を勉強している」という人の話をよく耳にしました。初めは日本はまだまだ人気があるんだな、とその話を聞いていましたが、だんだん深掘りしていくと「日本に行くために借金をしている」と言うのです。なぜ日本に働きに来るのに借金が必要なのか?調べていくうちに、彼らが日本に来る前の段階で背負わなければならない金銭的負担が多く存在することを知りました。日本に来るためにさまざまな形で借金をしている彼らは、どういう気持ちを持って日本に来たのか?これまでの人材紹介では、そういった情報はしっかりと伝えられていないと思いました。雇用側も彼らのバックグラウンドをしっかり理解した上で雇用することで、より良い関係が築けるはずです。

人材の条件だけを見て雇用に繋げるのではなく、人として気持ちでつながっていくという世界観を自分の周りからつくっていきたい、という気持ちでこの会社を始めました。私たちの業界では「多文化共生」と言いますが、当社はそういう社会を構築していこう、という発信をしている会社です。

住むところがなければ雇用もできない。外国人材の住環境問題に取り組む

-宮城様は「住みまーる」という活動もされていますよね。こちらについても教えていただけますか?

住みまーる」は、在住外国人材の住環境整備を主とした活動になります。
始まりは、病院でネパールの方々を11名雇用することになったのがきっかけです。彼らが職場近隣のアパートを借りようとした時に「居住するのが外国人」「問題が起きそう」といった理由で入居を断られてしまったんですね。しっかりとした雇用形態で働きますし、雇用企業が賃借人として契約し、彼らを保証しますと言ってもダメだったので、保証人がいないことが直接の理由ではなく、何か根本的な、別の問題があるんじゃないかと思いました。

日本の経済としては外国人材の労働力に頼らざるを得ないのですが、地域ではまだまだ受け入れに対して抵抗感があるのも事実です。「外国人」という響きだけで、どんな人かわからない、という気持ちが先に来てしまい不安になるのではないかと思います。でも、働きに来てくれた外国の方々にも住居は必要です。大家さんに彼らが入居することに対する不安を伺った上で、貸すことのメリットをしっかり示すことができればこの問題は解決できるんじゃないか?と、NPO法人、不動産管理会社、人材紹介会社の有志の4名で立ち上げたのが一般社団法人住みまーるです。

-ここ(取材場所)の上がシェアハウスになっていると先ほどお聞きしました。

住みまーるの活動はもう2年ほどやっていて、新聞などにも取り上げていただいたこともあり認知が上がりました。これを知った家主の方から連絡をいただきまして、「うちの会社もネパールの子たちに助けられている。ただ学校を卒業して就職という段階になった時に、いつも住居が借りられない。なので県外に行きます、という子をたくさん見てきた」と。「これはうちの会社にとっても大きな損失で、沖縄の経済にとってもここで学んだ人たちが定着せずに別の場所に行ってしまうというのは良くない。だからこの物件を使って沖縄県で活躍する外国人材の居場所をつくってくれ」と、シェアハウスにできるこの物件を貸してくれました。

外国人材が物件を借りられない状況は深刻です。沖縄の住宅施策で優先されるのは高齢者や障害者等の問題ですし、沖縄が他府県と違うのは人口の減少が緩やかなので空いている住居自体が少ないということです。ですが、これから沖縄も人口が減って空き部屋ができますし、日本人が減って外国人材が増えていきます。そうなれば外国人材に対応していかないといけませんし、家主さんの資産を守りながら家賃収入を担保するにはどうすれば良いかを不動産管理会社も考えなければなりません。今からこの問題に目を向けていきましょう、という啓発活動もしています。この活動に賛同いただいている不動産管理会社などはイベントにも積極的に参加をしてくれています。
外国人材の住環境の問題は社会課題の一つでもあると思うので、行政とも連携して問題解決に向けて取り組みを続けていきます。

左からコザ信用金庫 棚原氏、宮城紗季氏、宮城俊彦氏、コザ信用金庫 比嘉氏

ホームページには海外からのお問い合わせも

-DREAM CONNECT、住みまーるの両方でホームページ機能をご活用いただいていますよね。使い心地はいかがでしょうか?

Big Advanceで作成したホームページには度々お問い合わせがある他、海外からのお問い合わせが来ることもあります。SNSもやっていますが、そこでは主に細かな情報を発信し、ホームページには実績などを載せて少し違いを出しています。サイトにこだわって作り込んだり運用したりするのはコストも手間もかかります。そこに時間をかけなくてもSEOもしっかり効いていて、かつリーズナブルにホームページが持てるのでうまく活用をしています。

起業の時に背中を押してくれた様々な人との出会い

-これまでの人生で転機となった出会いはありますか?

会社を立ち上げる時は、前職からお付き合いのあるコザ信用金庫の担当の方にもお世話になりました。事務所を構える時は、たまたまマンションを経営されている方が私たちの活動に賛同してくれて、空いているマンションの一室を貸してくれました。良い出会いの連鎖でどんどん物事が進んでいきました。

特にコザ信用金庫の担当の方とは出会ってから8年ほどになりますが、何かあったら相談に行くという安心感と信頼があります。「この人たちがいるならできる」と思えるほど周りの人に恵まれていたので、独立することができたんだと思います。

現地での教育が良い循環をつくり出す

-今後の展望について教えて下さい

この事業をやっている中で、お迎えした人たちがどうやったら地域社会に馴染んでいけるかを考えると、やはり事前の教育が大事だと思いました。私たちが雇用企業に彼らの想いを伝えるのと同様に、彼らにも私たちや雇用主がどういった想いでお迎えしているかをしっかりと伝えています。ですが、日本とは違う宗教や文化の中で育ってきたこともあり、どうしても伝わりきっていない部分がありました。沖縄で働き、地域の人と共に生活していくには、やはり日本の文化や習慣を事前に知ってもらった方が良いので、まずは現地の高校生に対して日本語教育やキャリア教育を行うことを決めました。

DREAM CONNECTの学校でしっかり学び、日本に来る前から信頼関係を築いた状態で沖縄に来て、活躍してもらう。その方が地元に戻った時には先生として、学校で日本の経験を後輩に教え、また沖縄に送り出す。人が循環する仕組みを作りたいなと思います。そのために今後は現地での教育活動も始めていきたいと考えています。

<会社情報>

株式会社DREAM CONNECT
所在地 沖縄県那覇市辻2-23-12
設立 2022年5月
URL

https://www.big-advance.site/c/203/1352

※情報と肩書は取材当時のもの
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