2026年06月01日

作り手と売り手の想いをデザインでつなぐ
アートデザインセンターの「三方よし」の新たな挑戦

神戸で42年にわたり、洋菓子店や大手食品メーカーのデザイン・コンサルティングを手がけてきた株式会社アートデザインセンター。時代の変化とともに「デザインを納品して終わり」という従来のビジネスモデルが曲がり角を迎える中、取締役の横山功氏は、自社で商品を仕入れ、販売する「物販事業」を展開。そこに作り手と売り手をつなぐ「マッチングの効果」を視点におき、新たな風を吹き込んでいます。タイでの駐在経験を持つ商社出身の横山氏が目指す、デザイン会社の枠を超えた「モノづくり」の未来と、その歩みを支えるBig Advanceとの出会いについて伺いました。

株式会社アートデザインセンター 取締役/株式会社ガトー・スヴニール 取締役社長  横山 功 様

作り手の想いを市場へ届ける仕掛け人として。新たな事業をスタート

─まず、御社の事業内容と歩みについて教えてください。

当社は1983年に私の父が創業し、今年で42期目を迎えます。創業当時はデザイン業が中心で、特に「神戸といえば洋菓子」というイメージがある通り、多くの洋菓子店様のサポートをさせていただいてきました。まだ個人商店だった頃の有名店様の店舗の改装や、POPの見せ方、商品のパッケージデザインなどを手がけています。また大手食品メーカー様のデザインコンサルティングも長年担当させていただき、プロのデザイナーがゼロから価値を生み出す「ゼロからイチへ」のモノづくりやデザインの提案にこだわってきました。

しかし、近年はコロナ禍やデジタルツールの普及により、デザイン業界を取り巻く環境が大きく変わりました。誰もが手軽にデザインを作成できる時代になり、いただく依頼の内容も変わってきています。たとえば、90%くらいできあがったところで残りを仕上げてほしいという依頼や、ネットで拾ってきたデザインをもとに3パターンくらい提案するという相談が増えているんですね。

要は、デザインをゼロから生み出す時の付加価値がつけられなくなっているんです。ネットのサービスも拡充されていますから、デザイン料だけでの単価が維持しづらくなってきたのが実際です。こうした危機感から、現在はデザインを手がけ、それを商品として販売する物販事業や、販路までをサポートするディレクション業務に注力し始めたところです。

会社のロゴ。デザイン会社らしい洗練されたデザイン

商社での経験が導いた「作り手」と「販路」をつなぐ新スキーム

─「物販」について、具体的にお伺いできますか?

当社は2015年に「ガトー・スヴニール」という別会社、自社ブランドを立ち上げました。おみやげ市場向けのパッケージ企画や販売を行っています。もともとお付き合いのある洋菓子店様から仕入れ、様々な店舗に卸しているんですが、これは「こだわりのある職人さんのお菓子」と「確かな販路」をマッチングさせたいという考えから始まりました。

お菓子業界には、腕は一流でも営業が苦手という職人さんがたくさんいらっしゃいます。一方で、空港やサービスエリア、観光地のみやげ店などで購入する顧客の側は、常に「新しくて魅力的な商品」を探していて、基本的にはネットで流行っているものや話題になったものというふうに、どうしても大手の有名ブランドに目が向きがちです。

そこで、私たちが中間に立つことで、職人の皆さんの自信作に「売れる顔(=パッケージデザイン)」を提案させてもらっています。最近では全国各地の観光名所とのコネクションが出来上がりつつあるので、そちらへ足を運び「こんな素敵な商品があるんですが、どう思いますか?」とプレゼンをする。いわば、プレゼンと販売の代行をするような感じでしょうか。

現在は神戸や横浜、沖縄などそれぞれの観光地のおみやげのサポートもお任せいただいています。お菓子を仕入れてパッケージをデザインし、アソートまで手がけて納入する。そこまで一貫してお任せいただいています。

─デザインに留まらない提案をされているんですね。

先ほどの繰り返しになりますが、デザイン会社はこれまでと同じことをしていたらおそらく衰退していくでしょう。AIが主流になってくることで、より単価の競争が激しくなります。これからは「人でしかできないこと」が重要になってくると思います。

当社でいえば、これまで培ってきた42年間の歴史で何が新しくできるのか。そう考えたとき、今までデザインさせていただいた洋菓子店のリストがあり、それを売る先のリストも持っているわけです。「こことここを組み合わせたら、新しい反応が生まれるんじゃないかな」と、両者をつなげるアイデアを練り、取り組んでいます。

こうした「つながり」に目を向けたのも、ひとえに待っていても仕事は来ないんですよね。デザインをやらせてくださいと言ったところで、ニーズがなければやらせてもらえません。そこで洋菓子店や作り手の皆さんに「今の商品のままでいいので、私が売ってきます」と伝えると、喜んでくれる。持って行った先の売り場に合わせて「リデザイン」を提案します。販売する店舗側は売り場のイメージがすでにあるので「これだったらウチに合うね。お願いします」と話がつながっていくんですよね。

─その柔軟なアイデアは、横山様の経験からきているのでしょうか?

そうかもしれません。私はもともと商社で働いており、2024年の初めまでタイに駐在していました。商社時代、特に海外でのビジネスでは「人と人をつなぐ」ということの価値を肌で感じてきました。たとえ自分の専門外のことでも「調べてきます」「探してきます」と、ホスト役となって動くことで、お客様との絆が深まり、最終的には大きなビジネスにつながっていくこともあります。リアルに対面する価値というのを強く感じましたね。

一昨年、父から「コロナ禍で大変な状況を助けてほしい」と言われて戻ってきましたが、商社時代の「ホスト役として絆を深める」スタイルを活かして、さまざまなチャレンジをしていきたいですね。

新たな出会いを期待し、Big Advanceに参加

─ところで、Big Advanceを導入されたきっかけは?

お付き合いのある金融機関さんからの紹介で始めました。「新たな仕入れ先と販売先を見つけたい」というのが一番の理由ですね。先ほどお話したように、今はもともとお付き合いのある方々から仕入れをしています。

Big Advanceのようなプラットフォームで情報公開をしている企業は「自分の想いを込めた商品を売りたい」という考えがあります。それってどんな商品だろう?と気になりますし、それは販売先についても同じです。Big Advanceのページを見ることで「どんな商品を仕入れたい」と考えているかを知ることができます。どんな企業が、今、何を求めているのかを知りたいという気持ちから登録しました。

─マッチングで成約されていますね。

はい。愛知県でお茶の製造・販売をされている会社様です。先ほど洋菓子と言いましたが、ひとつにこだわらず、良いなと思う食品を扱っていきたいですね。浮世絵パッケージのお茶を扱われていて、これはとてもユニークで可能性があるのでは?と思い、お話をさせていただきました。すると、ぜひとおっしゃっていただき、いくつかの販売店様に卸しています。

商社の時もそうでしたが、全くの新規でお会いする場合、最初の一歩が一番難しいもの。私は「初手が一番大切」と思っています。かなり慎重に考えて最初の連絡をさせていただくのですが、Big Advanceを通じて連絡する場合は、そこに安心感を持って新しい企業様にアプローチがしやすいと感じています。

─最初の一手、どのようなことに気を遣っているのでしょう?

Big Advanceやホームページには載っていなくても「こういう課題があるのではないか」「こんなことを求めているのでは?」と想像するんですね。決して飛躍しすぎないよう、あ、そういえばというふうに受け取ってもらえるところの提案を狙っています。

また私たちはデザイン会社ですが、販路をこれだけ持っていますよとお伝えし、「販売も手がけている」と知っていただく。御社の商品を求める販売先を当社は持っていると伝える。先方が必要なことを想定し、当社ができることを細かくお伝えすると、1回話を聞いてみようかと思っていただけます。

「商品と販路をつなぐ」。商社時代の経験を武器にこれからを見据える横山氏

ヒット商品を生み出し、関わるすべての人を笑顔に

─最後に、これからの展望について教えてください。

やはり「ヒット商品を作りたい」と思います。年間でいうと、売上プラス1億円をもたらすような商品を。もちろん私たちだけの力でできることではないので、仕入れ先のメーカーさん、そして販売先の皆さまと協力し、本当に喜ばれる商品を送り出したい。その結果として数字がついてくるのが理想です。

作り手であるメーカーさん、売り手である販売店さん、そして買い手であるお客様。みんなが笑顔になれる、喜んでもらえることを形にするのを目標にして、これからも頑張っていきたいと思います。

<会社情報>

株式会社アートデザインセンター
所在地 兵庫県神戸市中央区磯上通4-1-14 三宮スカイビル
設立 1983年1月(創業)
URL

https://adc-kobe.co.jp/

※情報は取材当時のもの。
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