スタッフ皆が「語れる」酒屋でありたい。
リカーショップ・イシカワが貫く、
確かな知識と誠実さで愛される店づくり
広島市西区・古江地区に根を張り、1938年の酒類販売免許取得から続く有限会社リカーショップ・イシカワ。大手ゼネコンでの土木の仕事を経て酒屋を継いだ代表の石川清和氏は、ソムリエやきき酒師など多彩な資格を取得しながら、スタッフ全員が「どんな問いにも答えられる」酒屋を築いてきました。試飲を重ねて選んだお酒、地域行事との深いつながり、そして1900年代のヴィンテージワインを開けて常連客と囲む夜──。Big Advanceを通じた情報発信の話も交えながら、石川氏の酒屋哲学を伺いました。
有限会社リカーショップ・イシカワ 代表 石川 清和 様
昭和13年から続く酒屋に転身。何事も勉強あってこそ
─まずは事業の概要と、石川代表がこの仕事に就くまでの経緯を教えてください。
当店は、1938年に酒類販売の免許を取得した老舗の酒屋です。以前から雑貨屋のような形でいろいろなものを売っていたのですが、免許を取得して以来は酒屋一筋です。私で三代目になります。
私自身は、もともとお酒の世界とは無縁のところにいました。大学は広島で、卒業後はゼネコンに入社して8年間、地下を掘る土木の仕事をしていました。お酒は飲むのは好きでしたが、まさか販売する側になるとは思ってもいませんでしたね。
転機になったのは、妻との出会いです。大学時代に広島で知り合い、結婚して。仕事でいろいろな場所を転々とするうちに「そろそろ疲れたな」と思っていた頃、祖父の体調が悪くなったタイミングで広島に戻ることになったんです。それがちょうど今から40年ほど前のことです。もし妻に出会っていなければ、そのまま会社に居続けていたと思いますよ。
─転身当初は苦労もあったのでしょうか?
味を覚えることより、接客が最初の壁でした。土木の仕事では接客をする機会がほとんどなかったので、最初はお客様にどう話しかければいいかも戸惑いましたね。妻がとにかくよくしゃべる人なので、彼女の接客を見よう見まねで学んでいきました。祖父も人前でそう多くはしゃべらない人だったのですが、やはり勉強あってこそ成り立っているんだということを実感しました。

店先には有料試飲コーナーの案内も。
気に入ったお酒だけを仕入れる。資格と知識が生む「提案力」
─品揃えにはこだわりがあると伺いました。
当店に並んでいるお酒は、基本的に私や妻が実際に試飲して「おいしい」と思ったものだけです。昔は全国各地へ足を運んで飲んで回りましたが、仕事の中でさまざまな産地を訪れるうちに出会ったお酒も多いですね。「これはいい」と思ったものを集めてきているので、棚に並んでいるものはすべて自信を持っておすすめできます。
─資格もたくさんお持ちですよね。
ソムリエ、きき酒師、フランス食品振興会のコンセイエ(ワインの販売アドバイザー)など、いろいろ取得しました。資格を取るということは勉強しなければならないということ。勉強すれば知識が身につき、お客様への説明の幅が広がる。それがいちばんの理由ですね。お酒は何でも好きで、フランスワインとか日本酒とか特定のものが特別に好きというわけではなく、強いて言えば、ポルトガルワインに魅力を感じています。ポルトガルは日本と同じように魚料理が多く、マデイラワインやポートワインなど個性的な品があって、食との相性が楽しいんですよ。
─スタッフの方々も資格をお持ちだとか。
はい。パートスタッフも含め、みんな資格を持って勉強しています。当店の強みは「誰が対応しても、きちんと説明できる」という点です。新しいお酒が入荷したら試飲会を開いて、味の特徴やどう説明するかをみんなで確認する。飲み会のような楽しい雰囲気ですが、れっきとした勉強会です(笑)。「この料理に合うお酒は?」というお客様からの相談にも対応できるよう、食のご提案もできる体制を整えています。

石川代表が厳選したお酒が棚一面に
常連客とワインを囲み、関係を深めるひととき
─2階のスペースでも活動されていると聞きました。
木曜日はワインセミナー、金曜・土曜は近所の常連さんを呼んでの飲み会をしています。10人くらいしか入れない小さなスペースですが、それくらいが顔の見える関係でちょうどいい。最近は「セミナー」というより、古いヴィンテージワインを開けてみんなに飲んでもらう会になっています。なかには1900年代のワインもあって、コルクがボロボロになっていて販売できないものを「みんなで飲もう」と開けることもあります。10万円くらいするものをセミナー価格で提供していたこともありましたね。
─立ち飲みスペースも昨年(2025年)から始められたんですよね?
はい。店頭で立ち飲みができるようにしました。毎日営業していますよ。この古江地区は転勤族の方が多い地域で、新しく越してきた方がふらりと立ち寄ってくれることもあります。まだまだ認知されていないので、もっと知ってもらえたら良いなと思っています。
─百貨店への出店経験もお持ちですね。
広島の大手百貨店に数年間お世話になっていました。「いい店広島」という広島市や広島商工会議所の選定にお客様の紹介で選んでいただいたことがきっかけで、百貨店の方が来られてご縁をいただきました。スタッフが誰でも丁寧に説明できるスタイルは、百貨店との相性がよかったと思います。いい機会をいただきました。
パソコンの故障がBig Advanceとの出会いのきっかけ
─Big Advanceを始めたきっかけを教えてください。
もともと自前のホームページを持っていたのですが、パソコンが壊れてしまいまして。そのタイミングでちょうど担当の方に来ていただいて、Big Advanceを勧めていただいたんです。そこでいいな、と。定期的に写真を中心に更新しています。
お店の商品だけではなく、地域とのつながりを発信するようにしていて、地域の行事や神楽などのイベントの写真もよく載せています。更新自体はそれほど難しくなく、写真を投稿するくらいなら苦になりません。ありがたいです。
─マッチング機能も使われていますね。
3件ほどマッチングでの申し込みがありました。中には「大阪で店を出しませんか」というものも。「一緒に何かできませんか」という形のご提案であれば話を聞いてみたいと思っています。以前、オリジナルラベルのお酒を作って販売したことがあるのですが、今の時代は量が見込めないのでそれはなかなか難しい。ただ何かコラボできることがあれば、とても興味はあります。
当店はめずらしいお酒を目当てに来るお客様も一定数いらっしゃいます。たとえば先ほどのポルトガルワインなど、ほかのお店ではなかなか見かけないものを置いているのが個性でもあります。ただ、宣伝して来ていただいても、仕入れ量に限りがあるため「今は在庫がありません」というケースが出てきてしまう。そこで積極的な宣伝は控えているのが正直なところでしょうか。知ってくださっているお客様が来てくださる、という今のスタイルは大事にしながら、新しいご縁があったらと思っています。
地域の行事と神楽を次世代へつなげたい
─地域活動にも長年携わっていらっしゃるとか。
はい。町内会の役員を長くやっています。正直しんどいですよ(笑)。実は、生まれは京都の舞鶴なんですが、この古江地区に来て40年。非常に住みやすい町で、行事も多く、人とのつながりが深いいいところだと思っています。だからこそ、次の世代にもちゃんとつなげていきたい。若い方にも少しずつお願いしながら、役員の業務を移行していきたいですね。
特に守り続けたいのが、新宮神社の神楽です。これは伊勢流の神楽で、出雲神楽のように華やかではなく、どちらかというと大人しい雰囲気のもの。でも200年以上続いていて、今は井口・古江地区でしか受け継がれていない大切な文化なんです。中学生の頃から関わってきた子が大学進学などで地元を離れてしまうのは寂しいですが、それでもこの神楽が続いていくよう力を尽くしたいと思っています。

ほかの店にはない品揃えが魅力。写真はその一例・鹿児島県産の本格焼酎「至誠心 天誅」
「おいしかった」のひと言のために。変わらない姿勢を貫く
─最後に、今後の展望を教えてください。
今やっていることの基本をしっかり続けていきたいという気持ちが強いです。仕入れた商品に対して責任を持って説明する。それがずっと変わらない当店のスタンスですね。
お客様から「おいしかったよ」と言っていただける瞬間がうれしいですし、そのひと言があるから、次の仕入れにも責任を持てるし、もっといい説明しようという気持ちにもなります。お酒のことをよく知らないお客様が「これ買ってみよう」と来てくださって、「おいしかった」と戻ってきてくれたとき、店主として本当にうれしいんですよね。
立ち飲みスペースも始めたばかりですし、知っていただければ気軽に立ち寄れる場所として活用していただけると思います。コロナ禍以降、お酒全体の消費量が減り、免許制度の緩和による価格競争も激しくなっている時代ですが、「ここにしかないお酒を、きちんと説明できる人間が売る」──それが当店の変わらない強みであり、これからも守り続けていきたいですね。

「おいしかったよ」のひと言がいちばんうれしいと話す石川代表
<会社情報>
| 有限会社リカーショップ・イシカワ | |
|---|---|
| 所在地 | 広島県広島市西区古江西町3番2号 |
| 設立 | 1938年 |
| URL | |
| ※情報と肩書きは取材当時のもの | |


