新潟発「椎谷.coffee」
規格外野菜を活用し地域をつなぐ

新潟市の田園風景が一望できる「椎谷.coffee」。店内に一歩足を踏み入れると、焙煎機から立ち上るコーヒーの豊かな香りが迎えてくれます。大きな窓からは美しい山々が見渡せ、訪れる人々を穏やかな時間へと誘います。「農家をやっている地元の方々が休憩できる場所を作りたい」――その想いが、この店の原点です。代表の椎谷忠司氏はデザインの仕事から調理の世界に入り、地元でカフェを開業。7年をかけてじっくりと地域に根を張ってきました。今では規格外野菜を活用する場としても、地域の農家さんたちにとってなくてはならない存在に。優しく穏やかな語り口で、地域への深い愛情と確かな信念を語る椎谷氏に話を聞きました。
椎谷.coffee 代表 椎谷 忠司 様
デザインから調理へ 地元への想いが導いたカフェ開業
─まず、カフェを始められた経緯について教えてください。
新潟市で生まれ育って、実家が農家だったんです。周りにお店がなくて農家のみなさんが休憩する場所がないなあとずっと感じていて。高校生の頃にそういう場所を作りたいと思うようになりました。
子どもの頃から料理が好きで、家業の畑仕事を手伝うよりも家族の昼食を作る方が楽しかったですね。ただ、絵を描くことも好きだったんで、調理とデザインのどちらに進むか迷ったんです。結局、デザインを選んで看板制作の会社に就職しました。市役所や講演会の看板、マラソン大会、大学のパネルなど、いろいろ作らせてもらいました。とても忙しくて楽しかったんですが、やっぱり地元でお店をやりたいという気持ちが強くなって。
30代で辞めて、調理の勉強を始めました。それまで飲食業に関わっていなかったので、和菓子屋さんや百貨店で働いて、飲食や接客を学びました。その後は病院や学校給食の大量調理に携わりました。レシピや献立の作り方を身につけてから、ここに店を作ることにしました。今年で7年目になります。
この場所を選んだのは景色です。山に詳しい方が、窓から見える山のことを教えてくださるんですよ。
─店内には焙煎機がありますが、開業当初からコーヒーに力を入れる予定だったのですか?
いえ、最初はコーヒーをやるつもりは全くなくて、食事やケーキを提供する休憩場所を考えていました。
新潟のコーヒー店が主催している講習にたまたま問い合わせたのがきっかけになりました。私は休みが不定期で、月1回しか通えない状況だったんですが、ありがたいことに月に1回でも良いとおっしゃってくださって。
初めて手網焙煎をした時、教わった通りにやったらすごくうまくできたんです。でも家に帰って自分でやったらうまくできなくて。それがとても不思議でハマってしまったんです(笑)。そこからコーヒーが好きになっていきました。焙煎しては他の店に持って行って飲んでもらったりして。その方に教えてもらえなかったら、もしかしたらコーヒー以外のものをやっていたかもしれないですね。

じっくり地域に根付いた7年間 人の輪が自然と広がる
─開業されてから、どのように地域に受け入れられていったのでしょうか。
最初の2、3年は、正直ほとんどお客さんが来なかったんです。田舎なので、店を知ってもらうことも難しくて。その間は週3回、病院や学校給食の調理の仕事に行っていました。
ちょうどコロナの時期と重なってしまい、店内での飲食ができなくなりました。それでカウンターで物販をしたり、テイクアウト専門にしたり。4年目くらいからようやくイベントができるようになって、店のことを知ってもらえるようになりました。
それからは、近所の女性たちが年に2回くらいここで集まって食事してくださるようになって。百貨店で働いていた時の同僚や、学校給食の仲間も来てくれるようになって。何も宣伝していなかったのに、何十年ぶりにお会いする知り合いもいたりして。ようやく、ワイワイと賑やかに集まる場になってきました。
─常連のお客さんも増えてきたそうですね。
ランチタイムは主婦層の方が多くて、土日は子ども連れのご家族が多いですね。平日は男性の方が一人でコーヒーを飲みに来られたり。近所の団地から、80代のおじいさん、おばあさんが週に何度か来てくださっています。みなさんでお散歩されていて、帰りにコーヒーを飲んでいかれるんです。開店した時から来てくださっているので、本当にありがたいですね。
店をやりたいと思った時に想像していた「農家の方や地元の方が集まる場所」に、少しずつなってきているのかなと思います。実は私自身、人と話すのは苦手なんです。コーヒーのワークショップもやってるんですが、とても緊張します。でも、ありがたいことにいろんな方が集まってきてくださって。
この辺のコーヒー店とも知り合いで、よく情報交換をしています。コーヒーの先生がいろんなコーヒー店を知っている方だったので、連れて行ってもらって紹介していただいたんです。何かあると相談できる仲間がいるのは心強いです。

規格外野菜に新たな価値を 農家さんとともに歩む
─現在力を入れていらっしゃるのはどんなことですか?
ランチですね。知り合いの農家さんから直接、規格外の野菜を安く仕入れられるので、それをメインに使っています。野菜がたくさんあるメニューなので、女性の方や大学生の方に喜んで食べていただいています。
農家さんの規格外の野菜をたくさん仕入れられるようになって、ランチをより充実させて提供できたらいいなと思っています。
─規格外野菜のフードロス問題について、現状はどうなのでしょうか。
やっぱりロスは多いですね。畑の肥料にすることが多いです。
毎年、10月~2月に月1回、新潟市の赤塚で朝市があるんです。「ハネモノ市」といって、農家さんが規格外の野菜を安く売るんですが、朝7時~8時の1時間で、お客さんが一気に来て、瞬く間になくなります。
通常の直売所でも扱えないような規格外野菜をかなり安く売っているので、寒い時期ですけど、足を運んで喜んで買ってくださる。直売所では、やっぱりある程度きれいな野菜じゃないと置けないんですよね。「ハネモノ市」のような規格外野菜の売り場がもっとあればいいなと思っています。
果物についても同じような取り組みをしています。コーヒーの先生から、規格外の果物のやり場に困っているという果樹園さんをご紹介いただいて、果樹園とつながりたい洋菓子店やコーヒー店のグループチャットを作ってくださったんですよ。規格外品があれば、欲しい人が手を挙げてそれぞれ活用する。リンゴや栗などの規格外品が安く手に入るようになりました。

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Big Advanceで念願のホームページ 更新の手軽さが魅力
─Big Advanceのホームページデザインサービスを利用されたきっかけは?
以前からホームページを作りたいと思っていましたが、時間がとれなくて。もともと持っていたホームページでオンラインショップもトライしていますが、少し作業せずにいると手間取ってしまうんですよね。実は最近、インスタが乗っ取られてしまったこともあって(笑)、さすがにしっかりしたホームページが必要だなと。
そんな時に、金融機関の担当の方から話があって、ホームページを作ってもらうことにしました。他社さんからも色々とお声がけいただいたんですが、何十万円もかかったり、更新が大変そうだったり。Big Advanceはだいぶお手頃な価格でしたね。
─デザインをされていたご経験から、ホームページ作成の大変さはご存知だったのでは?
そうなんです。だから、ホームページデザインサービスがあると聞いて、これはいいなと思いました。実際、すぐにデザインを作っていただけて、その後の更新もすごく楽なんです。苦にならず更新できています(笑)
ホームページを見てくださるお客さんも増えて、メールやお電話でお問い合わせをいただくようになりました。お店の予約や福袋の注文、場所の確認だけでなく、コーヒーのワークショップのご依頼もいただいています。

左:椎谷氏 / 右:新潟信用金庫 小野拓也氏
新たな挑戦へ 地域とともに成長する椎谷.coffee
─今後の展望について教えてください。
新潟市亀田の商業施設のフードコートに、コーヒー仲間と一緒に出店することになっているんです。そちらでもランチやケーキを出す予定です。
そこが軌道に乗れば、農家さんの規格外野菜をもっとたくさん買えるようになる。廃棄しなければならない野菜を減らせるので、そうなったらいいなと思っています。
─最後に、椎谷さんにとって転機となった出会いを教えてください。
やっぱり一番はコーヒーの先生ですね。その方との出会いがなければ、今のような形にはなっていなかったと思います。
最近は、将来カフェをやってみたいという方がアルバイトで入ってくれるんです。実際、ここで働いていた方が自分の店を始めて、当店の豆を使ってくれています。今日も焙煎に来てくれました。嬉しいことです。
コーヒーの先生との出会いが私の大きな転機になったように、今度は私がここで働く方の転機になれたらいいなと思っています。自分が受けた恩を、次の人に返していけたらと思っています。

<会社情報>
| 椎谷.coffee | |
|---|---|
| 所在地 | 新潟県新潟市西区中権寺2330 |
| 設立 | 2019年7月 |
| URL | |












