2026年10月19日

社長のかたわらに、伴走者を
いろの環が届ける、“外部の右腕”という経営支援事業

もともとは訪問看護事業から出発したという株式会社いろの環。代表取締役の井上祐一氏は、「地域の安心は、社員の安心から」という理念のもと、業界を問わず小規模事業所の経営者に向けて、“外部のナンバーツー”として組織づくりや経営判断を支援しています。また、医療機器メーカーで培ったマネジメントの経験を土台にした経営支援という新規事業を展開。Big Advanceをその柱づくりにどう役立てているのか、今後の展望とともに井上氏に伺いました。

株式会社いろの環 代表取締役 井上 祐一様

「地域の安心は、社員の安心から」を理念に創業

— まずは事業の概要と創業の経緯を教えてください。

当社は2025年7月に法人を設立しました。それ以前は医療・介護・福祉業界の企業に約2年半勤務し、本社所属として経営者の間近で組織運営を経験する中で、会社経営に興味を持つようになりました。いつかは自分でもなにか地域医療に貢献できればと考え、訪問看護師をはじめ地域医療の土台を担う人たちを支えていきたいという思いのもと、まずは訪問看護事業を立ち上げました。その中で気づいたのは、「地域の安心は、社員の安心から」ということです。その土台を担う人たちが安心して働けなければ、地域に安心を届けることはできないだろうと。

訪問看護事業を運営する中で、小規模な組織ほど社内のルールや判断基準を整理していかないと、組織の成長が衰退するという課題を実感しました。その経験をもとに経営支援事業を展開。現在はだいたい5名から15名前後の小規模な組織を経営されている社長様をはじめ、幹部の方々に対して、私が外部のナンバーツー的な立場で組織づくりや経営判断の支援をさせていただいています。

— 現在支援されているのはどの業界でしょうか。

基本的には、私自身の出身でもある医療・介護・福祉業界をターゲットにしていたのですが、実際にいろいろお話を聞いていくと、小規模な事業所が抱える課題はどこも共通していることが多いんですね。ですので、今は業界を問わず、同じような課題を持っている事業所へと裾野を広げています。

業界を超えて共通する“属人化”という課題

— 業界をまたいで共通している課題とは?

そうですね、ちょっと硬い言葉で言うと「構造」ですね。決まりごとやルール、社内的な規律が、大きな会社であればきちんと整理されているのですが、小さな会社は限られた人数の中でやっているぶん、どうしても「属人的な善意」の上に成り立ってしまいがちなんです。それが慢性化していくと、会社への不満や人間関係の問題、判断基準の曖昧さにつながり、会社が進むほどひずみが大きくなっていく。社員に寄り添うことは大事なことですが、その前に仕組みをつくっていくことが必要だと感じています。これは本当に小規模の会社様に共通する課題です。

— 経営者自身は、その課題に気づいているものでしょうか?

気づいていないことのほうが多いですね。私もそうでしたが、同じ志で立ち上げた仲間だからこそ、「経営者と従業員では見ている視点が違う」ということにどうしても気づきにくい。「一緒にやってきたんだから同じ目線のはず」と思い込んでしまう。それが盲点なんです。判断基準をきちんと仕組化していかないと、同じようなつまずきを繰り返してしまいます。意見の相違が出てきたときに戻るべき拠り所がないからです。一方で、何事も経営者の判断を仰ぎながら進めるとなると、それも業務の停滞を引き起こしてしまう。

— 井上さんに相談したいと思ってもらえるのは、どうしてなんでしょう。

やはり私自身が同じような失敗を経験しているというところが大きいと思います。お世話になっているメンターの方から「先生になってはいけない、一歩前を行く立場で接しなさい」と教わったことも大切にしています。最近、社員との向き合い方に悩んでいた福祉業界の方は、私が書いた本の内容に共感し、それを実践してくれたそうです。社員との面談を行い、結果的に納得のいく決断ができたとご連絡をいただきました。本に線を引いたり付箋を貼ったりして「バイブルのように使わせてもらっています」と、写真を送ってくださって。とても嬉しかったですね。

自らの経験をもとにした井上氏の著書『しくじり経営者が組織を壊した5つのこと』

会社員時代の経験が、今の“仕組みづくり”の原点に

— ところで、経営に興味を持たれたきっかけは?

前職の医療・介護分野の企業で働いていたときの経験が大きいですね。その会社の社長は、自分の思いを形にしたいと訪問看護を立ち上げた、非常にバイタリティーのある方でした。近くで仕事をさせていただく中で、会社の中身と言いますか、仕組みが見えてきたんです。コストの積み上げや構造がわかるようになり、それが面白くなっていきました。自分でも財務の勉強を始めたり、顧問税理士事務所の方との面談にも同席させていただいたりと、財務諸表を見ながら説明を受ける中で、会社の構造が少しずつ見えてくるようになりました。「会社の成長にはどこを伸ばしていかなきゃいけないのか」という視点を持つようにもなりましたね。

最近ではAIについて勉強しているところです。たとえば、経営診断とAIの組み合わせや、経営者専用のAIエージェントを作ることで、より良い提案につながるのではないかと。まだ準備段階ですが、新しいサービスとしてローンチに向けて取り組んでいます。

— 井上さんのお話を伺っていると、何かを学ぶなど、新しいことを取り入れるのがお好きなようですね。

そうかもしれませんね。医療機器メーカーで営業として九州の責任者をしていた頃、業務フローの二度手間、三度手間が重なっていることに違和感があり、上長に相談したところ、見直しを任せてもらえることになりました。営業至上主義になりがちな会社の中で「バックオフィスにもスポットライトを当てたい」という思いがあり、IT部門も巻き込みながら業務フローを全面的に見直したんです。このときの経験で、自分は仕組みを整えることが好きなんだと気づきました。

Big Advanceは“知ってもらう”と“探しに行く”の両輪で活用

— Big Advanceを始められたきっかけを教えてください。

訪問看護事業だけでなく、経営支援事業というもう一つの柱を作っていかなくてはならない。会社としてその必要性を感じていた時期に、金融機関の担当者に相談したのがきっかけです。「そのお考え、いいと思いますよ、ニーズもあるんじゃないですか」と背中を押していただき、考えを深めていく中で、Big Advanceのマッチング機能をご紹介いただきました。参加している金融機関が後ろ盾になっている企業様が多いという安心感と、月額利用料が手頃だったこともあり、当社を認知してもらう広告のような感覚で始められると感じたのが決め手でした。

— Big Advanceでホームページを作成いただいていますね?

経営支援事業とは別に訪問看護事業向けのホームページも持っていたのですが、経営支援事業に転換したタイミングでBig Advanceに一本化して運用しています。また、ホームページをリニューアルする前ですが、イラストを使ったトップページはあまり見かけないそうで、Big Advanceの担当者の方からホームページのコンテストにエントリーいただいたこともありました。残念ながら入賞は逃しましたが、誰かに注目してもらえていることがわかり、嬉しかったですね。

ホームページでは井上氏のコラムも掲載

— マッチングでは、成約にも至ったそうですね。

はい。登録することで当社を知ってもらえるだけでなく、「自分からも探しに行きやすい」というのが大きいですね。ある企業の方が出されていたニーズの中に医療・介護施設向けの案件があったんです。おそらく私たちが強みとする医療・介護分野の経営課題を協働で解決できるのではないかとピンときました。そして私たちであれば互いの事業と競合しない解決策を提供できるのではないかと思い、アプローチさせていただいたのが最初のきっかけです。

そこから実際に先方の社長と面談でお話をさせていただいたところ、病院での間接費のコストを下げていくソリューションをお持ちでした。私は以前、医療機器メーカーにいたので、そのあたりの事情には明るく話が非常に噛み合ったんです。

— そこから具体的にどのようなビジネスの可能性を見出されたのでしょう。

医療機器の業界では、メーカーは代理店を通じて自社製品を病院に販売するのが一般的な流通ルートです。メーカーより病院の事情に精通している代理店が、より存在感を高めていくために、これからは医療機器や医療材料を販売するだけでなく、病院が抱える課題を幅広く解決していく立ち位置を目指した方がいいのではないか——そんな話を提案させていただいて、意気投合しました。

そこから一緒に、間接費の部分でビジネスを組み立てていけないかと模索している段階です。私が医療機器メーカーに勤めていたときに、お世話になっていた地元の代理店様へのご紹介時には、社長に同行していただくなど、少しずつ動き始めているところです。Big Advanceがなければ出会えなかったご縁だと思っています。

ほかにも、IT企業の社長様とは情報交換をさせていただいており、広告関連の企業様とも、当社の事業をどうやって認知度を上げていくかというご相談を進めています。Big Advanceはエリアを問わず全国から参加できるのも魅力で、これまで近隣のお客様が中心だった分、この垣根を越えられる感覚は新鮮でした。

人生の転機になった、ふたりとの出会い

— これまでで転機になった出会いについて、ぜひ教えていただけますか。

ひとりは、医療機器メーカー時代に直属の上司として指導していただいた営業部長です。「部下の意見は一旦受け入れなさい」と教わったことが、私にとって大きな転機となりました。それまでは自分の経験や成功事例をもとに部下へ理詰めで話をしてしまい、部下が何も言い返せなくなっていたんです。それからは、その上司から教わった通り、まず受け入れて話をするようにしてから、部下の積極性が明らかに変わりました。今で言う「心理的安全性の大切さ」を学んだ経験です。

もうひとりは、あるKindle出版プロデューサーとの出会いです。出版を通じて、マーケティングやセールスなど、ビジネスの基本を改めて学び直しました。そして何より大きかったのが、起業家としての考え方を教わったことです。長く会社員として働いてきた私にとって、その考え方は大きな刺激になりました。最初は出版を教わる関係でしたが、今ではビジネスについて迷ったときに相談できる、私にとって欠かせないメンターです。

目指すのは、社長たちが安心していられる“居場所”づくり

— 最後に、今後、力を入れていきたいことを教えてください。

社長という立場は、相談相手がいなかったり、自分の思いをぶつける場がなかったりして、孤独になりやすいんですよね。ですので、そうした社長たちが安心して参加できるコミュニティをつくっていきたいと考えています。ただ、あまりオープンにしすぎると質が保てなくなってしまうので、基本的には紹介制・会員制で定員を決めて運営するつもりです。社長たちが持つノウハウや経験をシェアし合うことで、新たなビジネスが生まれる場にもしていきたいですね。また、社員が安心して働ける組織づくりと同じように、経営者自身が安心して経営判断ができる居場所づくりにも、並行して力を入れていきたいと思っています。

社長への伴走支援についてさまざまなアイデアを語ってくれた井上氏

<会社情報>

株式会社いろの環
所在地 福岡県福岡市博多区諸岡5-31-5
設立 2025年7月
URL

https://www.big-advance.site/c/160/2342

※情報と肩書きは取材当時のもの
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