「一品もの・特急品」に即応。フットワークで切り拓くオカモト製作所の未来
1989年の創業以来、阪神淡路大震災やリーマンショック、そして近年のコロナ禍といった数々の苦境を乗り越えてきた株式会社オカモト製作所。鉄やステンレスから難削材の加工まで手掛ける金属加工のプロフェッショナルです。同社が強みとするのは、大量生産ではなく、特注品や試作品などを製造する「一品もの」や、短納期が求められる「特急品」への対応力。法人・個人問わずフットワーク軽く応じる姿勢で、モノづくりにおける“急患を救うお医者さん”のような役割を担っています。
今回は、同社のこれまでの歩みや、Big Advanceでのホームページ制作をきっかけに得られた効果、そして将来像まで代表取締役の川村雅子氏と取締役の川村聡氏に詳しくお話を伺いました。
株式会社オカモト製作所 代表取締役 川村 雅子 様/取締役 川村 聡 様
フットワーク軽く「一品もの・特急品」に即応
─ まず、会社の歩みと事業概要について教えてください。
川村雅子代表 1989年に父である岡本安昭が、ここ兵庫の地で個人事業としてオカモト工作所を創業したのが始まりです。阪神淡路大震災やリーマンショックを乗り切り、2010年に株式会社オカモト製作所を設立しました。その後、川村聡が取締役、2016年に私が代表取締役に就任しました。業種としては金属加工業で、鉄やステンレス、アルミのほか、インコネルやハステロイといった難削材の加工も手掛けています。
川村聡氏 当社は量産体制ではなく、ロット数の少ない試作や試験用など、製品一つひとつに対して工程を調整して製造する「一品もの」の対応を得意としています。他社が敬遠しがちな鋳物などの工場内が汚れる加工や、古い機械・他社製品の修正や部品修理、大型製品への小さな穴あけ加工、製缶品の機械加工、スポット依頼など、変則的な品物に対してもフットワーク軽く対応できるのが特徴です。特に、短納期が求められる「特急品」への対応に強みを持っています。機械が壊れたからすぐに作ってほしいといった「なる早」の依頼に対し、先方から持ち込まれた時点で職人たちが話し合い、必要な部品の調達から加工まで素早く進めるため、まるでお医者さんにおける急患を救うような役割を担っています。
─ すべて御社内で完成させるのでしょうか?
聡氏 基本的にはそうですが、当社でできなくて外部の会社さんにお願いすることも、逆に手伝ってほしいと言われることもあります。そういうケースでは、各社作業方法が異なるため、お互いに「どうやってやるの?」とコミュニケーションをとりながら技術的な課題をクリアしていきます。当社の強みは、20年ほどいてくれているベテラン従業員が豊富な知識を持っていることです。彼ほどの職人はなかなかいないと思います。

― 聡さんは未経験からこの工場に入られたとお聞きしましたが。
聡氏 私自身は元々土木の仕事や運転手をしていてこの業界に関する知識もなく、結婚を機にこの仕事を始めました。最初は現場で5年経験を積んだら営業に回る予定でしたが、機械を徹底的に触るうちに10年が経っていました。先代が病気で退任してからは私が一人で営業から現場まで回すようになりました。経験豊富で技術力のある従業員の存在に助けられていますね。
─ 先代から引き継がれて、これまで大変な時期もあったのではないでしょうか?
雅子氏 コロナ禍のときは大変でした。仕事が取り合いになってしまい、競合他社もホームページで「一品もの、特急品対応」をPRして県外からも安く仕事を取りにくるようになりました。その中で当社が埋もれてしまい、売上が大きく落ち込んでマイナスが出る月が続きました。それでも、自分たちで出来る限り対応し、手数料を削りつつ、単価交渉を地道に進めました。コロナが明けてからは、町工場のつながりや小さな事業者同士の取引が増え、2025年度には売上や営業利益を大きく回復させることができました。
ホームページからの発信で、個人からの新規依頼も獲得
─ Big Advanceを導入された経緯と、ホームページの反響について教えてください。
雅子氏 以前から、当社の存在を知ってもらうためにもホームページが必要だと思っていました。でも見積もりを取ってみると制作に50万円ほどかかり、なかなか手を出せずにいたところ、金融機関さんからBig Advanceを勧めていただきました。費用面でも導入しやすく、トップページやロゴを一緒に考えてもらったのがありがたかったですね。
コロナ禍で仕事が少なくなった際には、他社があまり受け付けない個人の需要に着目し、「個人の方も対応します」という文言をホームページに載せてもらいました。そこから、個人が趣味で使う製品の数個単位の問い合わせが来て、実を結んだ案件もあります。依頼をいただいたら、一次対応は私が担当し、技術的な質問は聡さんに回す形で連携しています。今後は、AIで見積もり対応を自動化するなど、もっとAI活用も始めてみたいと考えています。
若い力を迎える環境づくりと、次世代への技術継承を目指す
─ では最後に、今後の展望や、目指していきたい将来像についてお伺いできればと思います。
聡氏 直近では人材確保が課題です。今は外部の協力会社さんへお願いしながらやっていますが、若い方を採用して技術を継承していきたいと考えています。そのためにも、入っていただきやすい環境を整えたい。今の建物は老朽化も進んでいますし、どこかへ移転したいと考えています。
とにかく当社の強みはフットワークの良さだと思うので、そこをいかして様々な依頼に臨機応変に対応しつつ、将来の計画も平行して進めていきたいなと思っています。
雅子氏 私も同じく、新しい方に来ていただき、もっとこの会社を盛り上げる担い手になってほしいなと願っています。
そして、将来的な理想として思い描いているのが、移転した先に事業承継に困っている小さな工場が集まって助け合えるような「工場団地」を作ることです。これを考えるようになったきっかけは同業他社さんとのやり取りの中で危機感を覚えたからです。3年前に「あと3年で閉じるかもしれない」と言っていた知人の経営者がいて……おそらくもう廃業されたと思います。また、近隣でも大手の子会社化の影響で受注がなくなりそうな工場があります。
そういった会社さんに対して、当社がM&Aをするには費用面でハードルが高いです。それならば、組合のように個々の会社が同じ場所に工場を移設して、支え合えるコミュニティを作れないかなと考えています。具体的にはまだまだこれからという感じですが、それぞれの工場や技術を後世に残していくためにも、今後力を入れていきたいですね。
目の前のことから一歩一歩動いていけば、思い描いていることに近づくと思います。フットワークの良さが当社の強みですから。

<会社情報>
| 株式会社オカモト製作所 | |
|---|---|
| 所在地 | 兵庫県神戸市兵庫区高松町1-50 |
| 設立 | 2010年10月 |
| URL | |
| ※情報は取材当時のもの | |


