微生物の力で暮らしを豊かに
ビッグバイオが挑む
「自然の力を当たり前にする」文化づくり
熊本県宇城市に拠点を構える株式会社ビッグバイオは、独自の微生物「BB菌」をはじめとする自然由来の素材を活用し、暮らしの困りごとを解決する製品の開発・製造を手がけています。防カビ剤や消臭剤、カメムシよけスプレーなど、環境に配慮しながら生活に寄り添う数多くの商品を届けてきました。近年は大手メーカーのOEM製造も拡大し、「微生物の力を世の中に広める」文化づくりへと歩みを進めています。代表取締役社長の阪本忠幸氏と、ライフクオリティ開発部 ライフデザイン戦略課 課長の一丸真奈美氏にお話を伺いました。
株式会社ビッグバイオ 代表取締役社長 阪本 忠幸 様/ライフクオリティ開発部 ライフデザイン戦略課 課長 一丸 真奈美 様
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微生物との出会いが生んだ、自然の力を届ける会社
─ まず、御社の事業概要について教えてください。
阪本代表 私たちは微生物や天然素材を使って、環境や家庭のお困りごとを解決できる製品の開発・製造に取り組んでいる会社です。もともとは水の浄化からはじまりました。川や池をきれいにしようとしたとき、まず家庭から出るものをきれいにしていかなければという発想から、家庭用品の開発へと着手しました。
微生物との出会いは、現在の会長がクリーニング業を営んでいた時代にさかのぼります。排水問題に頭を抱えていたとき、自然界の微生物が環境を浄化していることを知り、「自然の力できれいにできないか」と研究を深めていきました。きれいな川がなぜ清らかなのかを調べると、そこには必ず微生物の働きがある。人の体内環境も微生物が支えている。そうした学びを積み重ねながら、いわゆる普通の主婦だった会長が会社を立ち上げ、現在に至ります。
「自然をとなりに、『あった!』を暮らしに。」というコンセプトのもと、昔からある自然の素材を活かして、人と地球にやさしい製品を届けることが私たちの使命です。
─ 主なお客様や販売チャネルについてはいかがですか?
阪本代表 現在の販売は大きく2つの流れがあります。ひとつは、安心・安全にこだわった専門店やホームセンター、生協、通信販売などを通じた自社ブランドの商品展開です。微生物の働きは、お店でひと言で伝えるのはなかなか難しいものですが、カタログ通販や生協とは相性がよく、パンフレットなどでしっかり説明することができます。長年、通販のほうで実績を積んできました。
そして、もうひとつが、OEM(受託製造)です。工場を持たないメーカー様から依頼を受け、環境や人へのやさしさというコンセプトに共感いただいた企業様の製品や、無添加製品へのこだわりなど意識の高いお客様を持つ小売店様の商品を製造しています。現在はOEMの割合が全体の約7割を占めており、今年からは大手企業様との取引も増えてきています。
「困りごと」を拾い上げ、自然の力でニッチな需要を開拓
─ 御社の商品はユニークなものが多いですよね。開発はどのように?
一丸氏 私が所属するライフデザイン戦略課では、商品の企画段階から、パッケージデザイン、資材の選定、完成まで一貫して担当しています。さらに販促物や什器のデザインまで手がけるので、商品が生まれてから店頭に並ぶまでのプロセスをまるごと見ることができる、とてもやりがいのある仕事です。
阪本代表 自社商品の開発は、日々のお客様の困りごとを収集するところからはじまります。そしてそれが、これまで積み重ねてきた技術や素材のシーズと結びついたとき、商品になっていくんですね。
その好例のひとつが、カメムシよけスプレーです。もともとは農業で活用していた素材が家庭でも使えると気づき、既存のお客様にヒアリングしたところ、「カメムシで困っている」という声がたくさん集まりました。当時、カメムシを「よける」という製品は市場にほとんどなく、殺虫剤しか選択肢がなかったんです。洗濯物についたカメムシに殺虫剤はスプレーできません。「だったら、つかないようにしよう」という発想から生まれたこの商品は、翌年にカメムシ大量発生すると一気に認知が広まりました。大手企業様が手を出しにくい、こうしたニッチな困りごとへ「自然の力で応える」ことが、私たちの強みだと思っています。

商品の企画から店頭に並ぶプロセスまで手がける一丸氏

商品名もパッケージもキャッチ―なカメムシ忌避剤
「自由と責任」を育む組織。変わりゆく社風とは
─ ところで、阪本社長の経営のスタイルがここ数年変わったとか?
阪本代表 はい、そうなんです。かつてはいわゆる「ワンマン経営」で、営業から商品設計まで何でも自分で決めていました。でも売上規模が大きくなるにつれ、ひとりでできることの限界を感じるようになって。それからは組織をきちんと編成して、社員それぞれが責任を持って動ける体制へと変えていきました。
今は「否定しない」「ある程度任せる」ことを意識しています。ただ、これがなかなか難しいんですよ(笑)。どうしても言いたくなる場面はたくさんあって。ですから、意識的に会議には参加しないとか、結果だけを聞いておくとか、物理的に口を出す機会を減らすようにしているんです。
方針の方向性だけ伝えて、細かい決定は現場のみんなにゆだねる。そのさじ加減を、ここ2〜3年はずっと考えながらやってきました。
一丸氏 私は入社8年目になりますが、入社当初と比べると会社の雰囲気はかなり変わりました。「自由と責任」という言葉がまさにぴったりで、自分のアイデアを形にできる環境が整ってきたと感じています。
阪本代表 今年からは部門ごとのランチミーティングをはじめるなど、少しずつ対話の場を増やしています。会社の方針が社員全員に伝わり、現場の声もまた経営側にちゃんと届く。双方向の流れをもっとしっかりと作っていくことが、今の私の課題です。
微生物を「当たり前」にする未来を思い描く
─ 今後の展望をぜひ聞かせてください。
阪本代表 いちばんの目標は、微生物を使った製品や考え方を「文化」として社会に根付かせていくことです。今、家庭の困りごとを解決しようとしたとき、たとえばAIで検索しても「ビッグバイオの商品がいいですよ」とは出てきません。でも「微生物や天然素材でそういったことができるんだ」という認識が社会に広がれば、おのずと微生物の可能性がもっと広まっていくはずです。
OEMで7割の製品を手がけているのも、そのひとつの戦略です。私たちの名前が表に出なくても、微生物を使った製品が世の中に広まれば、それはやがて「文化」になります。そしてその文化が広がった先に、ビッグバイオという当社の存在を認知していただく、そういうイメージを持っています。
さらに長期的には、沖縄にバイオインキュベーション施設(微生物関連のスタートアップや研究開発を支援する施設)を拠点として設けることも計画中です。沖縄は環境問題への意識がとても高く、微生物研究の先端でもあるんですね。より良い研究環境のもとで、食糧危機への応用や新素材の開発など、微生物の可能性を広げていきたいと考えています。ゆくゆくは「プラスチックを自然に還す」「食品ロスをより迅速に堆肥化する」。5年後、10年後のビッグバイオはそんな技術を世に届けていると信じています。

今後の展望を語る阪本代表
今につながる人生を変えた「出会い」
─ では最後に、コネクトにちなんで「人生の転機」になった出会いがあれば、聞かせてください。
阪本代表 そうですね。最大の転機は、最初に就職した建設会社での出会いです。体育会系のかなり無骨な職場でしたが、そこに中途で入ってきた10歳以上年上の先輩が、人との接し方を徹底的に教えてくれました。「こういう人とはこう付き合いなさい」「現場の先輩作業員たちの機嫌をとることも時には必要だ」と。人間関係の築き方の基本を教わりました。
その先輩のおかげで、現場の作業員から現場監督まで駆け上がることができました。その後、当社ビッグバイオへ移ったのですが、正直、迷いもあって。でも、バイオの可能性に興味があり、当社の将来性に賭けて飛び込んだんです。この判断ができた根底には、先輩から学んだ「人との向き合い方」があったと思います。「きっとやっていける」という自信を育むことができました。あの出会いがなければ、今の自分はなかったですね。
一丸氏 私にとっての出会いは、大学時代の教授です。結構クセの強い先生が多い中で、その先生だけはとてもフランクで、いつも「とりあえずやってみましょう」と言っていました。何かに躊躇しているとき、「とりあえずやってみよう」という声が今でも頭の中に響くことがあります。卒業からずいぶん時間が経った今でも、あの言葉が自分の行動の背中を押してくれています。
阪本社長 一丸さんの「やってみよう」はきっと今の仕事にも生きていますよね。まずやってみる──その精神、ビッグバイオにも通じていますね。
<会社情報>
| 株式会社ビッグバイオ | |
|---|---|
| 所在地 | 熊本県宇城市小川町西海東2100 |
| 設立 | 2000年9月 |
| URL | |
| ※情報は取材当時のもの。 | |


