2026年06月18日

創業80周年の沖牟田玩具が見据える
「付加価値」の提案と発信力強化の未来

福岡県大牟田市に拠点を構え、今年で創業80周年を迎える株式会社沖牟田玩具。おもちゃ・駄菓子・雑貨の老舗玩具総合卸問屋として九州を中心に事業を展開し、直営店「おもちゃ流通センター」では会員制の卸売という独自のスタイルで幅広い顧客を集め続けてきました。代表取締役社長として同社を牽引する沖牟田嘉雄氏の経営スタイルを引き継ぎながら、12年前に建築業から転身して家業に戻った代表取締役副社長・沖牟田将平氏と、1年前に公的機関から転身して合流した弟・慎也氏を中心に、今まさに「データ経営と発信力強化」による次世代への橋渡しが進んでいます。Big Advanceを通じた情報発信の可能性にも着目する両氏に、80年の歩みと未来への展望を語っていただきました。

株式会社沖牟田玩具 代表取締役社長 沖牟田 嘉雄 様 / 代表取締役副社長 沖牟田 将平 様 / 常務取締役 沖牟田 慎也 様

創業80周年、おもちゃの魅力を届けてきた老舗卸問屋

─ まず、御社の事業概要について教えてください。

将平氏(副社長) 当社は創業80年の歴史を持つ、おもちゃ・駄菓子・雑貨の老舗玩具総合卸問屋です。九州を中心に全国のイベント会社様、露天商様、飲食店様など様々な業種へ卸売を行っているほか、「おもちゃ流通センター」という屋号で直営店も展開しています。直営店は会員制の卸売スタイルをとっており、法人のお客様はもちろん、個人のお客様にもご来店いただける開かれた仕組みになっています。

創業の経緯について教えていただけますか?

嘉雄氏(代表) 私の父が戦後まもない時代に商売をはじめたのがルーツです。当初は乾物屋からはじめたのですが、子どもたちに喜んでもらえるおもちゃは誇りを持って商売できる、と取り扱うようになったと聞いています。その後、父の代で会社が分かれ、1987年にこの「沖牟田玩具」、不動産部門の「沖牟田商店」と節句物を取り扱う「人形の沖牟田」の3社を設立しました。私が引き継いだのが沖牟田玩具となります。

─ 会員制の直営店というスタイルは、どのような経緯から?

嘉雄氏 大手の量販店が台頭してきた時代に、価格競争に巻き込まれて利益が出ないという状況は避けたい、と考えました。「それならば、直接個人のお客様に安価で販売し喜んでもらった方がよい」という方針のもと、会員制の卸売スタイルを導入したんです。これは、大手子供服ブランドの会員制を参考にさせていただきました。会員制にすることで購買履歴が蓄積でき、「昨年の夏にお買い上げいただいた商品はこちらです」という形でお客様へのご提案にも活かせます。

大牟田市にある「おもちゃ流通センター」。空を飛ぶペガサスのマークが目印だ。

建築業から家業へ。「数字で見る経営」への転換を牽引

─ 将平さんはもともと建築業に携わっていたとお聞きしました。家業に戻られた経緯は?

将平氏 学生の頃は家業を継ぐつもりはありませんでした。就職してから建築関係の仕事に就き、福岡市内でさまざまな現場の工事管理を担当していました。3年ほど働く中で、だんだんとこの流行品・話題商品を取り扱う会社への興味が湧き、両親に話して入社したという流れですね。12年前のことになります。

─ 入社当初はまず、どのような業務から?

将平氏 最初は春日支店で接客・レジから始めました。どんな商品を扱っているのかを把握しながら、並行して営業活動にも力を入れていました。カタログを持参して近隣のお店を一軒一軒訪ねていくというやり方ですが、それまでに何十年も積み上げた実績・会社の知名度のおかげで知っていただけているお客様が多く、営業はやりやすかったですね。ちょうど私が入社した頃に、「妖怪ウォッチ」がすごく流行していて、その拡販に取り組んだことで売上が大きく伸び、自信にもつながりました。

─ 経営に関してはどんな意識で取り組んでいるのでしょう?

将平氏 父は、長年培ってきた「経験」と「勘」、そして誰よりも一番汗をかいて現場を引っ張ってきました。そこに加えて、私が入ってからは「数字を見る経営」も意識しながらこれまで来ました。データを積み上げて計画を立てながら進めていく、という形ですね。もちろん、父が積み上げてきた「仕入れの勘」や「業界のパイプ」は本当に素晴らしく、心から尊敬しています。そういった勘と勢いを大切にしながら、分析や計画を組み合わせて、より強固に、経営を押し進めていくのが私たちの代の役目だと思っています。

慎也氏(常務) この仕入れの話ですが、以前「たまごっち」が大人気で品薄の状態が続いたときも、当社の店頭には色とりどりのたまごっちが並べられていたと聞いています。この業界は「流行りの商品が取り揃えられている」ことが、売り上げにもお客様との関係構築にもつながっていくのです。父の長年の歴史があってこそ、でした。その強みを活かしながら、私たちがさらに上を目指していきたいと思います。

シールブームの波に乗る。流行を「先読み」する仕入れ力

─ ところで、最近の玩具業界ではどんな商品が注目されているのでしょう?

将平氏 今は「ぷくぷくシール」などのシール集めが大変な人気です。「ボンボンドロップ」という商品が引き金となってシールブームが広がり、類似の商品も各社からたくさん出てきています。当社ではできるだけ早く焦点を当てて商品を確保しています。とはいえ、流行商品は前もってアンテナを張っていないと仕入れることができません。業界の先行情報をキャッチし、取引先からの受注を取り、発注する。多少のリスクは当然ありながらも、そのスピード感が非常に大事であり、面白いところでもあります。

─ そうした最新情報をどうキャッチしているのですか?

将平氏 ネットの情報ももちろんですが、当社は地域密着のお店なので長年のお客様から情報をいただくことも多いんです。ほかには東京や大阪の仕入れ業者とのパイプが太いので、関東・関西のトレンドを九州のなかでイチ早くキャッチできているのも強みでしょうか。

慎也氏 仕入れ先からの情報はやっぱり早いですよね。次から次へと届く新商品案内に乗るか乗らないか。その見極めもとても重要だと感じているところです。

1年前に転身した慎也氏が仕掛ける「発信改革」

─ 慎也さんが入社された経緯を教えていただけますか?

慎也氏 前職は公的機関に8年間勤務しており、最後の3年間は東京で複数の支社の業績分析や指導をする管理部門の業務に携わっていました。1年前に入社したのですが、その経験を活かせるところで会社に貢献したいと思っています。

─ 入社してまず取り組まれたことは?

慎也氏 就業規則をはじめとする労務関係、財務関係など会社運営の基盤となる業務の現状把握と整理から始めました。また、会社・社員それぞれの目標を立て、それを達成するためにはどうすればよいのか考えました。その目標達成に向けて、これまで様々な取り組みを行ってきましたが、最近特に力を入れているのが、SNSを中心とした「発信力の強化」です。入社当初から「この会社の商品には絶対に魅力がある、知ってもらえさえすれば必ず売り上げにつながる」と確信したこともあり、インスタグラムのフォローを積極的に進めるようにお声がけの徹底や、SNSを軸とした情報発信に力を入れました。春日支店にいる姉が新商品やおすすめ商品などの最新情報を投稿してくれて、フォロワー数だけでなく、新規会員数、売上も着実に増えています。

─ SNSと並行して、ホームページへの反響はいかがですか?

将平氏 しっかりしたホームページを作ってから個人のお客様だけでなく企業様からお問い合わせをいただくケースも増えてきました。遠方の方からご連絡をいただくこともあり、SNS発信とホームページが互いに相乗効果を生んでいると感じています。また昨年7月から続けている、映画館での上映前のCMを出したことでPV数がグンと増え、大きな反響をいただいています。

Big Advanceが広げるビジネスの可能性に期待

─ Big Advanceを導入されたきっかけを教えてください。

将平氏 金融機関様からご紹介いただいたのがきっかけです。Big Advanceにはホームページの作成機能や、マッチング機能などさまざまなサービスがあることに魅力を感じて導入しました。

─ マッチング機能についての期待は?

将平氏 Big Advanceには全国の法人様が登録されていて、幼稚園や保育園なども多く参加していると伺いました。おもちゃ・駄菓子・雑貨の問屋という私たちの業種は、イベント用の景品や施設向けの商品を必要としている法人様と非常に相性がよいのではと思っています。「こういう商品を提供できます」という形で企業様にアプローチできれば、営業に出向くことなく新たな取引先の開拓につながる。それがいちばんの期待ですね。

慎也氏 「需要と供給のマッチング」といいますか、私たちが提供できるものを求めている方が全国にいるはずなんですよね。それをBig Advanceというプラットフォームの中で見つけてもらえる仕組みはとても魅力的です。マッチングを本格的に活用していきたいですね。

「マッチング機能も活用していきたい」と話す将平氏

どんな業種にも「付加価値」を。幅広い客層が生み出す活力

─ 改めて、御社の強みを教えていただくと?

将平氏 どんな業種のお客様に対しても、サービスに「付加価値」を加える商品を提供できることです。10円の駄菓子から1万円、2万円の商品まで幅広く取り揃えていて、おもちゃという笑顔を生み出し「喜んでもらえる商品」だからこそ、飲食店様や自動車販売店様など、どんなお店にもご提案できるんですね。

お客様の客層も本当に幅広くて、1、2個の商品を購入されるお客様から100個、200個と購入されるお客様もいらっしゃいます。その幅広さこそが当社の魅力であり、この仕事のおもしろさでもあると感じています。

─ ちなみに、多い時は一度にどのくらい購入されるものでしょう?

慎也氏 子ども会や各種イベントの景品用として、まとめ買いされるお客様も多いですね。20〜30万円のお買い上げもめずらしくありません。アポなしで来店されて、商品が山積みされたカートが次々とレジに運ばれていきます。

将平氏 会員制のため購買履歴もすべて記録されていますので、昨年のイベントで購入された商品をそのまま今年も提案したり、手配したりという対応もスムーズにできます。そういった丁寧なアフターフォローが、常連のお客様づくりにつながっていると感じています。

家族でリスペクトし合いながら、創業100周年を目指す

─ 最後に、今後の展望をお聞かせください。

慎也氏 前職で学んだことの一つは、「高い成果を出されている方は、必ず人知れぬ努力の積み重ねがある」ということです。私は入社してまだ1年ですが、経理や財務、経営者として必要なスキルをこれからたくさん学んでいきたいと思っています。そうして全国のお客様に当社のことを知っていただけるよう、工夫を凝らしながら取り組みたいですね。

将平氏 創業100周年を目指したいというのは、社内でも統一している目標です。あと20年ですが、そこに向けてみんなで仕組みを作り、力を合わせていきたいと思っています。私は拡販施策、弟は経営管理と発信力強化、妹はSNSの運営と、それぞれが役割を持って取り組んでいます。互いを尊重しながら各自が自分のフィールドで力を発揮する。100年に向けて、より一層真摯な姿勢で進んでいきたいですね。

そして、どんな業種のお客様にも喜んでもらえる「付加価値」。これからもどんどん提案し、発信して、お客様と良い関係を築いていきたいと思います。

嘉雄氏 子どもも大人も自然と笑顔になれるおもちゃ。数字に基づく分析や積極的な情報発信、そして人とのつながりを大切にしながら、次世代の担い手として事業を受け継ぎ、さらなる飛躍を遂げていくことが今から楽しみですね。

<会社情報>

株式会社沖牟田玩具
所在地 福岡県大牟田市八尻町3丁目82-2
設立 1987年7月(1946年創業)
URL

https://www.okimuta-toys.com/

※情報は取材当時のもの。
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