2026年06月04日

ミャンマー・ネパールから即戦力を
吟遊詩人、現地教育10年の人材紹介

ミャンマーに14年以上暮らし、現地の人々とともに歩んできた野村幸憲氏が代表を務める吟遊詩人株式会社。外国人材の紹介にとどまらず、ミャンマー・ネパールでの教育機関の運営から採用、法的手続きのサポートや来日後の定着支援まで——すべてを自分たちの手で担っています。介護、物流、食品製造、そのほかの業種での累計1,232名を日本へ送り出し、現在550名が日本の現場で活躍しています。「ただ人を送るのではなく、育てて、見極めて、送り出す」。その揺るぎないポリシーが、企業と人材の「本当の出会い」を生み続けています。

吟遊詩人株式会社 代表取締役 野村 幸憲 様 / 営業部 横山 宏明 様

学校が先だった。現地教育、10年の実績を企業へ届けるために

─ 御社の事業概要を教えてください。

野村代表 当社は日本で働きたいミャンマー・ネパールの若者たちと外国人材の採用に悩む企業をつないでいます。吟遊詩人は2025年2月に設立した会社ですが、グループとしての歴史は長く、10年前にミャンマーで人材育成の学校を設立したことがはじまりで、2024年にはネパールにも展開しました。私はミャンマーに14年住んでいて、日本に帰ってくるほうが珍しいくらいです(笑)。

横山氏 海外で人を育てて送り出す。行政書士事務所でもあるので、在留資格など法的手続きをサポート。日本で外国人材を紹介、来日後の支援。この流れを一括で行っています。業界の中でもかなり珍しい体制です。今年(2026年)1月までの累計で1,232名を送り出しており、現在もおよそ550名が各現場で活躍しています。

─ 2025年に日本での法人を設立した経緯は?

野村代表 以前は管理団体や支援機関に人材を紹介することが中心でした。しかし、間に別の組織が入ると、やっぱりお客様の声が聞こえにくくなる。そうするとミスマッチも起きる。せっかく人材を育てているのだから、お客様から直接お話を聞いて、マッチする人材をお届けしたい。それだけなんですよ。お客様からどういう人材が欲しいかを先に聞いて、その職種や仕事内容に合うよう育てる。この順番が一番良いと思っています。

ミャンマー校での授業の様子

「2週間で面接」の業界に、あえて逆らう

─ 教育の特徴を教えてください。

野村代表 他校のやり方を見ていると、入学して2週間で面接を受けさせているところも珍しくありません。日本語はN5(日本語能力試験の5つの級数で初級のこと)を始めたばかりですから、まだ日本語もままならず、人となりもわかっていない状態ですよね。よく知らない人をただ紹介しているだけとも言えるわけです。

当校は違います。日本に行きたいという生徒が、4~6カ月、真面目に勉強します。加えて素行も良い。そうしてやっと校長の推薦を得て、面接を受けられる。中には面接まで1年近くかかる生徒もいる。意欲的な人、最初は不安定だったけれど、だんだん変わってきた人、全てわかった上で送り出しています。

横山氏 現地で生徒を集めるには、早く日本に行けることが大きなアピールになるので、他校は例えば「2週間で就職先が決まる」とアピールして生徒を集めます。当校は真逆で、現地では「なかなか送り出してくれない学校」と言われています(笑)。でも「ちゃんと勉強した方が日本で良い仕事ができる」と口コミで広がって、しっかり勉強したい生徒が集まってくれるようになりました。

野村代表 早く日本に行きたい人は他に行けばいい。当校に来る生徒は、本気で学ぼうとしている人たちです。

「どんな人が欲しいですか」から始まる、ニーズに応じた人材育成

─ カスタマイズした教育ができるとのことですが、具体的には?

野村代表 「人手あります、どうぞ」ではなくて、「どんな人が欲しいですか、それでは育てます」という順番で動ける会社です。お客様のニーズを直接聞いて、それに合った教育を上乗せしていく。これができるのは、自分たちで学校を持っているからです。

横山氏 例えば、大手介護事業者様との連携では、学校内にその会社専用の介護研修フロアを設けています。日本の介護初任者研修と同水準の約90時間のプログラムを、看護師資格を持つ日本人講師が現地で直接指導しています。制度上はそこまでやらなくても送り出せるんですけどね……。

野村代表 それがうちのやり方だから。普通はそんなことしませんよ(笑)。でも、だから「野村さん、来年もよろしく」となる。リピートしてもらえるんです。ドライバーの育成も始めていて、物流のお客様からのご依頼がきっかけでネパール運転免許講習所と業務提携しました。来日後に教えるのと、現地で日本の交通事情に合わせた運転技術を身につけてから来るのとでは、現場への貢献度がまったく違いますから。どんな職種でも、必要な力は現地で育ててから。そのスタンスは変わりません。

横山氏 こうした積み重ねが長期的な信頼につながっています。大阪府の物流会社様とは8年間・30期で364名、静岡県の冷凍マグロ加工会社様でも1期2名からスタートして8期で計77名の採用をお手伝いしてきました。毎年同じレベルの人材を、計画的に送り出せる。それが私たちの強みです。

毎日1ページの「交換日記」で育まれる即戦力

─ 日々の教育の中で特に印象的な取り組みがあれば教えてください。

横山氏 「日記」の習慣です。採用が決まってから来日まで、手続きなどで4〜6ヶ月間必要です。その間、生徒たちは引き続き学校に通い続け、毎日日記を書き続けます。校長が全て読んで、コメントを書いて返します。ほとんど交換日記ですよね。校長は、一人ひとりの性格を即座に言えます。それくらい深く向き合っています。

野村代表 慣れない日本語で毎日1ページ書く。これは大変なことですよ。最初は2〜3時間かかることもある。でも続けることで力がついていくんです。漢字を使わないと書き直しになるから、自然と語彙力も上がっていく。来日後に日報がスムーズに書けると、企業様からとても驚かれます。「こんなに書けるのか」って。普通はそこまでしなくても送り出せる。でも、それをやっているのが当社の唯一無二のところです。

毎日提出される日記にコメントを入れる寺本校長。まさに「交換日記」

Big Advanceで「直接、経営者へ」届いた言葉

─ Big Advanceを導入したきっかけを教えてください。

横山氏 前職で金融機関のビジネスマッチングには有効性を実感していたので、Big Advanceの規模感と地域金融機関のネットワークには可能性を感じており、昨年(2025年)10月から使い始めました。

野村代表 一番の強みは「経営者に直接届く」こと。電話などで営業をかけたところで担当者までということが非常に多いんです。それが経営者に届くと、内容が響けば本当に動いてくださる。経営者の皆様は人材確保で共通の悩みを持っているんですよ。そこにちゃんと刺さると、早い。

横山氏 10月末にマッチング依頼を送った企業とは翌日に初回面談となり、2か月後の3回目の商談で受注が決定しました。27件のマッチング依頼のうち2件と面談し、1件受注。我々もこのスピード感と確率に驚きました。

成約した千葉県の介護施設様は、以前グループ会社で技能実習生を受け入れた際に、実習生ご本人が3年のあいだ日本語を身に着けないままで苦労されたご経験から、次を慎重に探されて、私たちにご依頼をいただきました。面接前には生徒の日記や動画をお送りしたところ、全てじっくり見てくださっていて。ミャンマーの生徒たちが家族のために日本で頑張ろうとしている背景まで汲んでくださり、面接中に涙ぐまれていました。

野村代表 当初2名のご希望が、面接後に「4名採りたい」とおっしゃってくださいました。ビジネスを超えた出会いでした。変な言い方ですけど、親が子を安心して送り出すというか、「大切にしてくれる場所を見つけてあげられた」という安堵感がありましたね。

人材を「投資」と考える会社と、共に成長したい

─ 受け入れ企業に求めることはありますか。

野村代表 人材をコストじゃなくて投資として考えてくださる企業と仕事がしたい。それだけです。一緒になって3年後、5年後、10年後の会社をつくっていける、そういう関係でいたいんです。

実際に私たちの卒業生で、ラーメンチェーンで店長からエリアマネージャーへとキャリアを積んで、年収800万円を超えた人がいます。来日してまだ7年目ですよ。こういうことが当たり前になってほしい。国籍にかかわらず、戦力として選んでいただきたいです。役職者として考えてくれる経営者の方は確実に増えてきています。

横山氏 今、業界全体のトレンドは「マンパワー確保」から「リーダー育成」へと移っています。日本人だけでは組織を支えきれない時代に、外国人材の中からどうリーダーを育てるか。そこに早く動いた企業が、これからの体制づくりで先んじられると思います。私たちはその伴走をしていきたい。

野村代表 単に人を送り込むんじゃなくて、その会社が活性化する、新しいステージへ行けるきっかけになる。そういう人材を届けたいんですよ。

左:横山氏 / 右:野村代表

「いい人材に、いい教育を、いい企業へ」さらなる広がりへ

─ 最後に、今後の展望をお聞かせください。

野村代表 現地での育成から日本での定着支援まで全部を一括でできる体制が、ようやく整いました。

実は、ネパール校を立ち上げる時に、旅行業時代に一緒に仕事をした仲間に声をかけました。35年の付き合いになりますが、途中しばらく離れていたんです。久しぶりに連絡したら「ぜひ」と即答してくれました。彼もネパールで長年経験を積んで、さまざまな力をつけていました。離れている間、お互いにキャリアを積み上げて、それが合わさっていい相乗効果になりました。

2025年のスタートからすぐに軌道に乗せることができたのも、こういった縁がつないでくれたからです。人と人とのつながりを大切にしながら、これからは職種も国も広げていきます。自動車整備、ドライバーなど専門職でも、現地でちゃんと育ててから送り出すことをやっていきます。

私たちのポリシーは一つです。「いい人材に、いい教育をして、いい企業に届ける。それ以外はやらない。」Big Advanceに参加している経営者の方々も、きっと同じ悩みを持っていらっしゃると思う。そこに届けばいい。お手伝いできることは、まだまだたくさんあると思っています。

<会社情報>

吟遊詩人株式会社
所在地 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-12-2 仲田ビルB1
設立 2025年2月
URL

https://ginyu.jp

※情報と肩書は取材当時のもの
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