進化を続けて半世紀超
KATSUMIが現場主義で磨く「また来たい」の価値
新潟県内で本格そば店「越後屋治平そば」を展開する有限会社KATSUMI。始まりは1967年に親族で始めた5坪の美容室でした。そこから半世紀以上、2014年に美容という「洋」の世界から、そばという「和」の世界へと進出し、形を変えながら地域に根ざしてきた同社。現在は代表の樋口大輔氏がその舵取りを担っています。大手飲食チェーンでの経験をいかしたスタッフ育成から、Big Advance導入によるホームページ制作や業務効率化まで――店舗運営の現在地と今後のビジョンについて詳しく話していただきました。
有限会社KATSUMI 代表取締役 樋口 大輔 様
「洋」の美容から「和」の食文化へ
親族で紡いできた約60年の歩み
─まず、御社の創業からの歩みと、現在の事業展開についてお聞かせください。
当社の創業は1967年です。私が生まれる前、現在は91歳になる私の叔母と、父の二人で立ち上げた5坪の美容室が始まりでした。当時、叔母は32歳、父はまだ19歳という若さ。そこに私の母も加わり、三人で美容室を経営していました。
創業当時は、混沌というか「ぐちゃぐちゃ」していた時代でした。管理体制が整っておらず、親族経営ゆえの衝突もあり、一時は父が建築業界へ転身したり、叔母が改めて別店舗で独立したりで、母が一人で美容室を切り盛りする時期もありました。最終的に父は美容業界に戻り、夫婦二人三脚で店を大きくしていきました。1990年代に5店舗まで拡大し、2002年からは各店舗を大型化して3店舗へ集約。しかし2010年代後半から人材確保が難しくなったこともあり、数年前に事業譲渡しました。一方で、飲食事業である「越後屋治平そば」をスタートさせたのは2014年のことです。
─長年美容業を主軸とされてきた中で、なぜ「そば」という全く異なるジャンルへ挑戦されたのでしょうか。
会長である父が若い頃から「いつかそば屋をやりたい」という夢を抱いていたんです。父は食べることが大好きだったことに加え、美容という「洋」の表現だけでなく、日本の「和」の世界を表現したいという想いがありました。それが時を経て、2014年の「越後屋治平そば木山店」、2016年の「岩室店」のオープンという形で実現しました。
─「越後屋治平そば」のこだわり、そして人気のメニューについて教えてください。
当社のそばはコシと喉越しを両立させた粗挽きそばです。
新潟は、つなぎに布のりを使った「へぎそば」が有名ですが、小麦をつなぎにした「一般的なそば」を好む方も結構いらっしゃいます。そういうニーズに対して「粗挽き」という形がマッチしていると私どもは自負しております。一番の人気メニューは、揚げたてサクサクの天ぷらを添えた「天ざる」ですね。

揚げたての天ぷらが人気。「海老天ざる(並盛り)」
「また来たい」をどう作るか。大手で学んだ育成のこだわり
─樋口様ご自身は、どのような経緯で今に至っているのでしょうか?
私自身は大学を卒業後、まずは、建築業に飛び込みました。ただ建築業界はちょっと肌に合わず3年で転職。次はエンドユーザーと直接関われるサービス業を目指しました。学生時代にアルバイトでやっていた飲食業界が楽しかったので、当時流行りだった創作ダイニング系の居酒屋チェーンに入社しました。
一方、父の経営する会社では、経営コンサルタントの方と「そろそろ後継者をどうするか?」という話になっていたようです。美容師免許が無い美容室経営者が出始めていた時代ということもあり、飲食業界で3年ほど経った当時の私に後継者としての打診がありました。飲食業にやりがいを感じてはいましたが、本家の長男として育てられたこともあり、『後継者としての打診』に何となく乗ってしまったのです。ですが大した覚悟も無いままに親の会社に入社。現場たたき上げの父親とは仕事のやり方でそりが合わず、しかも美容業界には全く興味が持てない状態でしたので、結局1年足らずで(有)KATSUMIは退社しました。
その後は再び別の大手居酒屋チェーンに入社。今度は現場に板前がいる本格派です。この会社での学びは、私の仕事に対する価値観を大きく変えてくれました。配属された3店舗全てで店長を任せてもらいましたし、東京への研修も何度も行かせてもらいました。店舗の経営管理、スタッフ管理、季節ごとの販促、そして営業の最前線である接客のノウハウなど、多くの学びを頂きました。宴会を入れてくださったお客様の会社まで行き、手土産を持ってお礼営業をすることもありました(笑)。
─大手チェーンでのご経験から、今の店舗運営に活かされていることはありますか?
たくさんありますが、ひとつ大きいのはスタッフの育成で、勉強会やミーティングを行っています。大前提として、「私たちのお給料はお客様が支払ってくださっている」ということを意識してほしいと伝えています。例えば、当店は今ランチで大体1500円ほどいただいていますが、これは決して安くはない金額です。そんな中、「1500円以上の価値がある」と感じていただけるからこそ、お客様にリピートしていただけて今の店があります。では、その「価値」を生み出す要素は何なのか、また来ていただくためにはどうしたらいいのか、そういったことは各々に考えてほしいと思っていますね。「味」は当然ですし、「料理の温度」「スピード」「盛り付け」「接客」…様々な要素があります。
そばについても、そばがお好きな方は知識のある方も多いので、こちらもしっかり答えられるようにしておくべきだと思っています。「粗挽きそばの定義とは」「そば湯をなぜ飲むのか?」「当店のそばの産地」「日本三大そばはどこの地域なのか?」など。聞かれたときに答えられるように、というのもありますけど、やはり土台となる知識があると普段の接客や仕事への姿勢も変わってくるのではないかと思っています。
─スタッフとして働くマインドが出来上がってきそうですね。
「なんとなく家から近いお店だから」という理由で働き始める方も多いので、「なぜ治平そばで働くのか?」を考えてもらうことで、当店で働く上での「軸」のようなものを持ってもらいたいんですよね。また、任せることも大切だと考えています。クレームやトラブルについての判断は基本的に全部現場のリーダーさんに任せており、報告をもらった時に「良い対応だったね」「僕だったらこうするかな?」といった話をフィードバックするようにしています。
勉強会以外にも、コラムを書いて給与明細と一緒に渡したりもしています。でもそのまま封も開けずにロッカールームに入れられていたりもしますけどね(笑)。
─現場を任せられる方も多いのですね。
そうですね。現在スタッフは30名ほどいて、一番長い方はオープニングの頃から働いてくれています。女性スタッフの正社員登用も進んでいて、高校生の頃からアルバイトで入ってくれていた方は、卒業後一度就職で辞めたんですが、2年ほどで戻ってきてくれて、そのまま正社員に。また、ダブルワークのうちの一つとして治平そばを選んでパートをされていた方が2名、現在は正社員として活躍してくれています。
スタッフ一人ひとりが、きめ細かいサービスを提供してくれていることも、お客様からの支持に大きくつながっていると私は感じております。
HP制作と勤怠管理
Big Advanceで進める「ちょうどいいデジタル化」
─では、Big Advanceを導入された経緯や活用状況についても伺えますか?
Big Advanceは、ホームページを作りたくて導入しました。それまではホームページを持っていなくて。作りたいけど予算がないので困っていたのですが、Big Advanceは月3,300円で作れてしまうので、シンプルな内容ですが十分です。お客さんが情報を探したときに、公式サイトがあるというのは安心感に繋がると思うんですよね。GoogleマップにもURLを載せているので、そこから公式サイトを見てくれる方が多いですし、フォームから求人の問い合わせをいただくこともあります。
─勤怠管理についても、「ちゃんと勤怠」を導入していただいていますね。
はい。これまでは手書きの出勤簿で管理していて、それを事務員が全部エクセルに入力していました。また現場のスタッフリーダーも、最終的に全員分をチェックしないといけなかったので、かなり負担がありました。それをなんとかデジタル化したいなと思ったのが、導入の一番の理由です。当初、金融機関の方から他社のサービスを紹介されたんですが、使い勝手がイマイチだったんですよね。その後「ちゃんと勤怠」を紹介いただいて導入しました。負担が軽減されてとても助かっています。
3店舗目の出店を見据えたこれからの歩み
─最後に、樋口様が描く今後の展望について教えてください。
やはり3店舗目の出店ですね。僕自身はあまり野心がある方ではないのですが、お客様から「中央区にも出して」とか「南区にも出して」といったご要望をいただくこともありますし、現場の刺激にもなると思っています。いい物件があれば、と考えていますね。

<会社情報>
| 有限会社KATSUMI | |
|---|---|
| 所在地 | 新潟県新潟市西区五十嵐三の町南3-34 |
| 設立 | 1990年9月(創業:1967年12月) |
| URL | |
| ※情報と肩書は取材当時のもの | |


