鋼材販売の枠を超え、京都を代表する企業を目指す
DXとAIを活用し、川十が挑む「攻め」の経営改革
京都市でステンレスやアルミなどの金属材料の精密な切断加工を強みとし、販売まで手がける川十株式会社。6年前に就任した亥子代表のもと、従来の「維持」の経営から「攻め」の経営へと舵を切り、金属材料販売の枠を超え、「京都を代表する企業」への躍進を目指しています。鋼材業界ではめずらしいDXやAIの導入など積極的に新しい取り組みを行う同社。Big Advanceの商談会やビジネスマッチングも活用し、販路や事業の幅を広げています。その中心を担う取締役 営業部長の森本 要氏と、DX推進室リーダーの三木浩揮氏にお話を伺いました。
川十株式会社 取締役 営業部長 森本 要 様 / DX推進室リーダー 三木 浩揮 様
創業の原点と、「精密切断」の技術力
─まず、御社の事業概要とこれまでの歩みについて教えてください。
森本部長 当社は京都を拠点に、ステンレスのパイプ類から始まり、現在はアルミ、チタン、銅、真鍮などあらゆる金属材料を精密切断加工して販売しています。当初はステンレスパイプという非常に限られた分野からのスタートでした。そこから扱う素材を徐々に増やし、現在は約5000種類ほど保有しています。そして単なる材料の販売にとどまらず、お客様の手間をできるだけ減らすための「切断」の技術に強みを持っています。
─その強みについて、具体的に伺うと?
森本部長 鋼材の切断というのは非常に奥が深く、私たちはその品質において高い自負を持っています。通常、材料を購入されたお客様は、作業に入る前段階として「材料を望むサイズに整える」という作業が発生することが多いのですが、当社の場合は納品してすぐに次の加工工程に入れるように、正確できれいなサイズに切断してお届けしています。
この「不要な手間を省ける」という点が、お客様に大変喜んでいただけるんですね。なかなか地味で伝わりにくいところではありますが、こうした「高い品質の担保」は、当社の価値であると思っています。京都のみならず、全国の企業様にもこうした強みを知っていただき、需要をさらに発掘していきたいですね。
「維持」から「攻め」へ。代表がもたらした変革
─6年前に亥子代表が就任されてから、会社が大きく変わったそうですね。
森本部長 ええ、本当にガラッと変わりました。以前は売上を維持し、従業員の生活を守るという「安定・維持」の姿勢が強かったのですが、亥子に代わってからは「できることはすべてやる」という積極的な方針に転換しました。
たとえば、時代に合わせてネット販売を取り入れ、他県のお客様も視野に入れた「川十ネット」の開始もそのひとつです。また展示会への出展も以前はほとんどありませんでしたが、今は全国の展示会に積極的に参加し、私たちの技術をアピールしています。
三木リーダー まさに「変革期」「発展期」に入ったという感覚ですね。これまでの基盤を大切にしながらも、その上に新しい技術や仕組みをどんどん積み上げていく。時代に合わせたやり方を進めていこうという社長のスピード感には、私たちも日々刺激を受けています。

「高度な切断技術による品質のよさが強み」と話す森本部長。
鋼材業界にはめずらしい独自のDX・AI活用
─DX化も積極的に取り組まれていると伺いました。具体的には?
三木リーダー 最初の取っ掛かりとなったのは、トレーサビリティシステム(追跡可能性)の導入でした。タブレット端末とデータベースを活用し、仕入れから出荷までをすべてデータで統合し、データでログを追えるような状態にして一元管理しています。ひとつの大きな母材から切り出した複数のパーツが、どのお客様のどの注文に対応しているのかを完全に紐づけており、在庫状況もリアルタイムで把握できます。当社ではこれを「販売管理システム」と呼んでいます。
─さらに現場の「見える化」も進んでいるそうですね。
三木リーダー はい。この販売管理システムを元にし、「見える化システム」によって、どの受注に対してどれだけの作業量が必要になるのかもひと目で分かるようになっています。先ほど森本から話のあった自社専用のウェブ販売サイトも展開しており、京都の同業者でもここまで取り組んでいるところは他にないのではないかと自負しています。この販売サイトはお客様にかなり利用していただいていますね。
─今後の展望として、AIのさらなる活用を視野に入れているとか?
森本部長 そうです。現在は熟練の現場作業員が、300社以上の取引先から来る1日400件近い注文の工程管理を「手腕」でさばいています。これを最終的には「AIで最適化し、属人化を解消する」ことを目指しています。AIが最適な切り出し順序や配車ルートを導き出す、というものです。まだ試行段階ですが、これが実現できればさらなる生産性の向上が期待できます。
Big Advanceでつながり「京都の外」へ。そして新たな挑戦へ
─変革のひとつとしてBig Advanceの導入も挙げられるのでしょうか。そもそものきっかけは?
森本部長 金融機関の方からご紹介いただいたのがきっかけですね。以前は取引先の95%が京都府内のお客様でしたが、私たちの技術、高度な加工技術をもっと広く、全国のお客様に届けていきたいという思いがあり、ビジネスマッチングの仕組みに魅力を感じて導入しました。
─どのように活用されていますか?
森本部長 主に商談会やニーズの検索に活用しています。Big Advanceのビジネスマッチングはアプローチの際の心理的ハードルも低いのが魅力ですね、飛び込みで営業するのとはスタート地点がまったく違いますから。金融機関の紹介という信頼感がすでにありますし、お互いのニーズやリクエストを提示し、把握した上で商談へとスムーズにつながります。企業様のニーズに対して「私たちのこの加工技術なら解決できる」と自信を持って提案できます。
特に、より高度な加工を必要とされている企業様とはお互いのニーズが合致するのではと思い、リクエストをお送りしていますね。13社ほど商談をしていて、愛知県の金属加工の企業様とはすでに成約し、やりとりを続けています。
また、Big Advanceの商談会にも何度か参加をしていて、会場にも足を運んでいます。普段はなかなか作れないリアルなマッチングの機会として重宝しています。次回も参加する予定です。
─現在、新しい工場の建設を進められていると伺いました。
森本部長 はい、まさに今、新しく第二工場を建設しているところです。これまでは材料を切って売ることがメインでしたが、これからはさらに一歩踏み込んで、お客様が求めるものを提供できる体制を整えています。そこで購入を予定しているのが最新鋭の「パイプの三次元レーザー機」です。
─パイプレーザー加工機にはどんなメリットが?
森本部長 パイプレーザーを使えば、より複雑な穴を開けたり、自由な形に切り抜いたりすることが可能になります。さらに加工の速度も上がり、工数の削減や納期の短縮にも対応することができます。川十なら「材料の手配から複雑な加工まで一貫して任せられる」という安心感を提供していきたい。新工場は1年後の完成を予定していますが、この新しい工場の稼働は、私たちの「攻め」の姿勢を表すもっとも大きなプロジェクトです。今はその完成に向けて、Big Advanceを通じ、パイプ加工のニーズを持っている企業様と出会い、つながっていきたいと考えています。
従業員が「希望の持てる会社」を目指して
─今後の展望について教えてください。
森本部長 今やっていることをベースに、その土台をしっかりと守りつつ、まずは新工場を軌道に乗せてパイプレーザーを活用した「新しいモノづくり」の形を定着させたいですね。製造業という枠組みの中に当社も携わっていますから、自分たちでモノづくりをして販売していきたいという思いもあります。
三木リーダー システム面ではAI活用をさらに進め、誰もが働きやすく、かつ高いクオリティを維持できる環境を整えていきたいですね。
森本部長 そして何より、従業員が「この会社で働いてよかった」と思える、誇りを持てる会社でありたいですね。最近はKES(京都から発信された「環境マネジメントシステム」の規格)の認定を受けるなど、福利厚生面でも京都を代表する会社を目指すのにふさわしい体制づくりを進めています。みんなが同じ方向を向いて新しい挑戦を楽しみながら成長していける、そんな組織を目指しています。

「高度な切断技術による品質のよさが強み」と話す森本部長。
私を変えた「出会い」。亥子社長という存在
─最後におふたりにとって、印象的な「出会い」を教えてください。
森本部長 そうですね。三木さんに関しては、亥子との出会いというか、代表に近いところで仕事をするようになってからすごくキャリアが広がっているんじゃないかな。そばで見ていて常々思っています。
三木リーダー はい。新しいことに挑戦させてくれるこの環境と、それを引っ張っている亥子社長との出会いが自分にとってはとても大きいですね。DXやAIの推進担当だけでなく、たとえば、京都市や国の補助金についての窓口も任されています。まったく別の分野ゆえに、その都度とても勉強になりますし、自分自身の成長につながっている実感があります。
森本部長 私にとっても最大の出会いは、やはり亥子ですね。代表とは同い年で、同じような時代をずっと生きてきているので基本的な考え方は非常に似たところがあります。中身はまるで子どものような純粋さと、とてつもない突破力を持っている人ですが(笑)
その代表の自由な発想があったからこそ、今の川十の変革がありますし、そしてかなり自由に任せてくれています。自由と責任はセットですから、もちろんすごくプレッシャーを感じてはいますが、やりがいを持って自分のやるべきことに向き合えている。非常に満足していますし、「もっともっと上を目指したい」という思考で日々を過ごせています。代表とともに、社員一丸となって「京都を代表する」企業への成長を目指し、これからも頑張っていきたいですね。
<会社情報>
| 川十株式会社 | |
|---|---|
| 所在地 | 京都府京都市伏見区北寝小屋町49 |
| 設立 | 1964年11月 |
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| ※情報は取材当時のもの | |


