2026年09月14日

モータースポーツ愛が形になった
レーシングシミュレーター専門店
「Coco drive」

神奈川県平塚市に拠点を構え、本物のサーキットを忠実に再現し、その臨場感を体験できるレーシングシミュレーターショップ「Coco drive」。プロドライバーが日々のトレーニングに活用する精緻な再現度を誇る機材を備え、実車走行におけるコストや時間の課題を解決する効率的な練習の場を提供しています。
代表の志茂野慎之介氏は、元歯科技工士という異色の経歴の持ち主。長年名門レースチーム「TEAM NOPRO」のサポートを続けながら、医療現場で培った精密な技工技術を応用したレース用オーダーメイドイヤホンの開発・製作も手掛けています。また、プロドライバーだけでなく、一般の方にも開かれた場所を目指し「サーキットへの敷居を下げたい」とも語る志茂野氏。モータースポーツへの純粋な「好き」が交錯する空間で、走る歓びをより多くの人へ届ける同社の歩みと展望について語っていただきました。

Coco drive 代表 志茂野 慎之介 様

プロが頼る再現度。リアルサーキットの課題を解決する機材

─ まず、御社の事業内容について教えてください。

一言で言うと、レーシングシミュレーターを体験できるお店を運営しています。レーシングシミュレーターがどのようなものかというと、分かりやすく言えば「マリオカートのすごいバージョン」です(笑)。実際のサーキットのコースや車の動きを忠実に再現した機械で、世界中のコースを選んで走ることができ、プロドライバーの練習によく使われます。海外の選手の中には、シミュレーターだけで練習して実際に走ったことのない富士スピードウェイのレースに出場する、といった方もいます。そのくらい忠実に再現されているんですよ。

─ サーキットと比べて、コストはどのくらい変わるんでしょうか?

実際のサーキットで練習しようとすると、ライセンス代や走行料金だけでなく、車やタイヤ、オイル、ブレーキなどの準備や消耗品のコストが非常に高くつきます。例えばあるサーキットでは30分1枠で7,500円ほどかかり、年会費も必要です。30分走るだけでもトータル2万〜3万円はかかってしまいます。街中を走る以上に車も激しく消耗しますし、金銭的にも毎日のようにバンバン走るというのは難しい。さらに、準備する日、走る日、片付けの日と、1回走りに行くためにかかる時間的コストも大きいんですよ。

しかも、サーキットで「よし行ってくるぜ」といざ走っても次のコーナーが右か左かも分からない状態では練習にならず、ただのドライブで終わってしまいます。分からないうちに、せっかく作った大切な1日が終わってしまうのです。その1日をより良い1日にしてもらうために、このレーシングシミュレーターでのトレーニングが非常に有用になっています。

例えば、サーキットに1回行く費用を4分割してシミュレーターでの練習に充てることで、コースや走り方の課題を一つずつ解決してからサーキット走行に臨めます。サーキットで見つかった課題もまたシミュレーターで復習できるんです。

レースに出場予定のお客様が練習中

─ 一般の方でも使えますか?

プロの方が練習で使用することの多い機械ではありますが、一般の方にも来ていただいてます。一般の方でも触れられるように、当社は駅前という立地やコストの面で敷居を下げて、「誰でも触れるよ、誰でも乗れるよ」という形で店舗を運営しています。モータースポーツが好きな方なら、レースを見に行ったりイベントに行ったりしてシミュレーターを見る機会は多いと思いますが、「いいな、乗ってみたいな」と思ってもなかなか乗る機会がありません。それを、手軽に触ってもらえる施設があるといいなと思って始めました。湘南エリアでは現状、当社だけだと思います。

歯科技工士としての技術を生かしたオーダーメイドイヤホン開発

─ 以前は横須賀にいらっしゃったとのことですが、どのような経緯で平塚の地でこのお店を始められたのですか。

元々は横須賀で歯科技工士をしていましたが、妻の母親と同居するため平塚に移住しました。こちらに引っ越してくる時に、また歯科技工士として入れ歯作りを続けようかとも思ったのですが、「俺、入れ歯そんなに好きじゃねえな」ということに気がついて(笑)。じゃあ好きなことをやろうかなと思って、レーシングシミュレーターを始めました。

歯科技工士だった時、「TEAM NOPRO(チーム・ノープロ)」というレースチームを、ファンとして遊びに行って手伝っていました。長年スーパー耐久のST-5クラスにマツダ・デミオで参戦し続ける名門チームです。当時、僕はマツダ・デミオのオフ会の幹事をやっていて、軽量・コンパクトカーが出場するレースではフィットやヴィッツといった強い車が定番である中、「デミオでレースに出ている様子のおかしいチームがあるな」と思って、オフ会にTEAM NOPROの代表を誘ったことが親交の始まりです。

僕はファンの一人でしたが、チームがウェルカムで受け入れてくれて、ちょこちょこ訪ねて行くようになりました。そうしたら何も言わず新品のつなぎと年間パスをポイっと渡されて、気がついたら“中の人”になっていました(笑)。そこから、24時間耐久レースの時にチームに入ってくれた「ゼンカイレーシング」(プロ向けレーシングシミュレーターの開発等を手掛ける企業)のエンジニアとも関わりが生まれ、シミュレーターって面白いねとなったことが今に繋がっています。「TEAM NOPRO」のサポートはもう10年を超えました。

─ シミュレーター以外にも事業を展開されていると伺いました。

歯科技工士の技術とサーキットを掛け合わせて、レーシングイヤホンのオーダーメイド製作を始めました。レーシングイヤホンは、一般的なプラスチックのイヤホンと違って柔らかいシリコンで作られていて、ドライバーの耳の型を取って、成形して製作します。実は人間の耳の穴の大きさは、口を開け閉めしたり、走行中の激しいGに耐えるために呼吸を止めたりすることで常に変わります。その影響で、形が変わらない市販のイヤホンだと耳の穴の中で強く擦れたり、逃げ場を失って耳の奥を圧迫したりして、激しい痛みになってしまうんです。耐久レースだと1時間や1時間半、2時間以上も乗るドライバーがいるので、耳が痛くて車を降りたいという人も出てくるほど大きなストレスになります。

そういう声があったので「ちょっとやってみるか」と提供し始めたら、意外と「作りたい」「俺もやりたい」と反響をいただくようになりました。ですので、必然的にレース関係者の方の注文が多いですね。

シリコン製のレーシングイヤホン

ホームページを「ハブ」として活用し、幅広い客層を呼び込む

─ ホームページの作成にBig Advanceを導入いただいていますよね。

はい。金融機関の担当の方に「Big Advanceに入るとホームページが作れますよ!」と言われて、「マジか!よろしく」と導入を決めました(笑)。SNS一本でやるよりは、ホームページを持っておいて、そこから各SNSへ投げるハブ(拠点)として1本軸を置いておきたかったんです。インスタグラムやX(旧ツイッター)にはそれぞれの文化があります。Xではサブカル方向に寄せた記事を出しているので、ホームページは公式の拠点として情報を集約して見やすくしておこうと考えました。ホームページの制作をどこかの業者さんに委託する選択肢もありましたが、金融機関さんのバックアップがあれば、何か困ったときにも相談しやすいなと思って導入しました。

─ 実際に制作してみていかがでしたか。

簡単に制作できるなと感じました。ホームページから「レッスンを受けたい」「いつ空いていますか」といった問い合わせも実際にあります。問い合わせが来ると、Big Advance経由で「お問い合わせがありました」と目立つメールが届くので、業務メールに埋もれることもなく分かりやすいです。

思い出ドライブからプロの練習まで、多様な「好き」が交錯する空間

─ これまでの中で、特に印象に残っているお客様とのエピソードはありますか。

新規の方はSNSで見つけたり、駅前の看板を見て飛び込みで来られたりします。本当にいろいろな、面白いお客様が来られますよ。ドライバーさんが連れてきた初心者の方が、ここで練習して初めてサーキットデビューし、車を壊さずに無事に完走して「サーキット楽しい」と報告しに戻ってきてくれた時はやっぱり嬉しかったですね。

印象的なエピソードとしては、ご年配の女性がおみえになって「首都高を走りたい」とオープンカーのロードスターを選ばれたことがありました。その方はずっと思い出話をしながら時速30キロくらいでのんびりと走っていました。「昔は車を運転していたんだけどね、お父ちゃんが危ないからって首都高だけは運転させてくれなくて」「ほら、ここから東京タワーが見えるのよ」「ここは桜が綺麗なのよね」って。思い出ツアーのようになっていて、それも良いなと思いました。

他にも、若い子が深夜放送でたまたまレースを見たらしく、「よくわからないけど、『スパ』ってありますか?」と来て、天候によって前が見えなくなるスパ耐久レースを走って「本当に前が見えないんだ、すごい」と感動して帰って行ったり。あるいは、サーキットで車の写真を撮るのが好きなカメラマンの方が来られて、脇立が必要なフェンスの高さを確認したり、「13コーナーに入る手前のここならこっちを見るな」と、ドライバーが目線をくれる位置を確認したりする下見で来るなんてこともあります。家にプレイステーションが1台しかないからと、お父さんとお子さんで来店されたりもします。

モータースポーツの楽しさは、メーカー推しでもいいし、レースクイーン(レースアンバサダー)推しでもいいし、サーキットの雰囲気や音、昔から日産が好きだとか、いろんな「好き」が混ざっているんですよね。そういう多様なところが面白いですし、僕もそんなところが好きなのかもしれません。何か一つのきっかけで気軽に来てみてほしいですね。

敷居を下げ、シミュレーターをサーキットへの近道に

─ 最後に、今後力を入れていきたい事について教えてください。

やはり本物のサーキットを走るというのは、いろいろな意味で敷居が高いんですよ。やってみたいと思ってもなかなか一人ではチャレンジしづらいので、「走ってみたい」「行ってみたい」という気持ちが少しでもある人たちを集めて、実際のサーキットに連れて行きたいです。「ここに来れば、なんか一緒にサーキットに行けるな」という、サーキットまでの近道になるような場所にしたいですね。ちょうどお店の周年を迎えるので、告知をして少し盛り上げていければなと思っています。そして来年には、ここでしっかり練習したお客様みんなで、サーキットの体験走行を一緒にやろうかなと考えています。自分の車で現地へ行って、2〜3周ぐるっと走って「よし、走れた!」と気軽に楽しく過ごせるイベントにしたいですね。

<会社情報>

Coco drive
所在地 神奈川県平塚市紅谷町2-1 松屋平塚ビル40B
設立 2024年4月
URL

https://www.big-advance.site/c/142/1714

※情報は取材当時のもの。
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