2025年11月13日

沖縄の文具店・たけ事務
チャット活用で地域密着型営業を効率化

創業34期目を迎える有限会社たけ事務は、沖縄県島尻郡南風原町で文具・事務用品の販売を手がける地域密着型企業です。学校や保育園を中心に、迅速な配達サービスを強みとして事業を展開しています。Big Advanceのチャット機能を導入したことで、社内コミュニケーションと配達業務の効率化を実現しました。時短勤務や子育て支援など柔軟な働き方を推進し、従業員の幸せを第一に考える経営について、代表取締役の竹 富久氏にお話を伺いました。

有限会社たけ事務 代表取締役 竹 富久 様

創業34期目、沖縄で文具・事務用品販売を展開

─まず、御社の事業概要について教えてください。

有限会社たけ事務は沖縄県で文具・事務用品の販売をしています。父が創業し、今年(2025年)で34期目です。南風原町(はえばるちょう)、八重瀬町(やえせちょう)に各1店舗、那覇市に店舗兼営業所を展開しています。

従業員は社員とパートを含めて8名の会社です。文具・事務用品を主に学校関係に販売しており、保育園、こども園、小学校、中学校がメインで、全体の約6割を占めます。残りの4割が民間企業、病院、福祉施設、役所関係です。売上は年間約1億2,500万円です。

─文具業界の現状はいかがでしょうか。

減っている部分と増えている部分があります。学校ではタブレットが普及してきたので、ノートなどは減っています。増えているのは、パソコンの周辺機器ですね。マウス、キーボードカバー、タッチペン、ヘッドホンなどです。

学校のパソコンやタブレットに合うものを提供しています。タッチペンなどは、安さを求めすぎると反応が悪かったり壊れやすかったりします。子どもたちは壊すこともあるので、品質とのバランスを考えながら提案しています。

スピード配達で差別化、在庫を持つ強みで地域の信頼獲得

─配達サービスが強みでしょうか。YouTubeの番組でも配達の様子を取材されていましたね。

配達は大きな強みの一つです。沖縄は島なので、物流コストが高くルートも限られており、豊富な在庫を持っている会社は少ないんです。私たちはあえて在庫を確保し、至急の配達に対応することで差別化しています。事務用品の大手企業が翌日配達を売りにしていますが、大手でも沖縄で翌日配達は難しいようです。大手ができないことを当社が担い、「沖縄県内版事務用品スピード配達」のようなサービスを目指しています。

お客様である学校の先生方は忙しいので、注文を忘れることもあるんですよ。「今日の図工で画用紙を使うのに在庫がなかった」と慌ててお電話をいただくこともあります。そんな時もすぐにお届けします。そうやって築いてきた信頼関係を大切にしています。

価格競争ではなく、スピードとサービスで勝負しています。物流が発達して、沖縄も以前より在庫を持たなくても困らない時代になりましたが、本当に至急、緊急に必要なもの、「明日欲しい」という要望に応えられるように対応しています。

─EC販売もされていますが、これから増やしていくのですか?

まだ商品数を増やせていないのですが、驚くことに県外から注文が来ることもあります。特にホワイトボードマーカーやボールペンなどが県外から注文されていて、小さいものならレターパックで簡単に送れます。

これから間違いなくECの時代になると思います。そのためにちゃんと整えておかないといけないですね。学校の先生はアナログな方が多いので電話で注文いただいていますが、本当は先生方をECサイトに誘導したいんです。先生用のECサイトもすでに制作していますし、今後学校もEC化したら対応できるように準備を進めています。

品揃え豊富な倉庫

Big Advanceのチャット機能で配達業務を効率化

─Big Advanceを導入されたきっかけを教えてください。

金融機関の方からおすすめいただいたのですが、私が興味を惹かれたのはチャット機能です。社内でのコミュニケーションツールをずっと探していたんです。

電話だと運転中は取れないこともありますし、無料アプリも良いのですがプライベート向けなこともあり、ビジネスでは使いづらいように思っていました。パソコンとスマートフォンのどちらでも使いやすいものを探していたんです。Big Advanceにチャット機能があって、スケジュール共有もできると聞いて、「それを使おう」と決めました。

有料の他社アプリも検討したのですが、当社は社員数も少ないので、費用との兼ね合いで決められなかったんですよね。Big Advanceは月額3,000円程度で使えるので、ちょうど良いサイズ感でした。

─チャット機能はどのように活用されていますか?

チャットは社内コミュニケーションツールとして非常に役立っています。店舗と営業所が離れていますし、営業は外出していることが多いので、連絡手段として欠かせません。

お客様である学校の先生方はアナログな方が多くて、電話での注文や連絡が中心なんです。お支払いも現金のことが多いです。集金の依頼電話があれば、すぐにチャットで営業に連絡します。電話だと出られなくてかけ直したり、向こうからの電話を待ったりと手間がかかりますが、チャットならお互いにとって早いですし確実です。

商品が入荷した時も、全体に「入荷しました」と一斉に流せるので、急いでいる営業はすぐ戻ってくるといった対応ができます。お客様からの連絡は電話で受けて、社内のやりとりはチャットで効率化する。本当に導入して良かったと思っています。

ビジネスマッチングで地元企業と新たな協業の可能性

─ビジネスマッチング機能も活用されていますか。

実は先日、「島ことば」という沖縄の方言を普及させたいという会社からBig Advanceを通じて連絡がありました。方言がなくなっていくという課題があって、学校でも取り組んでいるけれどなかなかうまくいっていないのが現状です。

ちょうどニュースでも島ことばの衰退について取り上げられていて、私も課題意識を持っていたので、一度会ってみようと考えています。私たちができることは何なのか、探ってみたいですね。直接的なビジネスではないですが、こういった課題意識を共有できる会社とつながれることは面白いですね。

25歳で家業へ、トップダウンからボトムアップ経営に変革

─お父様が始められた会社ということですが、最初から継ぐつもりでしたか?

大学に通っている時は、継ぐことは一切考えていませんでした。沖縄国際大学を卒業後、県内で就職しました。社会人の大変さを実感すると同時に、父もかなり苦労したことが分かって。卒業から3年目、25歳の時に当社に入りました。最初は大変でしたよ。ケンカばかりしていました(笑)。若かったこともあって、父とは衝突を繰り返していましたね。

父はトップダウンで「こうやりなさい」というやり方でしたが、私は「どうしたい?なんでこうやりたいの?」と意見を聞くようにしています。意見を言ったら説明する責任も出てきますしね。

─変革を進める中で、社員との関係で苦労されたことはありますか?

若い頃は、社長の息子として入社したこともあって、社員と本音で話しにくい部分がありました。20代の時は生意気で、厳しいことを言ってしまい辞めた人もいました。当時は自分の理解者を作らなければと必死でしたが、今思えば未熟でしたね。

今は私が48歳で一番年上という構成になり、ようやく風通しも良くなってきました。やりたいことをやれる環境をつくれたかと思います。よく先輩から「トライアンドエラーだよ」と言われましたが、その通りですね。やってみて失敗するのは当たり前、その繰り返ししかないと思っています。

時短勤務や子育て支援、柔軟な働き方で従業員満足度向上

─従業員の働き方や雇用について、どのようにお考えですか?

9時から5時30分のフルタイムの人もいれば、10時から4時30分の時短勤務の人もいます。子育て世代の従業員が、保育園の送迎に支障がないようにしています。

営業にもう1人採用したいと思っており、できれば子育て世代の方を採用したいと考えています。配達だけなら10時から3時~4時までの勤務でも対応できるので、そういった働き方ができる方を中心に募集しようと思っています。配達の地域を絞ればより働きやすいでしょうし、お子さんのことで急な休みが生じても私たちがフォローすればいいと思っています。

課題は社員教育ですね。教育というより、「共育」だと思っています。教えるんじゃなくて、共に育つ。

若い世代は、ワークライフバランスといわれるように、人生の一部に「働く」があるんです。一方で私は、「働く」の一部にプライベートがあったという世代なんです。世代間の違いを理解し、共感し、勉強しながら組織を作っていけるかが課題です。

商工会青年部での出会いが財産、地域の仲間とともに成長

─これまでの人生で印象に残った出会いを教えてください。

間違いなく、地元の商工会青年部です。同じ後継者や地元の仲間ができて、祭りの出店や地域貢献活動を一緒にしました。

最初は仕事が忙しいと言って逃げていたんですが、居酒屋に呼び出されて(笑)。お酒を飲みながらいろいろ話すと、みんな苦労していることが分かりました。同世代が頑張っている姿を見ると、自分も頑張らないとって思えるじゃないですか。そこでの出会いがなければ、今の自分はないと思います。沖縄各地に仲間ができたことが財産になっています。

「社員の幸せ」を第一に、時代が変わっても普遍的な価値を追求

─今後の展望について教えてください。

社員が幸せであればいいなと思っています。家庭が幸せで、うまくいっていれば、会社で100%のモチベーションを発揮できると思うんです。

私たちの業界が大きく伸びることは難しいですが、良い状態は維持できると思います。その中で、福利厚生を充実させて、社員の幸福度や満足度を高めたいというのが目標です。経営理念の3番目に「地域と関わり、発展することを喜び、社会から一目置かれる企業になる」と掲げています。それは売上や給料が高いということではなく、社員やその家族の幸せを追求できる企業になるということです。

周りから「あの会社の社員さんは輝いているよね」「いつも元気だよね」と言われるような企業でありたいですね。20年後、世界はどうなっているか分かりません。例えばAIがもっと進化していたとしても、人の幸せを大切にする姿勢は変わらないと思います。時代が変わっても、普遍的な価値を目指したいですね。

<会社情報>

有限会社たけ事務
所在地沖縄県島尻郡南風原町照屋285
設立1992年6月
URL

https://home.tsuku2.jp/storeDetail.php?scd=0000093865

https://www.big-advance.site/c/187/1432

※情報と肩書は取材当時のもの
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