2025年09月11日

日研工業所の「断らない」企業姿勢
塗装会社は更なる飛躍へ!

大阪にある株式会社日研工業所は、クラス10万のクリーンルーム設備を誇り、自動車から医療機器まで幅広い表面処理を手がける工業塗装会社です。大手が手がけないニッチな塗装技術を得意とし、「困ったことがあったら日研に相談すれば何とかなる」と信頼を集める同社で営業部部長を務める新井氏に、現在力を入れている浴室再生塗装事業「frocoat」をはじめ、Big Advanceでの4社成約実績など、表面処理のトータルサポート企業としての挑戦についてお話をお聞きしました。

株式会社日研工業所 営業部部長 新井 孝幸 様

品質・人・環境へのこだわりが生む競争優位性

─御社の事業内容と強みについて教えてください。

当社は1949年創業で、今年で75年になります。工業塗装が主力事業で、従業員は約50名です。お風呂の再生塗装、車のコーティング、板金屋さんのサポート事業など、様々な表面処理に関わる事業を展開しています。

最大の強みは、焼き付け塗装における設備投資を惜しまない点で、品質を徹底的に追求したこだわりのものづくりをしていることです。50人規模で焼き付け塗装を行っている塗装会社は全国でも少ないと思います。特にクリーンルーム(空気中の微粒子が少ない清浄度の高い室内)はクラス10万のものを導入しており、塗装会社でこの設備を保有しているのはかなり少ないようです。クリーンルームが目的で、東京から問い合わせもきます。

車のドアミラーのピアノブラック塗装や、バイクのエンジンパーツなど、高品質が求められる案件を数多く手がけていますね。また、錆びないようにするための下地処理にも力を入れており、いかに綺麗に剥がれないように塗装するかにこだわっています。

安かろう早かろうではなく、品質重視でお客様とは長期的な信頼関係を築いているので、価格面では海外に負けたりすることもありますが、何年後かに不具合が出たときにお客様が戻ってきますね。

設備への投資、人への投資のほかに、環境への配慮もしっかりやっています。塗料や臭気を濾過して綺麗にした状態で排出、処理しているので、当社周辺は表向きは塗装会社と思われないほど綺麗だと思います。また、環境への配慮は、周辺の住民の方々、従業員の健康にもつながりますし、社内をクリーンな状態に保つということは品質の担保にもつながります。品質にこだわる、というのは人や環境にもこだわるということなんですね。そういった企業姿勢もぜひ知ってほしいですね。

「frocoat」で浴室リフォーム革新 幅広い特殊技術も展開

─御社のものづくりに関する考え方を教えてください。

当社では「塗装はお化粧」と言っています。しかし、塗装の本質は見た目の美しさではなく、素材の保護にあります。色やデザインも重要ですが、まずは素材の劣化を抑えることが最優先です。例えば、洗濯機のボタンにクリア塗装を施すことで割れにくくするなど、保護機能こそが塗装の根本的な価値だと考えています。そこからさらに付加価値を積み重ねていくのが、当社のものづくりに対する基本姿勢です。

─塗装技術について具体的にお聞きしても良いですか?

例えば、抗菌・抗ウイルス・防カビの塗装や、医療現場で使用するX線遮蔽塗装など、高い塗装技術の開発に積極的に取り組んでいます。カテーテル手術の際に使用する眼鏡に塗装して、放射線から人体を守る技術も手がけています。

面白いのは、苦味成分を配合した塗装です。子供が誤飲したときに苦みを感じて吐き出せるように安全対策として開発しました。塗装会社ならではのノウハウで、製品化には苦労しました。

(frocoat施工例。資料より一部抜粋)

当社の主力事業の一つに、浴室塗装「frocoat(フロコート)」があります。浴槽のリフォーム時に、従来の浴槽入れ替えではなく塗装にすれば、コストを抑えられるだけでなく産廃の削減にもつながります。最も重視しているのは防カビ性能で、Fフォースター認証を取得した塗料を使用し、ホルムアルデヒドなどの有害物質を含まない安全な施工を心がけています。作業者と入居者双方の健康を考慮し、トルエンやキシレン、鉛などを含まない低臭の塗料を採用しています。塗装後はガラスコーティングで保護することで、石鹸カスや水垢の付着を防ぎ、強いアルカリ性や酸性の洗剤を使わずに日常清掃ができる環境を実現しています。

また、メッキから塗装へのシフトも行われています。海外ではメッキの使用が制限される傾向にあり、日本でもメッキ設備の新設は規制されています。メッキの強度や鏡面効果は塗装では完全には再現できませんが、環境配慮の観点から塗装への切り替えニーズが高まっており、現在はメッキに近い表現を目指すミラー調塗装の開発にも取り組んでいます。

このように、大手メーカーが対応しないようなニッチな開発案件を得意としており、「困ったことがあったら日研に相談すれば何とかなるだろう」と言っていただけることが多いですね。

営業の電話は全て受ける 展示会や商談会で「種まき」

─新規営業のスタイルについて教えてください。

私は「営業の電話は全て受ける」というスタンスです。お話を伺ったあと、メールをもらって全部ストックしています。困り事があったときに、そういう情報を振り返って問い合わせることもあるんです。

新規営業の軸は展示会です。大阪と東京で年数回は必ず出展し、商談会も年4回程度は参加しています。行政主導のマッチングビジネスにも登録していて、積極的に活用しています。だいたい3〜4社程度の面談が入ったら、1週間程東京に滞在するなどして別の用事も含めて効率的に営業活動を行っています。まさに種まきですね。

隙間時間には直接電話での営業も行いますが、直球ではなく、「こういうのはできませんか?」といった具体的な切り口でアプローチしています。時には知っている会社に仲介するということもやっていますね。

4社成約から更なる拡大へ 「もっと活用して案件増やしたい」

─Big Advanceを使って、何社かとすでにマッチングされていますよね。

Big Advanceでは、これまで4社と成約に至っています。当社では天然木専用コーティング剤を開発しているのですが、ヒノキ素材を使ったおもちゃを扱っている企業に防カビ塗装を提案しています。木材で金庫を製作している企業さんもいて、腐食防止や汚れ防止の課題に対応できるということでお話しています。清掃会社さんには、清掃だけでは汚れが落ちない浴槽を塗装で再生するコラボレーション事業を進めています。樹脂成形の会社さんは、かなりこだわった精密部品を扱っており、その塗装部分の案件でお話をしています。

Big Advanceの良いところは、金融機関からの紹介企業しか掲載されていないため、身元がはっきりしていることです。お互いに「悪い会社じゃないだろう」という信頼を感じます。また、金融機関の担当者が働きかけてくれるので、適当なことはできないという担保にもなっています。

福井、石川、富山などもよく申し込みますね。昔は直接訪問していましたが、最近はウェブで商談する方向に切り替えています。他のマッチングサービスだと、ウェブ面談後はそのままになってしまうケースが多いのですが、Big Adbvanceだと金融機関の担当者の方が定期的にフォローをしてくれるので、最後まで真摯な対応をしてくれる方が多いですね。

どんなマッチングもすぐに取引とはなりませんが、成約した企業とは関係を継続できています。電話をすると30分くらい話し込む人もいますね。そのうち必ず取引になると確信していますし、もっと活用して他の案件も増やしていきたいです。

異業種出身者が作る営業エキスパート集団

─営業部の特徴について教えてください。

私の前職はアパレル業界で、全く畑違いでした。前職時代にゴルフクラブの塗装を当社に依頼していた縁で会社を知り、真のものづくりに携わりたいという想いから転職を決意しました。面接で現場を見学した際に即決し、2日後には入社をお願いしていました。

営業部は私を含めて全員が転職組です。私がアパレル出身なのをはじめ、塗料販売商社経験者、外資系自動車メーカーの車両施工担当者、建築関係出身者など、様々なバックグラウンドを持つメンバーが集まっています。それぞれのエキスパートがいますので、対応の幅が広いことも当社の強みの一つになっていますね。夏からは外国人特定技能人材のサポート事業をスタートしています。それぞれの専業分野を攻めながら連携を強化し、複合的な対応ができるのが最大の特徴だと思います。

─社員にはどんな共通点があると思いますか?

社長が重視するのは「夢を語れる人」です。年収がいくら欲しいとか、有給は何日あるかといった条件面ではなく、「うちに入って何がしたいか」「自分だったらこうしたい」というイメージを持っている人を採用します。人間力を重視していますね。

様々なキャリアを持ち、各々に主体性もあるので個性豊かなメンバーばかりですが、当社の社長は、従業員を「家族」と表現してまとめています。会社では社員旅行や定期的なバーベキュー、ゴルフコンペ、釣り大会なども開催しています。日研でつながる「家族」の一員として、お互いをサポートしあって働ける環境があります。

ものでなく信念を売る 「表面処理」のトータルサポート企業へ

─今後の事業展望について教えてください。

まず力を入れているのが浴室に対する塗装「frocoat」での浴室再生事業です。関東と関西で月30室ずつ、年間1億円を目標にしています。前段でもお話しましたが、既存の浴槽を入れ替えるのではなく、産廃を増やさない環境配慮施工、コストを抑えた工法の塗装で再生してガラスコーティングで保護するサービスです。これを広めていくために日々頑張っていますが、現在はこの事業の組織化を構築している段階なので、スピード感を持って効率的に進めていくことが今後の課題です。車関連のサポート事業の拡大、夏からは外国人特定技能人材のサポート事業も開始したので、こちらもしっかり体制を確立したいですね。

当社は様々な事業を展開していますが、軸は「表面処理」で一貫しています。ものは作っていませんが、サポートやコーディネートの役割に徹しています。

─最後に、御社が大切にしていることを教えてください。

「断らない、お客様に寄り添う」ということです。たとえ当社で直接対応できない案件でも、必ず見積もりを出します。様々なネットワークを活用して、お客様のニーズに応えようとする姿勢を貫いています。

私たち営業は、ものを売るのではなく、信念を売りに行くという感覚ですね。当社の取り組み方や考え方を理解していただいて、パートナーとして長期的な関係を築いていくことを重視しています。

最新設備と徹底して追求する品質を武器に、表面塗装業界の新たな可能性を切り拓いていきたいと考えています。

<会社情報>

株式会社日研工業所
所在地 大阪市生野区中川東2‐3‐20
設立 1949年
URL

https://www.nikkenkogyosho.com/

※情報と肩書は取材当時のもの
  • SNSシェアこの記事をシェアする

関連記事を探す

アクセスランキング

  • オンライン面談実施中
  • お友達紹介キャンペーン