「捨てずに活かす」沖縄発リユース流通
ベストライフが異業種と開拓する新市場とは

沖縄県で不用品回収・産業廃棄物処理事業を展開する株式会社ベストライフ。処分費用の高騰を受け「リユース事業」に力を入れ始めました。回収した品物をリユース品として再流通させることで、お客様の処分費用負担軽減と環境配慮を両立させる独自のビジネスモデルを構築しています。今回は代表取締役の砂川隆氏に、事業の変遷やBig Advanceを活用した新たな取り組み、そして今後の展望についてお話を伺いました。
株式会社ベストライフ 代表取締役 砂川 隆 様
「もったいない」を利益に変える リユース戦略
ー御社の事業内容について教えてください。
当社は沖縄県宜野湾市で不用品回収と産業廃棄物の処理を行う会社です。現在は同業者もかなり増え、価格競争も激しくなっているので、2024年頃からリユース事業も始めました。
不用品回収の現場に行くと、実はまだ使えるものもたくさんあって、「もったいないから、無料でいいから持っていって」というお客様がほとんどなんです。そういった品物を一度倉庫に保管して、掃除をしてきれいにしてから、フリマサイトで販売しています。ここでさばききれないものは、県内の家具専門の大きな展示場に委託販売したり、県外や海外の業者に送ったりしています。
ーリユースできるものを海外に送るというのは、どういう理由からなんですか?
特に家具、事務机、椅子などは、見た目が新しくて一見売れそうなものでも、日本国内では需要が少なく、リサイクルショップでは買い取りしてくれないんですよ。店舗で扱っても人件費がかかるだけ。でも、海外では需要があるんです。
今は広島や福岡の業者と提携して、そこから海外へ送ってもらっています。毎週単価表を見て、「これは中国で需要がある」「フィリピンで売れる」といった情報をもらいながら、商品を選定しています。
処分代がゼロになるだけでもありがたいんですが、できれば利益を出したいので見極めが重要ですね。
ー処分費用についても課題があるとお聞きしました。
そうなんです。産業廃棄物の処分単価は、4〜5年前までは1kgあたり30円〜50円くらいだったんですが、3年くらい前から一気に1kgあたり100円になりました。種類にもよりますけど、仕分けが困難な混合ゴミなんかは特に高いですね。
だからこそ、処分するものを減らして、少しでもリユースできるものは県外や海外に送るルートを確保することが大切なんです。例えば、タイヤのアルミホイールは、県内の業者だとゴムを取り外さないと買い取ってもらえないんですが、県外に送ればそのままの状態で引き取ってもらえる。このような困難な仕分けをしなくても対応できるルートを、構築しているところです。
異業種交流とビジネスマッチングで広がるネットワーク

ーBig Advanceはどのように活用されていますか?
もともとはコザ信用金庫さんから紹介されて導入しました。ビジネスマッチングに興味はありましたが、当時は不用品回収の仲介業者からの仕事がたくさんあり、スケジュールが埋まっていたため、あまり活用できていませんでした。
しかし、同業者が増えてくると、仲介企業への手数料がどんどん上がっていきました。最初は15%の手数料だったのが、瞬く間に20、30、40%…と。業者間の競争が激しくなって、手数料を多く払ってでも仕事を取りたいという業者が増えたんですね。
一方でお客様への値上げは難しいため、利幅が減るという状況に陥りました。
正規の金額で利益を確保するためには、仲介業者に頼らずに自分たちで取引先を探す必要が出てきて、ビジネスマッチングのようなデジタルツールをしっかり活用しないといけないと思うようになりました。
ただ、私自身がパソコンにそこまで詳しくないので、スタッフに更新や返信を任せて、実際の面談や見積もりは私が行くという形で進めています。
Big Advanceを活用している中で、不動産業をされているめんそーれさんとも、つながることができました。マッチング成約後すぐにお会いすることができ、リフォームで不用品回収を必要としているお客様を紹介してくれたんです。本当に行動が早い方で、残置物の処理だけでなく、木の伐採など想像以上に大きい案件もご紹介いただけました。木の伐採は弊社だけでは対応できない規模だったので、協力会社と一緒に見積もりを出しました。
やはり、お互いに金融機関の審査を通過している企業同士なので、信頼関係が築きやすいんですよね。
ー沖縄文化の模合(もあい)はビジネスでのネットワークづくりにも重要だと聞きました。
「模合(もあい)」というのは沖縄の伝統的な相互扶助の文化なんですよ。参加者が定期的に集まって親睦を深めながら、必要な時に助け合う仕組みです。
私が主催する模合の参加者は同業者ではなく、リフォーム店、事務用品店、ハウスクリーニング、造園業、飲食店など、いろんな業種の経営者が集まっています。
今回マッチングで繋がっためんそーれさんもこの模合にお誘いしたいと思っています。月一回集まって、お互いに情報交換しながらビジネスチャンスを生み出していく。沖縄の模合の文化を、現代のビジネスネットワークとして活かしています。
ー不動産会社や解体業者との連携も重視されているそうですね。
そうですね。不動産会社さんや解体業者さんとは、ぜひコラボしていきたいと思っています。昔は解体業者がゴミの処理も含めて全て自社で行っていましたが、今は分業化されています。解体に入る前に、必ず一般廃棄物業者が建物内のゴミを処理することになっているので連携したいですね。
逆に、こちらのお客様が解体作業を必要としていれば、解体業者さんを紹介できる。そういう相互利益的で、継続的な関係を築ければいいなと思っています。
営業の原点を教えてくれた出会い

ーこれまでの人生で、転機となった出会いはありますか?
太陽エネルギー商材を取り扱う会社で働いていた時の出会いですね。太陽熱温水器の飛び込み営業で、ノークレームの売上No.1営業マンがいたんです。
営業って、商品の勉強をして、メリットを説明しますよね。でも、この方はほとんどそれをやらずに、お客様の話を聞くんです。訪問先に可愛い犬や子供がいたら、その話題だけして商品の話は一切しない。売り込みというより、お客様とのコミュニケーションなんですよね。
それまで私は「いかに他社よりこの製品がいいか」という話ばかりしていたんですが、この人の営業スタイルを見てから、まずお客様の話を聞いて、要望に応えるという方法に変わりました。
今も心がけているのは、ただ単に安くするということじゃなくて、お客様が私たちに対して話しやすく、質問をしやすい環境を作ること。お客様が気軽にいろんな要望を言えるような関係でありたいと思っています。
遺品整理で見つかる思わぬお宝、フリマサイトでアンプが20万円に
ー不用品回収の現場では、意外な発見もあるそうですね。
実家の片付けで下駄箱や着物の間に50万円入っていたり、総額で300万円くらい現金が出てきたことがあるんです。
だから、お客様のところに行く時も処分品の中に大事なものが入っている可能性があるよとアドバイスするようにしています。
また、メルカリなどのフリマサイトではマニアの方が意外なものを購入されます。壊れたサックスとか三味線、古いレコーダーなども売れるんです。捨てようとしていたアンプが20万円で売れた時は驚きました。
今後は、そういった「お宝」を見つけるアドバイザーとしての役割も果たしていきたいです。写真と情報を送ってくれたら、当社のスタッフが上手に出品します。もちろん手数料はいただきますが、処分費用がかかると思っていたものがお金になったら、お客様も嬉しいですよね。
整理収納アドバイザーとして、『ゴミを出さない』提案

ー今後の展望について教えてください。
不用品回収をやりつつ、お客様に+αの価値を届けたいですね。
例えば引っ越しの場合なら、不用品回収だけでなく、片付け後のハウスクリーニングも必要になります。当社ではこれらのサービスをまとめて提供しています。お客様からすると別々の会社に頼むより便利ですよね。
さらに、模合で繋がっているリフォーム屋さんや解体業者さんなど、協力会社のネットワークを活かして、生活周りのお困りごとをトータルで解決できる会社を目指しています。
また、リユース品の販売ルートをどんどん構築していくことも必要です。県内での販売、県外への委託販売システムを確立させたいですね。
それから、先ほどもお話しましたが、整理収納アドバイザーの資格を取りたいと思っています。片付けが苦手だといつの間にか散らかってしまう、ゴミを溜め込んでしまうという方がいます。私はゴミ屋さんだけど、ゴミをためないように、片付けや収納のアドバイスをする。矛盾しているように聞こえるかもしれませんが(笑)、本来お客様にとってはゴミが出ないほうが良いはずです。
片付けや収納のアドバイスができるようになれば、より付加価値のあるサービスが提供できると思うんですよね。
お客様の生活のお困りごとを一緒に解決していける存在であり続けたいと思っています。
<会社情報>
| 株式会社ベストライフ | |
|---|---|
| 所在地 | 沖縄県宜野湾市我如古1-22-9 |
| 設立 | 2021年 1月 |
| URL | |
| ※情報と肩書は取材当時のもの | |








