2026年02月24日

駿河湾の味を乗せて販路拡大!
評判が評判を呼ぶショーエイプロダクトのピザ

静岡県静岡市でお持ち帰りピザ専門店「Chanter(シャンテ)」を主力事業として運営する株式会社ショーエイプロダクト。一枚一枚手づくりするピザが評判を呼び、持ち帰りや冷凍商品と少しずつ形を変えながら、販路を広げてきました。今では三越伊勢丹グループ、イオンといった大手百貨店やスーパーマーケットとの取引へと拡大。その背景にあるのは、たゆまぬ商品開発やお客さんの声を重視した改良、「今できる量を、確実に届ける」という、松永氏の現場感覚に基づいた判断の積み重ねでした。その歩みと今後の展望についてお話を伺いました。

株式会社 ショーエイプロダクト 代表取締役 松永 吉保 様

お客さんの声から始まった、ピザ事業への挑戦

─まず、ピザ専門店「Chanter(シャンテ)」の設立経緯について教えてください。

当社は最初からピザを主力にした事業を考えていたわけではありませんでした。元々私は東京で建築事業に携わっていまして、そこで飲食をやっていた妻に出会いました。地元である静岡へ戻ってからはカラオケ業界に身を置いて、カラオケBOXに併設しているダイニングバーのようなお店をやっていたんです。ピザはその店で出していたメニューのうちの一つです。2~3種類ほどだったのですが、非常に評判が良くて。ほとんどのお客さんがピザを注文してくれて、持ち帰りを希望されることも多かったんです。

じゃあ、ちゃんと容器を用意して、テイクアウトとして出してみようか、というところから始まりました。完全にお客さんの声がきっかけでした。

─商品のこだわりはどういったところですか?

当社の商品はすべて手づくりである点がウリです。食感を楽しめるよう試行錯誤した手づくりの生地と、たっぷり乗せた具材の旨味とのハーモニーにこだわっています。製造後は急速冷凍してすぐに真空パックにすることで、美味しさが損なわれないようにしています。

メニュー開発は長く飲食に携わってきて料理の腕がある製造開発責任者が担い、製造の現場を支えてくれています。新しいメニューを考え、試作品を作り、まずはお客さんに食べていただき     意見をいただく。そんな改良を積み重ねながら新メニューを出しています。

最初は3~4種類しかなかったピザも、 今はかなり種類が増えてきました。若い方向けにスイーツ系メニューを開発してみたり、キッチンカーで出すイベント向けメニューを考えたり。ずっと同じものを提供していると飽きられてしまいますから。止まらずに、少しずつ変えていくことは意識しています。

メニュー開発を一手に引き受けるのは製造開発責任者の松永早智子さん

販路拡大のきっかけは具材たっぷりの「桜えびのピザ」

─大手百貨店などとの取引拡大に至った流れについて教えてください。

テイクアウト販売と合わせて冷凍ピザにも力を入れていました。そんな中で「桜えびのピザ」が、2024年に「ふじのくに新商品セレクション」で金賞をいただきました。当社のピザを気に入ってくれていた金融機関の担当の方から「こういうのがあるから出してみませんか」と提案いただいたのが始まりです。元々自慢の商品ではありましたが、そこまで期待していなかったので受賞には驚きました。受賞後、県も非常にバックアップしてくれて、商談の場が増えていきました。

─商談ではどういった点が注目されましたか? 

桜えびは日本では駿河湾でのみ漁獲される貴重なエビです。美しい色味はもちろん、独特の甘みがあり美味しい。ただ資源が限られているため高価な食材なんですよね。桜えびのピザ自体はこちらでは珍しいメニューではないですが、他社さんの商品を見ると、ほんの少ししか乗っていないこともあります。

当社はそれを避けるべく、仕入れ先を慎重に探して安定して仕入れられるルートを開拓し、今は1枚に約60グラム乗せています。原価は厳しいですが、その価値を分かってくれるバイヤーの方にとても注目していただきました。「本当にこの価格で60グラム乗ってるんですか?」といった質問は必ずもらいます。あと「しらすのピザ」ですね。駿河湾はしらすも有名です。桜えびのピザとしらすのピザ、2つの駿河湾の恵みをセットにした「駿河セット」で商談を進めています。これが好評で、ちょっと爆発気味なんです。

冷凍や持ち帰りで販売する「桜えびのピザ」と「しらすのピザ」。オンラインショップでも買える

元々、静岡伊勢丹さんでは当社の冷凍ピザを取り扱っていただいていましたが、このピザを出したことが一つの転機になりましたね。「より本格的にやっていきましょう」と言っていただくようになました。

結果として、三越伊勢丹グループはグループ全体での契約が済んでいます。全国にある三越伊勢丹グループのうち、今は13社ほどとつながっている形です。また、イオンさんでの取り扱いも始まり、最近はベイシアグループさんとも契約させていただきました。

─販路拡大にあたり、大変さもあるのではないでしょうか。

そうですね。味はもちろんですが、取引ではどのくらいの量を安定して卸せるかを重視されます。そこで無理して頑張ることもできますが、「今できる量はここまでです」と正直に伝えてきました。無理をして一気に広げると、いろいろなところに負荷がかかりすぎてすべて崩れてしまう可能性がある。建築業界で苦労した経験から、それだけは避けたかったんです。

ですので当社のペースをお伝えしたうえで、「まずはこの数量でやってみましょう」「それが問題なければ、次は倍にしましょう」というふうに先方とやり取りをし、段階を踏んで進めています。

─明治神宮「秋の大祭」の奉献品にも選ばれましたね。

はい。昨年2025年には静岡県代表として、桜えびのピザを明治神宮「秋の大祭」の全国特産物奉献品に選んでいただきました。こちらも県の方からお声がけをいただいたことがきっかけです。静岡の食としてお墨付きをもらえたことは光栄ですし、今後も事業を続けていくうえで大きな励みになりました。

新たな接点を生むための情報発信と試行錯誤

─Big Advanceについてはいかがですか。

Big Advanceは、金融機関さんの紹介で使い始めました。いろんな企業さんと商談させていただきたくて。ただ、始めた頃につくってもらったまま情報を更新できていないので、これから文章や画像を改善していきたいと思います。先ほどお話ししたような賞も受賞していますし、味には自信があります。食べてもらえさえすれば結構うまくいくと思うんです。

一件、広島の百貨店さんとは成約しています。まずは限定で販売してみましょうということで。イベントなどで販売して、売れ行きが良ければ定期的な販売になるようです。こういった地場の、老舗の百貨店さんとはもっと商談したいですね。やはり地元の方は多く行かれますから。そこで販売してもらうことで、その地域の方に広まるのかなと思っています。

また、SNSももっと活用したいですね。最初は出し方があまりうまくいっていなかったんですが、それを見たスタッフが「これなら私もできます」と手を挙げてくれました。お願いしたらなんだか評判がいいんですよ。見てくれたお客さんもほめてくれて、そのスタッフも喜んでいました。なのでもっと活用すべきだと思っていて、LINEや色々なSNSを活用していきたいですね。広く届けることができますから。

まずは生産体制の強化。その先に見据えるフランチャイズ展開

─今後の展望を教えてください。

まずは、生産体制を整えることです。いま10名のスタッフがいますが、今後のことを考えると人手も足りませんし、もっと効率化できる部分もあると思っています。当社のスタッフには女性が多く、子どもがいる人も多いです。子どもの体調不良や家庭の事情によって柔軟に働けるようにしてはいますが、長く働ける職場だと思ってもらえないといけません。そのためにもっと体制を整えていく必要がありますね。

その先にはフランチャイズ展開も考えています。お持ち帰りピザの常設店舗でもいいですし、キッチンカーでもいいんですが、どちらでも選べますよみたいな形でも良いなと。ただ、お店によって味が変わってしまうことだけは避けたい。セントラルキッチンとして当社からすべて材料を卸すといった形で考えたいですね。うちのピザは、現場で育ってきたものなので、そこは大事にしたいです。

スタッフには「いやそれやる頃には社長もう生きてないでしょう」とか言われるんですけど(笑)、最終目標です。

<会社情報>

株式会社ショーエイプロダクト
所在地 静岡県静岡市清水区下野東2-11
設立 2015年12月
URL

https://xn--wckb9b0cwdue.com/

※情報と肩書は取材当時のもの
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