2026年01月27日

注目企業インタビュー 地域の挑戦を応援する仕組みづくり
CAMPFIRE柿原氏に聞く、クラウドファンディング活用術【前編】

クラウドファンディングは資金調達の手段だけではありません。「誰に、なぜこの挑戦をしているのか」を言葉にして届け、共感という力を可視化するプロセスそのものに価値があります。日本最大級のクラウドファンディング・プラットフォーム「CAMPFIRE」で、全国の地域金融機関と連携しながら中小企業の挑戦を支援する柿原氏に、地域でクラウドファンディングを根付かせる取り組みと、印象的な成功事例について聞きました。

株式会社CAMPFIRE 地域共創推進チーム 柿原 静香 様

地域金融機関との連携で、挑戦の芽を育てる

―まず、CAMPFIREの概要と、柿原様のお仕事の内容について教えてください。

弊社は2011年に設立したクラウドファンディングの会社です。おかげさまで2025年、会員数が500万人の大台を突破し、累計支援総額も1000億円を超えました。

株式会社CAMPFIREのミッションは「想いを起点に、あらゆる価値をめぐらせる」というものです。規模や対象、ジャンルを問わず、クラウドファンディングを通じた挑戦の実現をサポートしてきました。累計で10万件を超えるプロジェクトを支援しています。

私が所属しているのは「地域共創推進チーム」で、全国各地でクラウドファンディングを根付かせるための活動をしています。特に、全国の地域金融機関様を担当しております。

金融機関様を通じてクラウドファンディングのご提案や、ご紹介いただいたプロジェクトのキュレーションをサポートしています。自治体や商工会議所、地元メディアなど、地域のインフラを担うプレーヤーの方々とも連携しながら、クラウドファンディングを推進していく仕事をしています。

―金融機関との連携という点では、Big Advanceと似ていますね。営業現場の方々にクラウドファンディングを理解していただくために、どのような取り組みをされていますか?

そこは本当に地道な活動が必要ですね。例えば、定期的にセミナーを開催しています。

お客様との面談時に金融機関の方の同席は必要ないんですが、それでも同席したいとおっしゃってくださる熱心な方もたくさんいらっしゃいます。クラウドファンディングをするとこんな効果があるんだとか、お客様はこういうことも考えているんだとか、いろいろ引き出しができるんですよね。その伴走を楽しんでいただける金融機関様も増えてきています。

他にも、クラウドファンディングを通じたいろんな企画も実施しています。例えば、ビックカメラ様との共同企画「ビックFIRE」や、2025年の夏は米産業を支援する企画を行いました。

―企業との共同企画もされているんですね。どういった狙いがあるのでしょうか。

企業との連携は、当社でクラウドファンディングに挑戦していただき、プロジェクトが採択されるとそこの店頭に商品を置いてもらえる機会がある仕組みです。つまり、クラウドファンディングのその後の販路獲得までをサポートしているんです。お客様にとって、クラウドファンディングに挑戦したことによってPRや新規顧客、そして販路を獲得できるようなきっかけ作りを意識しています。

「やり切る」ことで見えてくるもの―成功事例に学ぶ

―町全体が盛り上がったプロジェクトがあれば教えてください。

印象に残っているプロジェクトは本当にたくさんあるんですが、いくつかご紹介しますね。

地元のお祭りの例―俳優ファンとの出会いが生んだ波及効果

まず、岩手で春に行われているお祭りがあります。
お祭り関係の存続は、2024年ぐらいからすごく相談が多いんですよ。コロナでやめてからその後復活したものの、思うように前ほど協賛金が集まらない。物価も高くなってしまって、なかなか以前と同じように祭りや花火を開催するのが難しい。自治体も予算をつけられないので、クラウドファンディングを通じて資金を集めたいという相談がとても多いです。

このお祭りの件も、イベントでお会いした地域商社さんからのお話でした。「財務状況が厳しくて、今年はこのお祭りを開催することは決まっているけど、来年以降が心配。これってクラウドファンディングで支援を募れますか?」という相談だったんです。

―準備はどのようにすすめられたんですか?

相談を受けてからプロジェクト公開まで3週間ぐらいだったので結構タイトなスケジュールではありました。そんな中で、リターン品はお客様のアイデアを採用しました。

源義経役の俳優の衣装は、運営側が毎回密かに俳優に合わせたものを考えているとのことで、リターン品はその衣装柄のグッズはどうかな、とおっしゃったんです。それならすぐできそうだから、ということで準備したんですよね。結果として、俳優のファンの方々をはじめXで大きな話題になったんですよ。

―グッズがもらえる、ということでバズったんですか?

グッズが欲しいというより、この取り組みを応援してあげたいという気持ちで、ファンをはじめとした方々が支援してくださったんですね。ファンの方は元々このお祭りにも来る予定だったけれど、まさかこんなに存続危機になっているなんて知らなかった、と。

さらに、過去にこの義経役を演じた俳優さんが、「自分も参加したお祭りがクラウドファンディングをやってる」ということをSNSで投稿してくださったことでそのファンにも広がりました。追加のリターンでは、当時の衣装柄グッズを出したことで、さらに多くの支援が集まりました。

―成功の要因は何だったと思いますか?

やはりプロジェクトオーナーさんが、支援者さんが喜ぶようなリターンをすごくよく考えていましたし、支援者さんそれぞれに合わせてコミュニケーションの仕方を変えて、工夫されていたんですよね。プロジェクトをやりながら気づいて、変えていっていました。

―走りながら学んでいったんですね。

そうですね。クラウドファンディングって走りながら、支援者さんと対話することでいろいろ気づけるんです。終わったあとの活動報告も本当に丁寧に想いを綴ってくださいました。

お祭り当日もすごい盛り上がったんですが、それ以外にも、町自体に大きな反響があったことや、祭りを応援してくれる人がいるんだなってことで、勇気づけられたと思います。2年に1回の開催にしようか、という話もあったようですが、今後は毎年こういったクラウドファンディングに挑戦することを見据え、存続に向けて一歩、二歩と進んでいる良い結果になったと思います。

こちらもおすすめ>>挑戦と共感がめぐる場所。ファンとの共創型クラウドファンディング「CAMPFIRE」

農園の例―クラウドファンディングが販路として定着

―他にも印象的な事例はありますか?

岡山にある桃農園さんの事例です。この方は過去に2回ほどご自身でクラウドファンディングに挑戦されていたのですが、3回目の時に、提携している金融機関様を通じてご紹介を受け、私が面談等のサポートに入らせていただきました。

―どのようなサポートをされたのでしょうか?

当初、農園の方はレモネードなどの6次化商品(農家が加工・販売まで手がける商品)でのプロジェクト実施を検討されていました。面談でお話を伺いながら、改めて「なぜ今回クラウドファンディングを実施するのか」「誰に何を届けたいのか」という目的の部分を一緒に整理させていただいたところ、単に商品を売るだけでなく「農園自体の認知を広げたい」「PRにつなげたい」という想いが強いことが見えてきました。

それならば、加工品ももちろん素敵ですが、一番の強みである「桃そのもの」をリターンのメインに据えて勝負したほうが、より多くの方の目に留まり、PRとしてのインパクトも大きくなるのではないか、と提案させていただきました。

―その提案に対する反応はいかがでしたか?

最初は「あ、桃そのままでもいいんですか?」と驚かれていました。 クラウドファンディングは小規模農家さんが取り組む「直販ツール」として非常に有効な手段であることをお伝えしました。

一般的な市場流通だとどうしても「価格」が判断基準になりがちです。でもクラウドファンディングなら、生産物そのもののおいしさはもちろん、「今の農業が抱える課題」や「なぜこれに取り組んでいるのか」「将来どんな農園を目指しているのか」といったストーリーまで余すことなく伝えられます。 そうした想いを届けることで、単なる「値段」ではなく、共感や応援といった気持ちによる「商行動」が生まれるんです。

―なるほど、それを聞いて「桃」での実施を決意されたんですね。

はい。その点をご説明したところ、非常に納得していただき、メインのリターンを桃にして挑戦することになりました。 ページの見せ方やリターンの構成、PRの方法など、クラウドファンディングを成功させるための施策もアドバイスさせていただきましたが、何よりお客様がそれを真摯に受け止め、一つひとつ丁寧に取り組んでくださいました。

―結果はいかがでしたか?

おかげさまで、しっかりと売上をつくることができました。お客様も「クラファンでこれだけの成果が出せるんだ」と喜んでくださり、今後も直販ツールとして継続していきたいとおっしゃってくださいました。

さらに嬉しかったのは、このプロジェクトを通じて「ファン」ができたことです。桃のプロジェクトでつながった支援者様たちに、その後実施した6次化商品のプロジェクトでも支援いただくなど、事業全体によい循環が生まれました。

―プロジェクト後の反応はいかがでしたか?

クラウドファンディングページの活動報告で、とても素敵な感想を書いてくださったんです。「単なる売買ではなくて、支援者の方々の想いを感じた。値段だけで選ばない、共感や応援という精神によって商行動が生まれるクラウドファンディングは、日本の農業界の問題を解決する手段ではないかと思いました」と。

クラウドファンディングを一生懸命やることで、私もお客様も、さまざまな行動から気づきを得られる。それが本当によく表れた事例だったと思います。

後編では、製造業のBtoC転換事例、支援を集めるための実践的なノウハウ、そして「挑戦が許容される地域」を増やすための柿原氏の想いをお届けします。(後編は明日公開)

柿原 静香
株式会社CAMPFIRE

地域共創推進チーム所属。全国の地域金融機関とのパートナー連携を担当し、クラウドファンディングを通じた地域企業の挑戦を支援している。

取材・執筆:木村 奈央
コネクト編集部

「コネクト」立ち上げメンバー。以前は社会人向け教育・研修事業を展開する企業にて、オウンドメディア編集部の一員としてメディア運営全般に従事。当面の目標はペーパードライバーからの脱却。

<会社情報>

株式会社CAMPFIRE
所在地東京都渋谷区猿楽町18−8 ヒルサイドテラスF棟201
設立2011年1月14日
URL

https://campfire.co.jp/

※情報と肩書は取材当時のもの
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