万博終了直前!
中小企業パビリオンと町工場見学で学ぶ経営改革のヒント

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の会期終了が目前に迫ってきましたが、皆さんはもう行かれましたか?今回は、10月3日(金)〜10月7日(火)の5日間限定で開催される、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)と中小企業庁による特別展示をご紹介します。中小企業の経営者の皆さんは足を運んでみてはいかがでしょうか。
また、同じく大阪で行われている「大阪街中(まちじゅう)ものづくりパビリオン」で町工場見学に行ってきたので、詳細レポートもお届けします。
なぜ万博で中小企業展示なのか
中小機構と中小企業庁が万博に出展するのは、日本の経済を支える中小企業の技術力と可能性を、世界に向けて発信するためです。
今回の展示では、「未来航路 -20XX年を目指す中小企業の挑戦の旅-」と題して、未来志向の製品や技術・サービスを持つ中小企業の取り組みを体験型展示で紹介。
世界各国から訪れる来場者に、中小企業の技術やアイデアの素晴らしさを実際に体感してもらい、「日本の中小企業ってこんなにすごいんだ」と知ってもらう絶好の機会です。普段はなかなか目にすることができない専門的なテクノロジーや、他社のアイデアを知ることで、新たなものづくりの刺激になることはもちろん、企業経営者の方にとっては経営改革のヒントを得る、またとない機会になるのではないでしょうか。
「大阪街中(まちじゅう)ものづくりパビリオン」で町工場見学に行ってみた
大阪府が推進する「大阪街中(まちじゅう)ものづくりパビリオン」をご存じでしょうか?「大阪にある様々な製造業をもっと身近に」というコンセプトのもと、大阪が誇るものづくり企業の優れた技術力や製品の魅力を紹介するプログラムです。
専用のサイトから工場見学予約をすれば、誰でも現場視察が行えます。万博をきっかけに、普段は見ることのできない町工場の現場やものづくりを体験することで、国内外の多くの人々にその技術力を知ってもらうことを目的としています。
私は今回、東大阪市にある「畑ダイカスト工業株式会社」を視察してきました。平日の朝にお邪魔したので参加者は私一人でしたが、担当の方が丁寧に説明してくださいました。

(材料となる亜鉛)
同社では、自転車のベルやギア部品、バイクミラーなど、私たちの身近にある製品の部品を手がけていると教えてもらいました。プラモデルのように「子供でもパキパキ折れるように」部品を加工し、不要な部分は再溶解して再利用してまた製品を作るのだそうです。
「リーマン・ショック時には2ヶ月間注文が途絶えるという厳しい時期もありましたが、コロナ禍では自転車ブームの恩恵を受けるなど、市場の変化に柔軟に対応しながら事業を継続しています。営業はほぼしていないんですよ。ホームページからの問い合わせが取引先確保につながっています」
とのこと。同社のホームページはとても素敵です。Big Advanceでもホームページ作成機能を活用した成功事例を多く取材してきましたが、「やはりホームページは重要ですよね!」と改めてデジタル活用・情報発信の必要性を実感しました。
人材確保と働き方改革への取り組み

(工場の様子。夏は灼熱になるので、安全を確保しながらの作業になるそう)
また「若い職人が多い」という同社の情報をもとに、どうやって人材を確保しているのかを質問したところ、社長自らが採用イベントや地域活動に参加し、日本語学校から外国人材を確保して定住につなげる取り組みを行っているそうです。
「若者の意見をどんどん取り入れる」という方針のもと、8年ほど前から若者採用を本格化。今後の課題は、「技術を持った人を育てたい、定着率を高めたい」ということで、現在は年間休日を増やし、残業ゼロを目指す働き方改革を実践しているとのこと。8時から17時の就業時間で、16時台には終礼を行い、17時半にはシャッターを閉めるという徹底ぶりです。
今後の展望として、2030年に向けて新工場移転を実現したいそうです。
踏み込んだ質問にも丁寧に答えてくださったご担当者様、ありがとうございました。若い方が生き生きと風通しよく働けて、技術を学んでいける環境づくりを実現されようとしている姿勢が素晴らしいと感じました。
まだ間に合う!ものづくりの未来を見に行こう
万博の会期終了まで、残りわずか。特に中小機構と中小企業庁の展示は、10月3日から7日までの5日間限定です。そして万博を訪れた際は、「大阪街中(まちじゅう)ものづくりパビリオン」に行って、日本の未来を担うものづくりの現場もぜひ体験してみてください。
※情報は取材当時のもの