1ミクロンの未来を測る
精密測定機器でものづくりの現場を変えるAny Design

精密測定機器メーカーとして、日本のものづくりを最前線で支えるAny Design。その独自性は、職人技術を基盤にしながらもデジタル化を推進する革新性にあります。精密測定の世界で培った技術力と、お客様のニーズに応える柔軟な開発力を武器に、産業界で革新を続けてきました。創業者である梶木氏に、その開発哲学や製品の魅力について伺いました。
株式会社 Any Design 代表取締役 梶木 幹雄 様
デジタル精密水準器_LevelMan(レベルマン)とは
精密水準器は、工作機械の設置や定盤の水平出し(レベル出し)などに使用する測定器です。 気泡の変位を目盛で直接読み取り、水平または鉛直からの微小な傾斜を測定します。 気泡管を使用した精密水準器は構造が単純で機械的な可動部分が無いため、信頼性や安定性に優れており、精密機器を製造するような現場で広く使われています。
Any Designが開発したデジタル精密水準器 LevelMan(レベルマン)は、従来の精密水準器をデジタル化したハンディタイプの精密水準器です。
無線アプリと組み合わせて、レベル測定と調整の時間を短縮できるようになりました。
1対1の通信ではなく、「同時に複数ヶ所の計測」「同時に全員で測定値の共有」ができます。
付属・無線アプリと組み合わせて利用することにより、複数ヶ所の計測を、複数作業者でデータを共有しながら調整作業を行うことができる為、レベル出しの時間を大幅に短縮することが可能です。
参考:株式会社 Any Design ホームページより LevelMan(レベルマン)製品紹介ページ
https://anydesign.jp/products/levelman-overview/
震災が開発のきっかけに 〜デジタル精密水準器 開発者の想い〜
インタビュアー:創業に至るまでのご経歴を教えてください。
私はマイコン少年として育ち、回路、ファーム、ソフト、機構とメカトロ設計の技術者として経験を積んできました。2011年の震災で装置の設置(水平)レベルが狂い、生産の再開に長期間を要したことから、地震大国日本でモノづくりを支えるためには、容易にレベル出しができる装置が必須だと痛感しました。その思いをきっかけに、誰でも簡単に使えるデジタル水準器の開発に着手しました。
インタビュアー:創業当初はどのように開発を進められたのでしょうか?
一人で創業し、5年間かけて1号機を完成させました。当時は水準器に関するノウハウが全くなかったため、試作を重ねて各水準器メーカーを訪ね歩き、親切に助言をしてくださる方々の支えで前進することができました。
1ミクロンの精密さで製造現場を変えたい
インタビュアー:先駆者の方々にたくさんの助言をいただいたんですね。開発した水準器の特徴はありますか?
スマートフォンやパソコン、さらには半導体などの製造プロセスで必要とされる高精度な加工には、ミクロン単位での精密性が求められます。従来の水準器は1目盛が1メートルあたり20ミクロンの水平計測が出来ますが慣れた職人でも0.1目盛計測が限界でした。また、全て人の目で水平を確認する必要があり、水平を取る手順にも職人技が問われるものでした。全て人力で調整をする為、後継者問題や更なる正確性を求める様な現場での課題があったんです。
当社が提供する精密測定機器は、従来のアナログの気泡管測定器に画像センサーやBluetooth通信機能を組み合わせることによって、パソコン上で水平レベルの可視化が可能になりました。1ミクロン単位での測定、調整が出来る様になったんです。1ミクロン単位をわかりやすく説明すると、1Km先で1ミリの勾配の有無を確認出来るということですね。とても精密な計測が誰でも簡単に正確な測定が可能になりました。そして同時に多数箇所の計測をして全体のネジレまで一目瞭然になりました。
この技術は水準器の概念を一新出来ると考えています。
インタビュアー:とても精密な計測が簡単に行えるんですね!開発における苦労や転機を教えてください。
製品開発において重要な転機となったのは、伝統的な水準器メーカーとの出会いでした。府中市に拠点を構える老舗水準器メーカー『諸越レベル』様の協力により、職人技の基礎を学びました。彼らの協力がなければ、当社の技術は完成しなかったでしょう。休日を返上して技術を伝授してくださった職人の姿勢には感動しました。
デジタル精密水準器で製造現場を革新
インタビュアー:この水準器を導入すると、どのような効果が期待できますか?
1ミクロンの誤差が製品の品質を大きく左右する業界では、水準器は必要不可欠なツールです。現在、Bluetoothを活用したリモート操作ができる装置も開発しておりまして、ボタンひとつで精密な水平が取れるようになりました。ボタンひとつで水平が取れるという事は、職人技のない人でも水平が取れるという事なんですね。
これまで職人技に依存していた部分が自動化され、作業効率が飛躍的に向上しました。職人の手作業に頼らずとも高精度な測定や調整が可能となり、これが多くのお客様から評価されています。デジタル化により、インターネット連携による遠隔監視の可能性も広がっており、次世代のニーズに応える準備も進めています。


世界中の精密加工現場にデジタル精密水準器を届けたい
インタビュアー:製品を広めるためにどのような取り組みをしていますか?
『こんな便利な水準器がある』ということを知っていただき、実際に試し、安心していただくことに力を入れています。展示会や自社WEBサイト、動画サイト、メルマガ、測定機器のポータルサイトなど、多様な手段を活用しています。また、Big Advanceを通じた営業活動も全国の事業者様と繋がれるため費用対効果が高く、増々力を入れていきたいと考えています。
インタビュアー:デジタル精密水準器をどのような人に届けたいですか?
世界中の精密加工に従事されている方々に使っていただき、日常の業務をもっと楽に簡単に、万一の時には迅速に復旧できるよう願っています。現在、測定結果を基に全自動で装置のレベル出しを行う『AdjustMan(アジャストマン)』や、精密水準器の校正を自動化する『CalibMan(キャリブマン)』を提供しています。さらに、ミクロンオーダーの測定を安定して行うためのノウハウを基に、精密測定や精密制御の新たな応用システムを開発し、他社にはない製品の提供を目指しています。
Any Designが創りたい未来
インタビュアー:最後に、今後の展望をお聞かせください。
まだまだ作りたいものがたくさんあります。次回の展示会では新たな技術を披露する予定です。職人技に学び、デジタル化で進化させる。これが私たちの使命です。日本のものづくりの基盤を支える存在として、一つひとつ丁寧に形にしていきたいと思っています。
当社の取り組みは、単なる製品開発を超えて、日本の産業全体を支えることを目指しています。ものづくりに携わる方々の課題を解決するために、これからも挑戦を続けていきます。
日本のものづくりを支えていきたいと語るAny Design。今後の更なる技術の発展にも注目したいですね。ありがとうございました!
<会社情報>
株式会社 Any Design
所在地 〒183-0014 東京都府中市是政1-43-22
設立 2011年8月
URL https://anydesign.jp/
※情報と肩書は取材当時のもの