火山灰シラス商品で累計30万個販売
角質ケアから農業まで広がる可能性とは?

火山灰シラスを約1,000度の高温で焼成し、風船状に発泡させた「シラスバルーン」。この特殊素材から生まれた角質落としは、累計30万個の販売実績を誇り、20代から70代まで幅広い年代に愛され続けています。開発のきっかけは創業者自身のかかとの悩み。薩摩の武士が刀を磨いたとされる天然の研磨力を活かし、環境に優しい角質ケア商品を生み出しました。シラスの可能性を追求し続けるethicalT.の商品について、詳しくお伺いしました。
合同会社ethicalT. 代表 上原 直子様
火山灰から生まれた商品ラインナップ
ー現在扱われている商品について、それぞれご紹介いただけますか?
現在の主力商品は、かかとなどに使える「火山灰の角質落とし」です。他には、環境に配慮しながら食器や調理器具を洗えるエコクレンザーがあります。そして今後は、先日クラウドファンディングでも支援を募った土壌改良材「オリジンジオ®」も主力商品にしていきたいと考えています。
ーどのような場所で販売されているのでしょうか?
鹿児島ブランドショップ(鹿児島県の特産品を販売)やECショップ、取引先様を通してカタログ通販やネットショッピング、福岡、大阪、名古屋、銀座などの直営店でも販売していただいています。
また、中川政七商店さんでもお取り扱いいただいています。最近商品をリニューアルしたので、まだオンラインショップには出ていませんが、店舗の方が圧倒的に売れ行きが良いので、店舗では継続して販売していただいています。その他、マルシェや催事の時は直接販売を行っています。
「角質落とし」はシリーズ累計で30万個販売していますが、まだまだ知られてないので広めていきたいですね。
累計30万個売れた「角質落とし」開発秘話
ー商品への想いと特徴について教えてください。
シラスバルーンというのは、火山灰シラスを850度~1,000度で焼いて作ります。シラスは7割以上が天然のガラス質なんですが、それが発泡して膨らんでシラスバルーンになります。顕微鏡で見ると風船状になっているのが分かります。
この素材をやわらかく固め、荒い面と細かい面をもたせた2層構造の「角質落とし」として製品化しました。粒子が転がるように古い角質を優しく取り除き、水に流しても環境に負荷をかけにくいのが特徴です。環境に優しいので使っていて罪悪感がないんです。エシカルな選択をしながら、使っていてワクワクするような商品を生活に取り入れていただきたいという想いがあります。
少し前に、角質落としをリニューアルしました。以前は合成香料がついていたのですが、より環境に優しいものにしようということで、天然精油を8種類ブレンドしたものを使うことにしました。
環境に負荷を与えない、与えたくないという想いは、商品作りにおいてずっと大事にしてきています。
ー角質ケア商品が誕生したきっかけについて教えてください。
商品開発のきっかけは、私自身がかかとのガサガサにすごく悩んでいたからです。子どもの時からずっと乾燥肌で、軽石や薬品で溶かすタイプ、金属のやすりや電動のものなど、色々試してきた中で発想しました。
シラスはもともと研磨力があるということで、薩摩の武士たちが刀を磨いたと言われるぐらい、昔からの磨き材として珍重されてきた特別なものでした。シラスを使った洗顔料は何十年も前から商品化されていましたので、それとは違う角質ケアができるものを考えました。
ー2層構造になっているんですね
やすりのような粗いものから細かいものへと段階的に滑らかに仕上げるイメージで、粗い面と細かい面の2層構造にしたいと思いました。
製造工程は2倍になって手間がかかりますが、これはもうこだわりです。粗い面と細かい面の2層構造にすることで、より効果的な角質ケアができるようになりました。お肌に触れる時に粒子が出てきて、コロコロと転がって古い角質を吸着・絡め取ります。数ヶ月経つとスポンジ状になるので、それが替え時です。
幅広い年代とインバウンド客からも注目
ー購入されているのはどんな人が多いですか?
商品を紹介しているインスタグラムで年代を確認すると、フットケアに関心の高い40代〜60代の方が多いですね。でも20代、30代の方や70代ぐらいの方も見ていらっしゃいます。クラウドファンディングにチャレンジした時も、70代の男性の方が多かったり、リピーターの方にもそのぐらいの年代の男性の方がいらっしゃいます。
先日、鹿児島の観光地である仙巌園で9日連続の催事を行いました。島津家のお殿様の別邸なんですが、海外の方がものすごく多くて、中国、韓国、アメリカ、その他の国の方がたくさんいらっしゃいました。みなさん興味を持ってくださって、自分用だけでなく、プレゼントとして購入してくださったりもするので、多くの方に関心を持っていただける商品なんだなと感じました。
ー販売についての課題はありますか?
現在は取引先様を通じての販売が主で、自社のECサイトからの購入がないのが課題です。導線作りが必要だということで、補助金を活用して公式LINEの有効活用をすすめて参ります。
農家さんと共に実証を重ねる新商品
ー「オリジンジオ®」については、テスト調査などは実施されていますか?
農家さんの基腐病(さつまいもの病気)が問題になった時期に、テストをしていただいたことがあります。現在も何ヶ所かの農家さんに使っていただいています。
特に興味深いのは、ナスやピーマンを栽培されている農家さんの事例です。ナス科の植物は連作障害が起こりやすく、通常は違う作物を作ったり、土地を休ませたりするのですが、この農家さんは「連作障害が起きてもいい頃なのに起きない」とおっしゃっています。
これは土が良い状態を長く保てているということです。連作障害による病気や生育不良が起きないことで、農家さんのロスが減り、収益向上につながります。すごく良い結果を伺えたので、今後に活かせると思っています。
商品づくりのアイデアと現状打破への想い
ー商品アイデアはどのようなところから生まれるのでしょうか?
父が会社を立ち上げた時から「悩み解決」というのがテーマです。社員・家族みんなでいろいろと「ああでもない、こうでもない」とアイデアや意見を出し合っています。「こんなのがあったらいいなあ」「こんなのに使えないかな」という、ふとした発想を大事にしています。
ー新商品の開発予定はありますか?
いくつかアイデアはありますね。シラスの持つ可能性は、まだまだ広がる余地があると感じています。大学の先生とも試験的な検討を進めていたものもありますが、現段階では資金面での見通しが立たず、次のステップに進むには至っていません。
ただ、資金面で見通しが立てば、シラスの可能性はさらに広がっていくと確信していますので、引き続き前向きに取り組んでいきたいと思っています。
ー今後の展開について教えてください。
今まで苦しい状況が続いていましたが新しい商品が形になったので、クラウドファンディングなどを活用し、多くの方に知っていただき使っていただきたいと思っております。特にオリジンジオ®については環境に配慮した有機栽培なども視野に入れて、環境に負荷を与えずに美味しい作物を育てたり、農家さんに収益を得て頂けるような本当に喜んでいただける資材として使って頂けるように努力していきたいと思います。現在、鹿児島市の「地域課題解決ビジネス支援事業」に採択され、ふるさと納税型クラウドファンディングにチャレンジ中です。また、近いうちにビューティー部門での新商品も準備中です。まだ詳しくは言えませんが、他にも色々とアイデアを形に出来ればと思っております。
これまで支えてくださったすべての皆様、地域の皆様、社員の方々、そして家族の力に助けられ、今もなお新たな挑戦を続けることができています。
これからも感謝の気持ちを大切に、歩みを進めていきたいと思います。
<会社情報>
合同会社ethicalT. | |
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所在地 | 鹿児島県鹿児島市東佐多町1669 |
設立 | 2024年5月 |
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※情報と肩書は取材当時のもの |