2025年12月25日

沖縄から世界へ!不動産×着物で描く
真奈企画・二刀流女性経営者の挑戦

沖縄県沖縄市の真奈企画株式会社は、不動産仲介業を主軸としながら、特許取得の着物「CHURA KIMONO」の開発・販売を手がける異色の企業です。代表の伊佐尚子氏は、Big Advanceを活用して全国にパートナー企業を開拓し、新潟の企業とライセンス契約を締結。現在フランチャイズシステムの構築を進めています。「呉服業界の活性化と、世界中のウチナーンチュに着物を届けたい」と語る伊佐氏に、二刀流経営の軌跡とBig Advance活用法、そして世界を見据えた展望を伺いました。

真奈企画株式会社 代表取締役 伊佐 尚子 様

不動産と着物、20代から描いた二つの夢を実現

─まず、御社の事業内容について教えてください。

メインは不動産の売買仲介です。売上のほぼ全てが不動産からですね。もう一つが特許を取得した着物「CHURA KIMONO(ちゅらきもの)」の開発・販売です。今はフランチャイズシステムを作りたくて、試行錯誤を繰り返しているところです。

Big Advanceで繋がった新潟の企業が、現在うまく進んでいるパートナーのひとつです。小豆島にも事業を始めてすぐの頃に契約したパートナーがいて、そこは呉服屋さんの3代目なんですが、お抱えの縫い子さんがいるから割とスムーズに回せています。

─不動産業と着物、まったく異なる事業を展開されていますが、きっかけはなんですか?

実は20代の時から会社を起こそうと決めていたんです。「真奈企画」という社名も、不動産だけじゃないですよという意味を込めています。

まず不動産に関しては、結婚したら家を建てたいと考えたのがきっかけです。若い時から土地の情報を見ていて、間取りを見るのが楽しかったので、それが仕事になったら最高に楽しいなと思いました。

ただ、子育てをしていた20代は、子どもが頻繁に体調を崩して、なかなか働きに出られなかったので、その時に宅建士や一級土木、一級造園の資格を取りました。働けないストレスとエネルギーはそこに注ぎました(笑)。子どもがある程度大きくなったら死ぬまで働こう、と切り替えたんです。

もう一つ考えていたのが、女性が年を取れば取るほど喜ばれる仕事って何だろうと。看護師も考えたんですけど、学費が高くて断念しました。宅建は独学で、数万円で取れるんですよ。体力仕事でもないので、生涯続けられます。

着物に関しては、私は6歳の時に父を脳梗塞で亡くしており、小学生の時から貧乏だったんです。お正月にいとこたちが着物を着ているのを見て、私も着たかったんだろうな、羨ましかったんだろうなって、大人になって気づいたんです。自分の子どもには着せてあげたいと思い、「こんなのがあればいいのに」って思いついたのが「CHURA KIMONO」です。

特許・意匠権・商標を取得した「CHURA KIMONO」

─「CHURA KIMONO」について詳しく教えてください。

簡単に言うと、着付けの知識がいらない着物です。ファスナーやボタンで着られるようにしています。裏地なしのものなら、縫製のプロではない私でも作れるんですよ。それくらいシンプルな作りです。また、特許・意匠権・商標を取得している「三冠王」なんです。

「CHURA KIMONO」という名前にしたのは、世界に持って行った時に「ちゅら」って聞いただけで、沖縄の人が考えたんだねって伝わるようにという想いがあって。世界中の沖縄の人たちがすぐ分かるようにしたかったんですよね。

CHURA KIMONOは「洗える」というところにもこだわっています。既存の生地で洗える生地となると、あまり柄の種類がないんですね。なので、生地もオリジナルで作っています。パートナーになった小豆島の呉服屋さんでは「これなら反物が売れる」と声が上がったそうなんです。こういった企業とも、もっとコラボしていけたらと思っています。

簡単に着られる上に着心地も良い「CHURA KIMONO」。柄もかわいい

CHURA KIMONOがきっかけで着物のハードルを低くし、着付けを習うきっかけになればと思っています。もっと気軽に着物を着る機会が増えたら嬉しいです。

私が目指しているのは、呉服業界の活性化なんです。着物や染め物には伝統があるので、実はハードルが高い領域でもあるんですよね。新品の反物で作って、全国の染めや織物とコラボできたら一番うれしいです。

Big Advanceで新潟企業とライセンス契約

─Big Advanceを知ったきっかけを教えてください。

私、ビッグサイトに出展したことがあって、一回100万円くらいかかるんですよ。それで商工会議所の人を2年くらい説得して、全国の商工会議所がまとめてビッグサイトに出展するものに参加させてもらったりしていました。そこに参加したことで、たくさんの人に興味を示してもらえるとわかりました。

コザ信用金庫の部長に「ビッグサイトにまた行きたいです。信金さんでそういう商談会みたいなものはありますか?」と相談したんです。そうしたら「Big Advanceというビジネスマッチングを提供しているサービスがありますよ」と紹介してくださって。

コザ信金さんには、本当に恩があるんですよね。それまで全く取引がなかったのに、いろいろと気にかけてくださいました。だからBig Advanceを紹介された時も、もちろん入りますという感じで入りました。

─どのような企業とマッチングされましたか?

コスプレの衣装を制作している新潟の企業です。お客様から着物制作の問い合わせが多く、自社でも開発してみたけれど思うようなものができなかったそうです。Big Advanceで当社を見つけてくださって、「これは面白い」ということで問い合わせをいただきました。

すぐにZoom会議をして、サンプルを作ってもらって。コスプレの衣装を作っているので、縫製技術があるんですよね。向こうで集客から販売までしたいということで、ライセンス契約をしたばかりですが、スムーズにいきそうだなと思っています。

「リアル参加」で広がる人脈 商談会活用のコツとは

─商談会に参加されていましたよね。

はい、以前の沖縄での商談会に参加しました。私はリアル参加を強くお勧めしています。私のキャラを伝えるには絶対リアルの方がいいですし(笑)。リアルに会うと忘れないんですよね。話が横道に外れても、その横道が面白かったりするんですよ。

前回はウェブサイトの制作会社や通訳の方からお声がけいただきました。通訳の方は京都出身の方で、「沖縄の人って、いい素材はあるのに県外の人にさっと取られて、美味しいところを持っていかれるよね」と言われて。「だから私はCHURA KIMONOを世界に持っていきたい、コザから世界へ発信したい」とお話ししました。

次回は大阪で開催されると聞いて、「行きます!」って即答しました。大阪にも取引先があるので、関西の展示会にも行ったことがあるんですけど、関西はノリが良くて面白い方ばかりなので大爆笑なんですよ(笑)。

次回の商談会も、どんな方とお話できるんだろうと楽しみにしています。

─リアル商談会の場で工夫されていることはありますか?

第三者から「こんな方がいますよ」と私を紹介してもらうと、イメージが違うんですよ。だから次回の大阪では、ココペリさんから私のことを大阪の方々に紹介していただけるといいかなって。私が自分でアプローチするのと、ココペリさんが「この方、こんなことをやってて」と紹介されるのでは印象が違います。紹介された側も、わざわざココペリさんが紹介してくれる、ということでより興味を持っていただけます。これもひとつのテクニックかなと思います。

Big Advanceもココペリさんの魅力も、リアルに会うと伝わるし、広めたいという情熱も感じられます。「何が良かったの?」って聞かれたら、私がいくらでも説明しますよ。

─尚子さんには初対面を感じさせないフレンドリーさがありますよね。私のこともすぐに下の名前で呼んでくださいました。人と打ち解けるコツはありますか?

必ず笑顔でいること。あと、下の名前で呼ぶようにしています。男性でも女性でも。金城さんだと金城さんになっちゃうけど、一郎さんだったら「一郎さん」になるじゃないですか。下の名前で呼ぶだけで、もう打ち解けます。特に男性は、女性から一郎さんって呼ばれるの、何年ぶりだろうって思うみたいです(笑)。

最初に会った時って、みんな緊張するじゃないですか。だから自分からいくんです。
「人見知りは人生の無駄遣い」。合う人は合うし、合わない人は合わない。嫌われることも前提です。

左:コザ信用金庫・松川氏

励ましの言葉と金融機関の支援が事業拡大の力に

─これまでの人生で、転機となった出会いはありますか?

会社を起こして最初の小雨の降るクリスマスの日に、女性の方が紙袋を持って待っていたんですよ。いつもこの辺りをウォーキングしている方で、立ち話くらいしかしたことがなかったんです。その日もらった紙袋の中身は手作りのハンバーガーで、豆腐ミート、新鮮な辛いタマネギ、分厚いトマト。「あなたは必ず成功するから。私が成功するって言って、成功しなかった人はいなかったから、あなたは頑張りなさい」って言われたんです。

最初の1、2年は休みなく働いていて、本当にしんどい時だったんですけど、この言葉が嬉しくて頑張れました。それ以来一度も会えていません。神様の使いみたいな感じでしたね。

あと、コザ信金さんとの飲み会はすごく楽しいです。お客様を紹介してくれたり、「こざしんのわ」という季刊誌に載せてもらったり。経営者友の会という集まりも開催してくれています。セミナーの他にバスツアーなどが行われていて、そこで繋がった和菓子屋さんと当社の着物のコラボの話が出るなど、信金さんには本当に様々な出会いやチャンスを提供してもらっています。

世界中のウチナーンチュへ〜CHURA KIMONOが描く未来

─今後の課題と展望について教えてください。

一番は縫製パートナーの確保ですね。従来の仕立てとは違う部分があるかもしれませんが、そこを面白いと思って取り組んでくださる方と組めたらいいですね。

世界のウチナーンチュ大会というのがあって、4年に一度、世界中から沖縄に集まるんです。ハワイだったり、ペルーだったり。その人たちに「CHURA KIMONO」を見せたい。着物を着たいけど着られないという方が、これなら着られるって泣くと思います。多分(笑)

そこまでいけたら嬉しいですね。沖縄の人がこういうふうに作って、それをまた世界中の方が広めてくれたら。日本全国の染めや織物を、世界中に届けたいですね。

<会社情報>

真奈企画株式会社
所在地沖縄県沖縄市宮里3-17-18
設立2012年(13年目)
URL

https://churakimono.jp/

※情報と肩書は取材当時のもの
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