定時で帰って推し活しよう!
「効率化とアリさん〜時間の大切な使い方」

「効率化しよう」と言われたところで、仕事は終わらずなかなか定時で帰れない——。そんな悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。実は効率化の本質は「やらない勇気」にあると、公認会計士の斎藤先生は言います。アリの生態から学ぶ「余力を残す」働き方とは?定時で帰って豊かな毎日を手に入れるヒントを伺いました。
インタビュー記事はこちら
つい残業してしまうあなたへ。「効率化」とは何か
「効率化しよう」という言葉は語られることが多いと思いますが、ちょっと疑問に感じて欲しいんです。それは「なぜ効率化をするのか?」です。
効率化はあくまで手段です。効率化という手段を講じて達成した先のゴールとは「余白のある、豊かで自由な毎日」を手にすることではないでしょうか?
ちなみに私が目指す効率化のゴールは「定時で帰って寝る!」です(笑)。
それではここで賢いアリさんを例にあげてお話をしましょう。
「怠け者」が組織を救う、アリの知恵

『アリの262の法則』(別名:働きアリの法則)というものがあります。働きアリの集団を観察すると、積極的に食料を集める2割、普通に働く6割、怠ける2割という行動パターンに分かれると言われています。
「怠ける2割」と聞くとまるで悪い事のように思えてしまいますが、そうではありません。1億年以上も昔から繁栄しているアリさんは賢いので、無駄に怠けたりはしません。なぜなら、「怠ける」=「余力を残す」ということだからです。余力を残しておかないと緊急事態に働く事ができないのです。
雨の日のアリは巣が浸水するのを防ぐために、卵を運び出したり、巣穴にフタをしたり、巣を補強したりします。普段から全てのアリさんが100%の力で働いていたら、誰が緊急時に卵を運び出し、巣穴にフタをするのでしょう?そのための余力なのです。
これは私たちの仕事にも言えることです。毎日全神経を集中させて働いているところに、不測の事態が起きたとしましょう。余裕がないのにどうやって対応しますか?
もしビジネスチャンスが舞い込んできたとして、働ける余力がなければ「ごめんなさい」と断るしかありません。「余力がなくてちょっとした環境の変化に対応できない…」そういった経験に心当たりはありませんか?
また、1億年以上も繁栄し続けているアリさんは、「永く働くこと」に最適化しているとも言えます。「怠ける2割」がいることは、短期的には生産性が低いように見えても「永続する事」を前提に置くなら、絶対に必要な条件と言えます。
「永く続けられる方法や働き方」を選ぶことこそが、結果的に最も生産性を高める方法なのです。
余力を残して、定時で帰る!
前段のアリさんは組織としてのお話でしたが、私が考えたいのは個人の余力を作ること。つまり、一人ひとりの中に「怠ける2割」分の余力を作りましょうということです。人生100年時代、余力を持つことが永く働くための「効率的」な方法なのです。
そもそも、暦などというものは人間が勝手につくったものです。「1年内」とか「5年内」とか、聞こえの良い無理な目標設定で永続性を失ってはいないでしょうか?無理をした結果、「6年目以降はありません」では意味がありません。
さぁ、みんな定時で帰りましょう!(笑)
本当の効率化は「やらない勇気」から始まる

ではその余力を作るため、定時で帰るための「効率化」はどのように行えば良いのでしょうか。
以下の2つの文章を見てみましょう。
A→100の仕事を、以前の80%の労力でこなす(100×80%=80)
B→100の仕事から、不必要な20を削る(100−20=80)
A・B どちらも、イコール80です。
この2つを見て「同じだ」と思った方はちょっと危険かもしれません。
Bでは20の仕事を削ることができているのに対し、Aには「やらないよりはやっておいた方が良い仕事」が含まれている可能性が高いからです。
「やらないよりはやっておいた方が良い」と考えるとどうなるでしょう?効率化をしても、空いた時間は別の「やらないよりはやっておいた方が良い仕事」に充てられてしまいます。
その結果、残業時間は変わらず、生産性が下がります。永続性もないので、アリさんの働き方の勝利です。
「やるべきことは何か」だけではなく、「やるべきではないことは何か」をしっかりと定めましょう。「定時で帰って寝る」ためには、やらないことをハッキリ決める勇気も必要になります。
私たちはプロです。限られた時間と限られた予算で、労力に見合う正当な成果を出すこと、そして成果に見合う正当な報酬をもらうことを目指しましょう。
自由時間を先に確保してしまおう!
さて、1日24時間、あなたはどんな時間の使い方をしていますか?
食事や睡眠時間など生活に必要な時間を確保したら、残りの時間を労働時間に充てていませんか?その上で余った時間を自由時間にしよう、と考えると、つい残業してしまうので自由時間が作れない、なんてことはありませんか?
❌1日24時間-食事その他4時間‐睡眠時間8時間-〖労働時間12時間〗=〖自由時間0時間〗
⭕️1日24時間-食事その他4時間‐睡眠時間8時間-〖自由時間4時間〗=〖労働時間8時間〗

発想を転換して、先に自由時間を確保してから、余った時間を労働時間として考えるのはどうでしょうか。かなり大胆な考え方ですが、子育て中の私は実際こうせざるを得ません。(クライアントの皆様、限られた時間で成果が出るように必死で頑張っているので、どうか許して欲しいです。いつもすみません…)
ちょっと想像してみてください。
・来週の金曜日はちょっと良いなぁ~っと思っている、あの人とのディナーだ♡
・来週の土曜日は、大好きな推しのイベントがある♡
・再来週の木曜日は、待ちに待った新作ゲームの発売日だ。翌日の金曜日も有給休暇を取ってある!
みなさんにもこんな楽しみがありますよね?
私の持論ですが、人というのは、こういった「欲」が絡むと集中力が増し、アイデアが浮かびます。なんなら数週間前から計画的に仕事を片付け始める、なんてこともあるかもしれません。
自由時間を先に確保することは、最高の効率化に結びつくのではないでしょうか。
また、スタンフォード大学や日本マイクロソフトなどの研究では、労働時間が長くなれば長くなるほど生産性が大幅に低下するという実験結果がでています。生産性の高い労働時間は週に32時間〜48時間程度まで。1日8時間×5日=40時間ですから、平日残業なしの労働時間に相当します。
ちょっとだけこのような研究結果も述べてみましたが、そもそも人間は自分で自分を良くしていこうとする力をちゃんと持っています。もし足りないものがあるとすれば、それは勇気やきっかけかもしれません。
勇気やきっかけさえあれば、効率化のアイデアはそこにいる人たちが生んでくれます。もしかしたら、すでに思いついているけれど、実行できないだけかもしれないですよね。
終わりに
今回は、アリさんを例にした「自然界の合理性」と「生産性の研究結果」などを交えながら、家事育児をしなくてはいけない私が研鑽と努力をして導き出した「効率化=時間の大切な使い方」としてお話をしてみました。
読者の皆様にも何かしらの参考・気づきになってくれたら、心から嬉しく思います。
<執筆者情報>
斎藤勇樹公認会計士事務所
所在地 神奈川県川崎市幸区
設立 2025年2月
URL https://www.big-advance.site/c/157/2891









