サラリーマンから個人事業主へ
トータルリペアK.J代表の転身ストーリー

20年間スーパーの店長として働いた後、車の修理工場での事務職を経て、出張板金リペア事業で独立した小林潤氏。フランチャイズシステムを活用しながら、静岡県内で傷修理サービスを展開しています。従来の板金修理とは異なる出張スタイルで、お客様の元に直接出向き、代車不要・短期間での修理を実現。人手不足が深刻な板金業界に飛び込んだ決断と、BigAdvanceを活用した営業展開、サラリーマンから個人事業主への転身で得た新たな働き方について詳しく伺いました。
トータルリペアK.J 代表 小林 潤 様
人手不足の板金業界に飛び込んだスーパー店長の大転身
─現在の事業内容と、独立に至るまでの経緯を教えてください。
トータルリペアという出張板金リペア事業を個人事業主として運営しています。車の外装の傷を、お客様の元に直接出向いて修理するサービスです。実際はフランチャイズビジネスで、全国に個人事業主が加盟している仕組みです。
もともとは有名スーパーで20年ほど店長をしていましたが、転勤が多くて、子供のこともあって退職しました。その後は地元の車の修理工場で2年ほど事務や営業の仕事をしていましたが、その会社も高齢化が進んでいて、50代後半から60代の社員ばかりで、将来的にどうなるか不安になってきました。
そんな時にネットでトータルリペアの広告を見かけて、興味本位でパンフレットを取り寄せたんです。最初は住宅のリペアに興味があったのですが、車の板金部門を新しく立ち上げるという話があって、そちらに惹かれました。どの業界でも職人の高齢化が進んでいますが、板金業界も例外ではなく人手不足の状況でした。小さな傷を短期間で修理することに特化すれば競合も少ないだろうし、新規参入するには良いタイミングかもしれないと、思い切って飛び込むことにしました。
─個人事業主になるというのは、大きな変化だと思いますが?
サラリーマンとして安定した給料はありましたが、将来性を考えると「何か踏み出さないと」という心境でした。
最初は個人事業主になるプロセスを学ぼうと「参考程度に」という気持ちで、講習を受けたんです。融資を受けられるかも半信半疑でしたが、思いのほかトントン拍子で進みまして、スーパー時代からお付き合いのある金融機関の方にも親身に相談にのっていただき、無事に開業できました。実は妻がカメラマンとして個人事業主をやっているので、妻の働き方も参考になりましたし、「自分にもできるかもしれない」という勇気をもらえました。
代車不要・短期完了の出張板金サービス 時間とコストを大幅削減
─従来の板金修理との違いを教えてください。
一番の違いは出張サービスということです。普通の板金屋さんにお願いすると、車を持ち込んで1週間から10日程度かかります。その間は代車を出してもらう必要があるので、代車の費用もお客様の負担になります。
私の場合は、お客様の駐車場で作業が可能です。1日から2日、長くても3日程度で修理が完了します。雨が降った時は翌日に回すこともありますが、基本的には短期間での対応が可能です。お客様にとっては時間もコストも大幅に削減できるメリットがあります。また、作業の際はテントを張ってブースを作るため、塗料が飛び散る心配もありません。
─技術的な面では最初から得意だったのでしょうか?
前職で少しリペア技術に触れてはいましたが、改めて埼玉で3週間の研修を受けて、1カ月の準備期間を経てから営業を開始しました。
ビフォーアフターがはっきりしているのでやりがいがありますし、性格的には向いていると思います。ただ、正直なところ難しい仕事で、0か100かの世界なんです。「ちょっと傷があるから80点」というわけにはいきません(笑)。完璧に直すか直せないかのどちらかです。お客様にも仕上がりが目に見えてわかりますからね。その分、うまくできた時の達成感は大きいです。
─現在の仕事量はどの程度ですか?
月に10件から20件程度の案件を手がけています。フランチャイズ本部からの紹介もありますし、自分で営業して獲得したお客様もいらっしゃいます。飛び込み営業も積極的に行っていて、中古車販売店などを回って「トータルリペアをご存知ですか?」という形でアプローチしています。
個人事業主の必須ツール!ホームページ×マッチングで新規開拓
─BigAdvanceを導入されたきっかけを教えてください。
金融機関の担当の方から「ビジネスマッチングサービスがあるし、ホームページも作れますよ」と紹介されました。知名度を上げることや、お客様に安心してもらうためにも、ホームページは必要だとご提案いただいて導入しました。ホームページを自分で作るよりもコストが抑えられますし、月額料金もそれほど高くないということで、一度試してみることにしました。
せっかく作るなら良いものをと思い、トップページの写真は妻に撮ってもらいました。やはりプロの写真は全然違いますね。内容については金融機関の方と一緒に検討して作成しましたが、以前の職場でホームページ更新の経験があったので、特に操作で困ることはありませんでした。
─ビジネスマッチング機能は活用されていますか?
実は今日、金融機関担当者の方がつないでくださって、同じくBigAdvance会員のお客様とお会いしました。中古車販売店の方で、「傷の修理に時間がかかって困っている」という相談でした。現在は隣の市の板金屋さんに車を持ち込んで10日程度かかっているそうで、その間代車も必要になります。私なら出張で2-3日で完了できるので、時間も費用も大幅に削減できるとご提案したところ、前向きに検討していただいています。
まだ本格的には使っていませんが、今回のように中古車販売店などとのマッチングを増やしていきたいと考えています。フランチャイズ本部からの仕事だと手数料を払う必要があるので、できるだけ自分で獲得したお客様との直接取引を増やしたいです。
カメラマンの妻から学んだ個人事業主という働き方
─これまで、影響を受けた出会いはありますか?
やはり妻の存在が大きいですね。妻がカメラマンとして個人事業主をやっているのを間近で見ていて、それがロールモデルになりました。新生児、七五三、ウエディングなどの家族の記念になるような写真を撮影していて、家の2階をスタジオにしたり出張撮影に行ったりしています。妻の方が稼いでいるので(笑)、独立を相談した時も「いいんじゃない」と背中を押してくれました。
同じ個人事業主として、お互いの仕事を理解し合えるのはありがたいですし、何か一緒にできることがないかとアイデアを出し合っているところです。
─サラリーマン時代と比べて働き方はどう変わりましたか?
ストレスが大幅に減りました。スーパーは接客業なので、お客様からのクレームもありましたし、夜遅くまで働くことも出張も多かったです。今は自分のペースで仕事ができますし、じっくり車と向き合うという仕事なので、人間関係のストレスがありません。また、子育てをしているので、時間に融通が利くのもいいですね。
もちろん、傷を直せなかった時のプレッシャーはありますが、それは技術的な問題なので、他からの余計なストレスはないですね。自分がやったことは自分に返ってくるだけなので、その点はシンプルです。
売上が安定するまでは不安がありますが、それは頑張るしかありません。
拡大するリペア需要を見据えて 技術向上への意欲と将来への想い
─今後の事業展望について教えてください。
フランチャイズ契約は5年契約でその後1年更新です。5年後にフランチャイズから独立するか、継続するか、従業員を増やすか、その時点で判断する予定ですが、まずは5年間で技術を確立して売上を安定させたいと思います。
技術的には、現在の外装修理だけでなく、車の内装、特にシートの修理なども学びたいと考えています。革の張り替えなどができるようになれば、単価も上がりますし、需要もあると思います。古い車だと部品の在庫がない場合もあるので、リペアで対応できれば喜ばれるでしょう。
同じ技術で住宅関係のソファやベッドなども修理できるようになれば、仕事の幅がさらに広がります。「リペア」という仕事はこれから需要が増えていくと考えていますし、地域密着で信頼関係を築きながら、お客様に喜んでいただけるサービスを提供し続けていきたいですね。

(左:静清信用金庫 豊島氏、右:小林代表)
<会社情報>
トータルリペアK.J | |
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所在地 | 静岡県静岡市駿河区西平松18-1 |
設立 | 2024 11月 |
URL | |
※情報と肩書は取材当時のもの |